1.ヤンキーの引き継ぎ
田舎の全然客が来ないコンビニ
そこで働く夕勤、22時までの高森、夜勤22時からの生田
本当は無くてもいい引き継ぎの30分
そのちょっとした時間のお話。
「58番」
「えっと」
「だからぁ、58番」
「すみません年齢確認出来るものありますか?」
「はぁ?誰に言ってんねん俺20歳じゃ
しばくぞまじで」
「申し訳ないんですけど決まりですので、年齢確認できるもの」
「もーええわ、お前表出ろ
しばいたるわ」
「すみませんがお売りできません」
「お前高森って名前やな
次来たら覚えとけよ」
「すいませんでした」
だる
21時58分コンビニ夜勤引き継ぎの為に5分前には来てたであろう生田が顔を出す
「高森お疲れー
良かったぁ引き継ぎの前に来て
むかつくなヤンキー」
「おー、生田、お疲れ
そう?なんも思わんわ」
「まじで!心ひろー」
「全然なんも思わん」
「そーなん」
、、、、、
「あれヤンキーってなんで覚えとけよってゆうか知ってる?」
「次あったらしばくみたいなことやろ」
「ちゃうねん
あれ自分が頭悪すぎて覚えとかれへんねん
だから相手に覚えとけって言っとくねん」
「めっちゃキレてるやん
ほんまはだいぶむかついてるやん」
「ほんで表出ろってゆうやろ?
俺からしたら働いてるここが表やねん
だからもうすでに表出てきてんねん
でもあいつらまともに働いた事ないから
あいつらの言う表がずっと何もない空き地か廃工場やねん。」
「お前は裏表えぐすぎ」
「生田さ、クローズとかヤンキー映画見た事ある?」
「あー、ちょっとだけやったら」
「あれ最終的に全員で必死になって屋上目指すねん、1番高いところ
なんかもう瞳孔開き切っておもっきり屋上目指すねん
あれはな作者がバカと煙は高い所行くって意味込めてると思うねん」
「お前ヤンキー好きやろ、なんでそんな見てんねん」
「常に自分より下が居るか確認する為や」
「お前も高いとこ好きやん」
話題が変わりそうな間が心地良く流れる。
「客少なそうやからこんな田舎のコンビニ来たのに、たまに来る客しんどいわ」
高森が気怠そうに言う
「確かにな」
「ほんで暇すぎて逆にしんどいし」
「わかるわ、俺もー帰りたいもん
高森まだ夕勤やからましやん、こっからもっと暇やぞ
暇すぎて夜勤中ずっと脱出ゲームやってるもん」
「どんなけ逃げ出したいねん
心境がゲームに出てもうてるやん」
「ほんでクリアして時計見たら朝までまだまだで
また脱出ゲームしてる
このゲームないと永遠に時間過ぎひん」
「お前このコンビニから脱出するために脱出ゲームってゆうアイテム見つけてるやん」
「あ、高森、もー22時半やで、上がりよ」
「もーこんな時間か
ほな俺は脱出するわ
朝まで頑張れよー」
高森が上がった。




