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4話目 貴族だとしても三男は割と微妙(別視点あり)


▽▽▽《???(胎児)視点》



 私の安住の地である、母親のお腹に滅亡の危機《揺らされただけ》が訪れてから、1週間が経過した。


『ボーイング787-8、空、大気、空気抵抗、関節、急所、飛行機、貴族……』


 今は頭に浮かんだ言葉と、そのイメージを頭の中に並べて、関連性を作りながらその言葉の意味を思考して、これらを並列してとにかく素早く考えながら、体内に魔力を巡らせて体温を一定に保ち健康体を維持するという、想像力と思考速度、魔力操作を高める訓練をしている。 魔力操作というか、魔力制御と行った方がいいのかもしれないけど。


 今更だが、私が母体の中で意識を保てているのは、魂だけだった時の感覚を、一部無意識に、魔力を使って再現していたからのようだった。


 魔力について今のところ分かっているのは、何にでも変換可能な、万能エネルギーのようなもので、具体的な想像ができなければ、そもそも出力すらされなくて、変換がなされない、ということが分かっている。


 試しに意識の維持に使っている魔力を抜いたら、寝る直前の、ほぼ意識が保てていないみたいな状態になったので、少なくとも魔力は、体内に影響を及ぼすことができるみたいだった。


『あぁ、楽しみだ、あともう少しで外の世界を見ることが出来る♪』


 そう! なんとこの私! 今日を持って、産まれるそうなのです!


 なんで分かるのかだって? 仕方ない、頭の足らない皆様のために私が教えて差し上げましょう。この言葉遣いはただのロールプレ……ごほんっ、演技の練習ですのでお気になさらず。


 まぁ仕組みは簡単です。魔力で糸電話みたいなのを、聴覚に与える振動を少し大きくする感じのイメージで、魔力を使っただけです。体外への出力は上手くいかなかったので、へその緒を伝ってやったら上手く行きました。


 言葉に関してはよく分からなかったので人の声色で判断しましたが、母親が、いつもは睡眠をとるような時間ではないのに横になっていたので間違いは無いようです。お分かりいただけたでしょうか?

 

『───! ─────!?』


『───。─────』


『───! ─────』


 何語かは分からないけれど、どうやら今世の父親は少し心配性のようだね。まぁ兄上2人もそんな様子を見て心配しているようだから似たもの同士の親子なのかもね。


 反対に、母親は冷静で父親を落ち着かせるように優しく声をかけていたよ、相変わらず何語か分からないけど。


 メイドさんなのかな? 分からないけれど、声的には母親より年下の女性が、何か重要なことを言うように声を上げると、父親と兄ふたりは扉を閉めて、部屋から出て言ったようだった。


 多分、そろそろ産まれるから出て行かせたんだろうね。母親も涼しい声色をしてはいるものの、陣痛は痛いだろうし。余計なストレスをかけさせないためかな。


 ちなみに今は魔力を使ってないよ。もし、魔力を使えるものは忌み子で、出産後すぐに魔力測定のようなものがされて、忌み子だから処理しなければ! みたいな家だったら困るからね。


──そうして、忌み子とされないように意識を保つために使う魔力も最低値まで減らして……


 次に見えたのは、少し髪型が崩れながらも、綺麗で長い黒髪を伸ばした、赤い目をした優しそうな女性と、短い茶髪を伸ばしオールバックのような髪型をしていて気品のある立ち姿した男性の姿だった。

 男性の方は子供がみたら泣き出しそうなくらい強面な顔をしていて、私よりも母親らしき人の方を心配そうにみていたよ。


 服装は貴族のようなものだったが、服の材質が近代社会ではないと技術的に扱えないようなものだった。部屋は白色のいかにも高級そうな正方形のタイルが敷き詰められていて、近くには心電図のような、何かを観測するための機会のようなものがあった。

 壁や天井の材質は、表面的には木材のようだが、部屋の広さ的に支柱には鉄筋コンクリートのように、内部になにか入っていないと崩れるだろう広さをしていたので、壁の内部にはなにか貼っているだろう。天井には、シャンデリアのような形をしながらも、光源に、光を発する石のような、明らかに電気が通っていないのに光る不思議な石が設置してあった。


 この間、およそ1秒程だろうが、さすがにこれ以上の観察は怪しまれそうなので、産まれたばかりの赤ちゃんの振りをすることにする。

 

 




