16話目 究極の魔法、それは案外需要が高いものだ。
▼▼▼《作者視点》
やる気って、やり始めないと出てこないものらしいですね。
リアルの方が少し片ずいたので、少しだけ投稿頻度はあげるかもしれないです。
投稿を始めてからもう1ヶ月近く経ちますが、私は私のペースを崩すつもりはございませんので、気長に読んでくださると幸いです。
▽▽▽《アテルビア視点─森─》
まだ空が暗闇を彩り、月らしきものが白く、どこか青々とした光を地上へと塗りたくり、夜風に触れられた木々が風を避けるように向きを変える、そんな静かな真夜中の森に、少しの魔力が漂う。
森は整理されているようで、足場が木々の根により少し悪い程度で、毒草のようなものや、危険な生物などは見当たらなかった。
魔力を使い視力に影響を与え、本来なら見えないほど小さなものへとピントを合わせるも、危険性のあるものは無いようだった。
草木の中には、この世界の環境により特有の成長を遂げたような、青色をした葉を持つ、薄暗い黄色の樹木や、黒い草に桃色の根を持つたんぽぽみたいな花などもあるけど、特に害されるようなものではなかった。
今は、観察力と思考能力の向上の向上を狙った、隠密訓練を行っている。
野生動物などは普通にこの公園内に居るようで、気配に敏感な野生動物で訓練すれば、いざと言う時の逃走手段として役に立ちそうだからね。
逃げることばかり考えていたら弱腰になるぞ、という考えの人もいるのだろうけど、私が目的としているのは、この世界を楽しむことなのだから、逃げることを楽しんだっていいだろう?
生き残る手段としても重要なものだろうからね。
訓練内容は、隠れながら動植物の観察を行い、私自身が知っている知識に紐付けたり、どうしたらこうなるのかを高速で思考し、思いついた情報を私の知識に入れていく作業をして、新たな発想や、観察して思考する、という一連の行動への経験値を貯めている。
これは前世の話になるのだけど、運動神経が良い人というのは、幼少期から運動する機会があって、体を動かすという行為自体の基礎能力値が高くなるため、結果的に運動神経が良くなるのだとか。
体育の時間で、先生がお手本として見せた技をすぐに習得できる人は、お手本を見て習得するという一連の行動を、過去に何回も行っていて、体が見て覚える、に適応したから物覚えがいいのだとか。
つまり、皆が才能などと言っているものは、筋力や知識量のように、ある程度は誰でもあげることが可能なステータスというわけだ。
もちろん、生まれつき肉体の構造に問題があったり、周りの環境が良くなかったりすると、上げることは困難だろうけど。
何が言いたいのかと言うと、一連の行動や才能自体も、ある程度自力で上げられるステータスなのだから、私は体が成長しきる前の、比較的成長しやすい時期である幼少期に底上げしておこうということだ。
最強になりたいだとか、王になりたいとは思わないけれど、この世界はある程度実力主義的な考えがあるみたいだからね、ある程度の力を手に入れるのは、自由を謳歌するためにも必要だろうから、訓練は続けようと思うよ。
それに、訓練が嫌というわけでも、辛いという訳でもないからね。
……いや、少し違うのかな、それよりも段違いで辛いのを最初の内にやっておいたからね、辛いはずのものも辛く感じにくくなっているのかも。
私は、食事をする時は嫌いなものを最初に食べて、好きな物は最後に食べる派なんだ。
「もういいかな、観察力の訓練は。君たちもありがとうね、半ば強引に協力してもらって」
誰の視線も、向けられる感情や気配も、目の前でのんびりとリラックスしている動物達以外には感じなかったから、動物達にだけ良いように見えるよう演技をしながら、子供とはあまり思えないような言葉遣いを重ねる。
目の前にいる動物達は、より近くで詳しく観察するために、時間をかけて、魔法を使いながら仲良くなった、公園内にいる危険性のない動物の一部だ。
意外なことにここで役に立つことになったのは、最初に作った魔法である糸電話だ。
これによって、動物の認識の仕方や、本などでは得られない別の考え方を知ることが出来たから、初心忘るべからずという言葉は私の中で結構なお気に入りだよ。
糸電話とは言っても、今の魔力操作技術を使えば、一度に何百本出して扱っても支障がないから、小動物含めて計200匹程の、動物達の頭部に魔力の糸が繋がった様子は、壮観だったよ。
私の頭部なんて、見方を変えれば天輪に見えてもおかしくないような感じだったしね。
もちろん、許可は取っていないよ? そもそも取れないからね、認識を同調させたりしないと。
それに、この糸電話には、こちら側の認識は同調させないように調整してあるからね、動物達が変に思考することはないだろう。
「君達は巣に戻らなくてもいいのかい? まぁ、好きにしたらいいんじゃないか? 邪魔をするのならすぐにでも殺すけど」
動物達は解散する流れになったのだけど、一部の動物達は、ここまで他の動物が集まる様子が珍しかったり、私の訓練が気になったりして、ここに留まることに決めたらしい。
朝日が登りきる頃には巣に帰るらしいけど。
観察力の次は肉体操作の訓練をしようと思っていたんだけど、ここで私は思いついた、異世界主人公のテンプレの練習ができるのでは?
