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2.ピザまんの引き継ぎ

田舎の全然客が来ないコンビニ

そこで働く夕勤、22時までの高森、

夜勤22時からの生田

本当は無くてもいい引き継ぎの30分

そのちょっとした時間のお話。


「いらっしゃいませ」


さっきまでダラダラしていなかったかのように高森が言う。


「肉まん下さい」


「肉まんお一つですね」


「あ、ごめんなさいやっぱりピザまんで」


「かしこまりました」


「ピザまんのところに当店イチオシNo. 1って書いてあるでしょ、私こういうの弱くて」


「そうなんですね、140円になります。

ちょうどお預かりいたします。

ありがとうございました。」



「おい店長の作戦が奇跡的にハマったな」


21時58分引き継ぎの夜勤の生田が言う



「はまったな、信じられへん」



「俺も初めて見たわ店長のこれで自分の口変える人、絶対肉まんの口できてたやろ」



「ほんまにそう、あってないようなもんやのに」



「ほんでなんでピザまんが当店イチオシNo. 1やねん、ピザまんがトップ取る事一生無いやろ」



「お前の主観すぎるやろ

ピザまん好きな人もおるやろ」



「好きな人もおるの時点で1位にはなられへんわなぁ、嫌いな人もおるでやっと1位やわ」



「お前の事好きな人もおるんやろうなぁ」



「ほんでさ、何が1番すごいってあの女の人、入店してから肉まんめがけて最短距離できたやろ?」



「来てたな」


「あんまなく無い?大人がレジ前のホットだけ買いに行きたくなる事」



「あるやろそれは」



「普通店内一周するやろ、ほんで別に欲しくも無いけどポテチとかカゴ入れてレジ前ホットにゴールやろ

なんでコーナーキックから直接ゴールしてんねん」



「角度なさすぎるやろ

そんなありえへん事してないから」



「1番怖いんが、肉まんめがけて最短距離で来たのに、店長の一声でピザまんに変えた事やな」



「ええやんそれは、何があかんねん」



「いや、肉まんめがけて最短距離で来たのに店長の一声でピザまんに変えんなよ」



「角度無さすぎるやろ

もっとエッジ聞いた事言ってくるかと思ったら普通の事繰り返したやん」



「いらっしゃいませー」


40代前半ぐらいのサラリーマンが入店し、

さっきまでダラダラしてなかったかのように生田が言う。



店内をぐるっと一周し、ピザポテトをカゴに入れレジへ。



「いらっしゃいませ。」



「えー、肉まん2つとー、、ピザまんはー、1つで」



「えー、かしこまりました!」



高森がホットを担当し、生田がレジを担当する



「ありがとうございましたー」



「なぁ」


目を輝かせ生田が言う。


「なに?」



「さっきの人ピザポテトをピザまん1とカウントしてるやん」



「もー上がるわお疲れー」


高森が上がった。


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