▽▽▽【母親──フレシスティア・リベルスタ目線】



 全く、あの人ったら。もう三人目なのよ? 心配しすぎだわ。

 まぁ私の事を心配してそうなっているのだからあまり責めれないけど。


「おめでとうございます、奥様。3人目のご子息様も無事、健康体のまま産まれさせることが出来ました」


「えぇ、こうして無事に産まれてきてくれたのもあなたのおかげだわ。出産の手伝い、感謝するわ、サテラ」


「いえいえ、もったいなきお言葉です。奥様」


 今こうして、私と言葉を交わしているのは、うちのメイド長であるサテラ。

 綺麗な新緑の髪を、後ろでひとまとめにしていて、琥珀色の目をしている。

 年齢は68歳なのに、目ためは20歳も行かないくらい若々しいのが特徴よ。

 サテラは耳長族エルフで、先代リベルスタ家の時からメイドとして仕えていたらしいわ。


 そうこうしているうちに、『バタン!!』と強く扉が開かれる音が聞こえてきたと思ったら……


「システィア!! 体は大丈夫なのか!?」


 その音を鳴らした元凶は、強面のくせして、ものすごく心配そうな声を張り上げて、私の無事を確認しに来た。

 一応産まれたばかりの赤ちゃんもいるのだけど……


「えぇ、大丈夫ですよ。だから落ち着いてください、ハンス」


 思わず、声色が冷たくなってしまいました。


「そ、そうか。システィアが無事なようで何よりだ。サテラ、本当に大丈夫なんだよな?」


「さすがに心配のし過ぎではありませんか? 旦那様。奥様自身が大丈夫と仰ったのです、信用されてはどうでしょうか? それとこの場には産まれたばかりのご子息様もいらっしゃるのです、もう少し声のボリュームをお下げください」


「うぅ、そ、そうか、それもそうだな。システィア、悪かった。」


「聞き分けがいいところはハンスのいい所ですね。赤ちゃん、抱いてみます?」


 微笑みながら、ハンスに問う。ハンス・リベルスタ、リベルスタ子爵家の現当主で年齢は31歳、人族です。

 ハンスは、強面の顔を緩めて、少し困りながらも、優しい表情で先程やっと泣き止んだ赤子の体を抱き上げる。


「3度目でも、赤子の体を抱くというのはなれないものだな」


「旦那様、赤子を抱く時はこうではなくこうも抱いてください。バランスが崩れそうで心臓に悪いです。」


「ふふっ、毎回思うのですけど、ハンスは不器用ですよね。」


「こ、こうか。不器用なのは自分でもわかっているのだがな、あまり改善ができないんだ」


 ハンスは結構不器用です。それでいて、赤ちゃんを抱く時、慎重になりすぎて上手く抱けないところまでがいつもの流れです。ハンスのこういう所が可愛くて好きです。


「今回は、ハンスがこの子の名前を決めるのでしたよね。顔を見てから決めると言っていましたけど、決まりましたか?」


「そうだな、この子の目は、黒色なのか。宝石のような、それでいて綺麗な黒だな」


 そんなハンスの反応に私は微笑みを浮かべながら……


「えぇ、そうですね。確かに、ハンスの言う通り、透き通っていて、見ていると吸い込まれるような、綺麗な瞳をしていますよね」


 そう返すと、ハンスは少しの時間、目をつぶり、やがて決意したように目を開き、そう言った。


「《アテルビア》、このこの名前は、《アテルビア・リベルスタ》だ、いいか?」


「私に許可をとる必要なんてありませんよ、いい名前ですね」


 この子の名前は、アテルビア、そんな名前になった。


 そこから少ししたら子供たちも入ってきて……


「父上! 僕にも抱っこさせてくれませんか!?」

「ちちうえ! ボクにも!」


 1番上の子が、リベルスタ家長男のニアルス。今年で5歳です。

 そして、まだまだ拙いながらも必死に声を上げるのが、リベルスタ家次男のフタルト、最近ちょうど3歳になりました。

 どちらも茶髪に赤色の目をしています。

 アテルビアは三男になるわね。


 

「2人とも、今この部屋には赤ちゃんがいるのよ?少し声のボリュームを下げなさい。そしたらいいでわよ。ただし気をつけて抱いてね」


 2人は叱られたことで少し落ち込みながらも、抱っこの許可が出たことで満面の笑みを取り戻していた。可愛いです。

 

 そこからは、他の従業員たちが、新しく産まれた赤ちゃんの様子が気になりすぎて押しかけてくるハプニングが起きたり、執事長のセバッスが魔導式まどうしきカメラを持ってきて家族写真をとったりと、この日は随分と楽しい日を過ごせたわ。




──ただ、アテルビアが最初に目を開いた瞬間だけ、把握されるような、観察されるような、そんな感覚がしたのは気のせいでしょうか。




▼▼▼《作者目線》


ここが良かったよ、悪かったよ、もしくは面白くねぇぞとかでも構いません、コメント頂けたら幸いです。


主人公、アテルビアのイメージカラーは黒です。これからどうなるのか楽しみですね。


▼▼▼《作者視点》


 ここが良かったよ、悪かったよ、もしくは面白くねぇぞとかでも構いません、コメント頂けたら幸いです。

 主人公、アテルビアのイメージカラーは黒です。これからどうなるのか楽しみですね。


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― 新着の感想 ―
主人公が気持ちの良い狂い方してるのが不快感がなくて、面白いです。
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