私が今思い浮かべているのは、肩に小型のテイムモンスターを乗せて戦う異世界主人公だ。
正直、肩に乗せながら戦うなんて思慮が浅い行動にも程があるだろうと思うけど、特に練習などせずに戦っているところだけ描写されていたから、ぶっつけ本番でできるほど異世界主人公は天才だったんだと思う。
うさぎみたいな動物に、鹿みたいな動物もいるから、うさぎには方に乗ってもらいながら自由に動く訓練をして、その後に乗馬(?)の訓練もしてみようと思う。
まずはうさぎを肩に乗せながら戦う訓練のため、肩に乗せながら森の中を自由に走り回ってみた。
他の動物達にも参加を促し、鬼ごっこ形式で、私とうさぎ以外の全員が鬼として参加してもらって、最初の方は慣れてなくて転びかけたりして、すぐに捕まってしまった。
捕まった時は、動物達に体を囲まれてもみくちゃにされたのだけど、毛がゴワゴワしていたり、汚れていて臭かったから、私がこの世界の中でも最強の一角だと信じて疑わない、完璧にして究極の魔法、《クリーン》を使ってもふもふにした。
それ以降は、捕まったとしてもストレス値が回復されていくような感覚に襲われたり、慣れてきて、木の上とかを自由に動けるようになっていってしまったせいで、動物達のもふもふが少なくて逆にストレスが溜まりそうになったりと、結構楽しい訓練になった。
肩に乗せていたうさぎは特に、念入りにもふもふにしたから、頭部周辺は常に幸せを感じていたよ。
鹿の乗馬に関しては、子供の体だから何とかなったけど、大人の体とかになると、大きさや重さの点で難しいと思った。
魔導列車の衝撃音吸収を流用した、《部分的振動吸収》で、下から上に伝わる衝撃を緩和させたり、体が鹿から離れないように、吸収の部分を上手く使ったりしたら上手く乗ることが出来たよ。
乗馬で怖いのって、上下より、踏み込みを入れる地面の向きによる左右への動きなんだよね。
ほら、私達二足歩行の生物でも、歩いていたりする時、足を踏み外したり、あまり下を見ていなくて、予想以上に地面に角度があって捻ったりすることがあるだろう? 鹿の場合、その足が四足に増えるからね、移動時の崩れそうだけど全然崩れないバランスは結構怖くて面白かったよ。
それに、乗馬したことでより四足歩行生物の、体の造りが理解できたよ。
その後は、魔力関係の訓練に、可視化魔力で動物の模型とかを作ってあげたらとても興奮していたよ。
動物達が気づかないように、『■■■■』をして。
ただ、慣れてきたとはいえ、200匹以上の認識を並列処理して、1匹ごとの思考を解析するのは中々に骨が折れたね。
もふもふは最高だということが分かったよ。
▼▼▼《作者視点》
獣のもふもふした感じが好きな人とか、爬虫類のツルツルすべすべした感じが好きな人、ゴツゴツして角張ってるのが好きな人、沢山癖はあると思いますが、作者はオールラウンダーです。
言い方を変えれば中途半端と言っても差し支えないかもですね。
そして主人公の相棒イベントや、テイムモンスターイベントがあるのか!? と期待した皆様方、残念ながらそのようなイベントはございませんでした。
会って早々仲間になるとか、そんな甘い話がある訳ないじゃないですか。
申し訳ありませんが、作者は主人公のみに都合がいい展開は大の苦手であります故、あまり期待しないでいただけると幸いです。
▽▽▽《備考》
・動植物について。
この世界の存在は全て、魔力などの、前世には存在すると思われていなかったモノに影響を受けており、それは動物も植物も同様である。
動物は、全て分類的には魔物とした分類され、植物はそのまま植物だが、魔力の影響により自発的に動く植物もあり、それらもまた、魔物として分類される。
魔力などの影響により、全体的なステータスは前世に比べ上がっており、ある程度どの生物でも知性を持っているため、アテルビアが扱った糸電話でも認識の同調が出来た。
・《糸電話ver.?》
アテルビアがこの世界で生を受けてから初めて作った魔法であり、糸という形状や、中核を認識というものに限定したり、鍛えてきた魔力操作によって、魔力効率が初期のものより格段に上がっており、魔力の消費量はとても少ない。
アテルビアは、魔力操作や思考能力の訓練をする度に、作ってきた魔法を改良や流用しているため、糸電話だけでも類似作や改良作が多く存在し、今の糸電話はもうver.?と、数え切れないほどの改良を加えたものになっている。
・うさぎもどきについて。
白色の毛並みをしていて、半透明な青色の爪と角を生やしており、焦げ茶色の目をしている。
大きさ的には、バレーボールより一回り小さいくらいの大きさで、満月の時に草原へよく集まる、《月白のウサギ》という種族の魔物。
魔力の集積機関として、満月の月光を浴びる時、1本角の頂点が青白い光を帯び、糧として月光の魔力を吸収する生態をしている。
中でもアテルビアの方に乗っていたうさぎは、何十年と時の流れを生き延びた個体で、今のアテルビアからすればまだ大きな力の差があり、下手をすると普通に殺されていた可能性が高い。
最も、アテルビアがその危険についてちゃんと予測していたかは、彼にしか分からないが……




