閑話 私はメイドでございます。
▼▼▼《作者視点》
閑話です。アテルビアの過ごした1年間で起きたことが、テーマです。
閑話には色んな人の視点を出そうと思っていますので、希望があれば教えてね。
▽▽▽《サテラ視点》
私は、リベルスタ子爵家のメイド長を務めております、長耳族のサテラと申します。
私たちメイド、特にメイド長である私の朝は、結構早いです。
早朝、朝5時30分頃に目を覚まし、身支度を済ませ、6時30分頃に、他のメイド達の点呼を行います。
私は、今年産まれたばかりの、アテルビア様のお世話役を承っておりますので、屋敷の従業員達が活動を始めて少ししたら、アテルビアの様子を伺いに行きます。
アテルビア様は、その年齢からしたら聡明な方のようで、朝の、活動開始時間を感覚的に覚えているらしく、7時頃に様子を見に行くと、大体の場合はすでに目を覚ましています。
……可愛らしい寝顔を見ることは叶いそうにありません。
(ニアルス様やフタルト様の時は、よく可愛らしい寝顔を見せてくれていたのですが、アテルビア様は少々手強いようです)
生後半年も経たないくらいなのに寝起きが良いのは、すごいのかどうか、比較対象があまり居ないのでよく分かりませんね。
もしかすると、私のことを警戒しているから毎日同じ時間には起きているのでしょうか。
……さすがに考えすぎですかね。
ちなみに、旦那様を起こしに行くのは、執事のセバッスだったりします。こういうのは普通、メイド長である私のお役目だったりするのですが、奥様の独占欲が強いあまり、私のお役目は、少なくとも現当主が変わらない限り復活することはないでしょう。
閑話休題。
8時頃に、リベルスタ子爵家の皆様方は食堂に集まり、お食事をとります。私たち従業員も、席は違えど同じ時間に、食堂で朝食をとります。
他の国ではメイドを奴隷のように扱う貴族家もあるそうですが、異種族混合国家ユグドラでは、貴族と平民との格差は、そこまで酷いものではありません。
というか、同年代とかだと普通に貴族と友人関係にある平民の方もいます。理由は多々ありますが、他国から見ればかなり異常な光景のようですね。
また、貴族家では乳母を雇ったりもするそうですが、リベルスタ子爵家は、フレシスティア様がそれを拒否したので、アテルビア様の食事の時は、時々部屋を移動します。
赤子の成長にはどちらかと言うと粉ミルクよりも母乳の方がいい様ですからね。
食事が終わりますと、お次は屋敷の掃除です。
いくら貴族家とは言えども、商人や他貴族から突然の来客がないとも言えないので、屋敷を常に綺麗に保つことは大事です。
まぁ魔道具の《通信機》で遠距離からの通信も可能なので来客が本当に来るかは怪しいところですが。
掃除の中でも1番大切なのは《結界石》の掃除、もしくは点検です。結界石というのは、結界の魔法陣が刻まれていて、魔力がある限り結界を常に張っておいてくれる、青白い宝石のような見た目をした石のことで、範囲や強度は、色や大きさによって変わるそうです。
当然、この結界石もものである限り汚れだったりがついたりするので、掃除を怠ると効力が弱まったり、酷い場合は爆発したりするそうです。
なので、メイド長である私、サテラが責任を持って毎日掃除をするわけです。
と言っても、結界石などの繊細な魔道具にはある程度自動補修機能や保護膜といったものが付いていて汚れが着くのも基本は保護膜の上からだったりするんですけどね。
それが終わると、時間は11時頃となり、一度アテルビア様の様子を伺いに行きます。赤子の時は胃が小さいので、食事を何回かに分けてする必要があり、奥様もそこまで暇な時間が多い訳では無いので、この時は粉ミルクを代用品としてアテルビアに飲ませます。
アテルビア様に使う哺乳瓶には、簡単なものではありますが魔術回路の細工がされており、中身の粉ミルクの温度を、暑すぎず冷たすぎない温度に調整できます。
アテルビア様が興味津々な様子で魔術回路を首を傾げそうになりながら見ていたので、慌ててまだ座りきってまもない首を支えて、この魔道具の魔術回路について簡単な説明をして差し上げました。
案の定、まだ言葉も理解できてないであろうアテルビア様は分からなそうに、唸り声をあげていましたが、その様子がとても可愛らしかったので次からはカメラを持ってきてから魔道具についての説明を使用と決めました。奥様にその写真を見せればとても喜んでいただけそうです。
12時頃には、屋敷にいる人が集まり、食堂で昼食をとり、少ししましたら、また掃除を始めます。
ここからの掃除は魔法を使って行ないます。魔法で掃除を行うのなら普通に掃除するのは意味が無いと思われそうですが、普通に掃除ヲするのは、魔力消費を抑えることができるのでかなり重要だったりします。
そうして、魔法による掃除の仕上げが完了しましたらお次は洗濯です。
こちらは案外楽な仕事で、魔道具の《大型洗濯機》を使えば、乾燥機も着いていますし、天気が良い日に天日干しを行うくらいなので掃除寄りは幾分か楽です。
ただ、貴族のパーティなどできる服は基本洗濯機ではなく他の魔道具が必要なので少し手間がかかったりします。
最後は、寝る前の支度です。
アテルビア様から湯船の準備をさせていただきます。
赤子の体には温度が高すぎると悪影響を及ぼしかねないので、ぬるま湯程度の温度に調節して、湯船に入れさせます。
その後は、旦那様から順に入っていただき、従業員は、男湯と女湯で分けて入ったり、掃除魔法の応用で、《クリーン》で清潔な状態にしたりして、寝る前の支度を済ませます。
メイド長の私は有難いことに、個室の中に湯船が付いているので、そこで寝る前の支度をを済ませ、最後にクリーンを使って入念に汚れを落とします。
屋敷の皆様に何か病原菌を移してしまったりしたら申し訳ありませんからね。
屋敷の皆様が寝静まった後、本当ならば、アテルビア様の夜泣きに気を付けて、直ぐに起きれるよう、準備しておかなければならないのですが、アテルビア様は夜泣きが非常に少ないので、夜中に起きることはそうそうありません。
夜泣きも夜泣きで可愛らしいのでたまにはあってもいいと思ってしまうのですけどね。
これで私、サテラの1日は終了します。
ただ…… 私が魔術回路の話をする時、把握されるような、理解の上を行くような、どこかおぞましい視線を感じたのは気のせいでしょうか。




