2話目 狂気的な精神力と黄泉の国での観光
▽▽▽《???(死亡後)視点》
──? どうなっている? 何故、死んだはずの私は意識を保てているんだ?
『あー あー ……』
先程から薄々感じてはいたけど、どうやらスカイダイビングで完全に肉体を失っているっぽいね。声も出ないし匂いもしないし、何も見えないし聞こえないし。
それじゃあ今思考している奴は誰なんだよとか思われそうなんだけど、それは私自身なんだよねぇ。
現状を説明すると、飛行機破損、大量殺戮、高度5000m近くからのスカイダイビング 、思考だけできる状態、ていう感じになっているのかな。
『うん…… さすがの私でも意味がわからないよ!? まぁ、取り乱してもいいことはないか……』
五感は完全に失われていて、体のようなものもないから本当に何にも感じることが出来な…… いや、何か変な感覚はさっきからずっとしているんだよね、彷徨っているみたいな、開放されたような、今まで感じたことが無いような感覚はするんだよね。
『うーん…… 魂かな、それとも人魂的な?多分それにいちばん近い気がする』
意識や記憶とかって脳が機能して始めて扱えるものだと思っていたのだけど、この状態でも扱えるんだね。
ここはどこなんだろうか。死んだのを考えるならどこかの国の地上付近か? それとも、魂なんて見えないものだから、別次元とかにでもいるのかな?
真っ暗のようにも感じるし、透明というか、色という存在がないような、視覚が無くなったからなのか、魂だからなのか。
『はぁ、普通死んだら神様にあってあなたにはこれから異世界に行ってもらいます、的なことがあると思っていたんだけどな』
異世界転生とかは実際はないのかな。天国とかも。あ、私が行くなら普通は地獄にならないとおかしかったね。
そもそも転生トラックなんかにも覚えがないからね、そう上手く事が進むわけもないか。
感触のようなものも感じない。魂みたいなものだから感じれないだけなのか、感触を感じられるだけの物質のようなものが存在しえないだけなのか。
味覚も、聴覚も、嗅覚も、まるで存在自体がなかったものになったような、変な感じがする。
今はどれくらい経ったのかな。意識を持ってから数えていようとしたけど時間そのものの感覚すらしないような、別次元と考えた方が一番しっくりくる気がするね。
ここが魂のようなものの終着点だとも思えないんだよね。
これだけの情報を持つものがあったのなら利用できるような何かがあった方が生産的だし、仮にここが別次元だとして、別次元が存在するならば、それほど広い場所があるのなら高位存在、神のような者がいてもおかしくないだろうし、それが魂のようなものを使わないなんてことはないと思う。
私は通常の魂らしきものが辿る道筋とは別のところに来てしまったのだろうか。例えるなら、ゲームのバグ空間みたいな、ポケ〇ンのなぞ〇ばしょみたいな。
何にしろ、できることは何も無さそうだし、思考に没頭しよう。そうでもしないと、この何も無いように感じる空間では精神が崩壊でもしてしまいそうだ。
──何も感じることは叶わない。知ることも出来ない、抵抗することもできない、時折、己の根源的要素の様なものが曲がりくねり、破裂しそうになり、消え去りそうになったり。虚無という名の空間のような場所で、消滅しそうになる。自分が失われていきそうな五感とは相容れぬ感覚を感じさせられ、消滅の恐怖を、何度も、何度も、何度も──
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、それでも……
『まぁ、もう慣れてきたね。 少し血を失ってしまうだけで死ぬ肉体よりかは、自我を保つだけで存在(?)することができるので肉体よりかは幾分かマシかもしれないね』
『もう、この空間、虚無を体現したみたいな空間にも慣れてきたことだし、そろそろ、魂を動かしてみましょう大作戦でも開始するかな♪』
そうして、どのくらいの時間が経った時だったかな。何万年もたったように感じた気もするけれど、1秒程度しかたってない気もする。
沢山の試行を繰り返した。
1回目。手や足のようなものがないか試行錯誤して、失敗。
596回目。仮称《魂》には何らかのエネルギーがあって、それを操れば動ける? この思いつきも、失敗。ただし何らかのエネルギー、もしくは自身の構成要素のようなものを感じるのには成功。ちなみにこの魂は、試行を繰り返したり、経験を得ることで、成長(?)のようなものをすることも分かった。
70965回目。この虚無空間には管理者のような存在がいてその存在に頼んで運び出してもらう、失敗。 最終的に泣きわめいて己の恥を全開示するような演技をしてもダメだった。
1400628回目。ここは異世界で魔力みたいなものが使えて上手く操れば魂にも干渉できるかも、失敗。そもそも異世界だったら、転生トラックも、謎の白い空間にいる異世界の神を名乗る存在にも遭遇していないし、魔力のないであろう世界で生きていた私には最初から無理な話だったことに気づいた。
ここら辺からは、数えることに思考を割くことすら諦めていた。
──何千、何万、何億と、肉体という限界がないのをいいことに、並列思考のようなもので何百もの試行を並列して処理したりしていて、もはや数える気もなかったから詳しくは覚えていないけれど、とにかく大量の試行を繰り返してした、そんな時だった。
突然、どこかに繋がるような、そんな感覚を覚えた。
『そういえば、時間経過でどこかに移動している可能性は、考えていなかったなぁ』
そんなどうでもいいことを考えながら、その繋がった感覚がする場所へと急いで移動しようと試みる。
繋がった場所が安全かは分からないし、この場所で消滅するまで永遠に試行を繰り返しながら女神が来ることを期待して待つっていう選択肢もあったしそれはそれで面白そうではあったんだけどね、どっちかというと繋がった場所に行く方が惹かれたから移動しようと思うよ。
──そうして移動していく。途中、自分と似たような、どこか違うような無数の気配を感じながらも、それにはあまり興味が湧かなかったから無視をした。
移動している道中では大量の落とし穴みたいに魂を吸収してくるものがあったけどそれを避けながら、観光気分で移動してたよ。黄泉の国観光みたいな、まぁ視覚はないんだけどね。
途中、無数にある魂の中の1つに、どこか惹かれるような、魅せられるような感覚がして、ものすごく気になったけど、すぐ落とし穴みたいなやつに吸収されたからそれ以上は何も無かった。
『色々感じてわかったけど、どうやらここが魂と思われるものの終着点みたいだね。あくまで吸収されるだけであって消滅ではなさそうだから、私も入っみようかな』
余談だが、落とし穴にも色々種類みたいなのがあるらしく、時間経過とともに閉じたり開いたりする落とし穴の中でも、人型を感じられる落とし穴はあまり多くはなかった。予測でしかないけど、次に生まれる生命に宿る魂を、生命に送る道みたいな役割をしているっぽいね。要するに生命、もしくは肉体は魂の器である可能性があるわけだ。
正直、人型以外もかなり気になるけど、特にあのスライムのような形のものから無数にムカデのようなものが高速で生え変わっている生物とはとても言い難いものにはとても興味を引かれるけど、ここは思い入れが少しだけある人型にしようかな♪ 前世ではまだ20代だったとはいえ厨二病患者である私からしたらワクワクが止まらないね。
なんで選べているのかだって?実は自分の魂のほんの一部、ごく一部を自壊させることである程度の移動が可能になったのだよ!!
……下手したら消滅する上に虚無の空間の比ではないくらいの魂痛(?)で自我が崩壊しそうだけど……
『というわけで落とし穴は適当に人型っぽいやつから選んだから、さっそく行ってみようか!』
▼▼▼《作者視点》
なんでやねんΣ\(゜Д゜;)みたいなツッコミでもいいのでコメントくれると嬉しいです。




