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8話目 狂気は続くよどこまでも 着手


▽▽▽《アテルビ視点》 



 気づいたらおよそ1年経っていた。



──現在の魔力量は3600、量としては別にそこまで多くない。屋敷の従業員達でも、全員それ以上はあった。


──だが、25からだ、25ほどしかない、雀の涙ほどの魔力量から3600だ。百倍以上だ。


……たった百倍だ。もちろん魔力量が全てとは言わないさ、だがそれでも、魔力というエネルギーを人より少ない量しか扱えないのは、自由ではない。自由にはなれないだろう。


 


──だから、魔力過欠症での超回復による魔力量が増える量自体を増やす。魔力過欠症1回で増える量が今はたったの1。それを作り替えることによって増やそうと思う。


 今から──人体改造を行う。




▽▽▽

 


 この1年、屋敷の外に行くことは叶わなかったが、観察する時間だけはいくらでもあった。


 人体の姿かたち、この屋敷にいるもの全ての、魔力でかたどった人体模型を作り、理解し、把握していき、そして調整を行ってきた。


 今からするのは人体改造。もちろん私自身の体だ。


『いやぁ、楽しみだね!』


 私自身の体は、魂と混じりあってから所々弱ったりしている。特に顕著にその影響が現れているのは魔力保有量と魔力の回復速度だ。


 だから、魔力による物質への変換を使い、一度全ての身体器官を作り替える。


 麻酔なんて使えないさ、作り替えるのに全てのリソースを捧げるからね。




──今は夜の0時頃。日付を重ねる毎に夜泣きの回数を減らしていったから今は本当に誰も警戒していないだろう。


 この世界に来る前から、虚無の空間での苦しみや魂痛、この世界に来てからも魔力過欠症による幻痛や精神的ダメージ……


『痛いことしかやってない気がするなぁ!?』


 でもまぁやるけど♪


 人体改造の行程は大きくわけて3つ。

 筋肉、骨格、血管に神経回路の作り替えと接合。

 各器官と魔力器官の作成と効率化。

 肉体と魂の結合回路の作成。


 これらを今から行う。さすがに私も、麻酔なしでの手術なんてしたことないからね、手術なんて言っていいか分からないけど、少し怖く(楽しく)なってきたよ。


『フフッ、ふーっ…… さぁ、集中しよう』


 1年間、1度たりとも辞めることのなかった思考能力向上の訓練が今、役に立つ。役に立たせることが出来る。


 ベットからの干渉を受けないため、魔力の操作によって、体を空中に浮かせる。作成途中の肉体組織が腐敗しないよう、《防止の結界》を、体を覆うように展開する。


『魔法発動、《物質は変化する(変換と転換)》』


 まずは作り替える部分を一度魔力へ変換していく。これにより皮膚と頭以外の全てが魔力に成っていく。

 蝕むように、魔力への転換が行われていく。


『グアッ!?…… ガグゥゥ…… ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?』


 やがて肉体は、外見だけは普通のまま、中身のほとんどが魔力へと変換され、生きているのかすら分からなくなる。


『マズイっ! ここで気を失ったら確実に死ぬ!』


『魔力操作、《型》!』


 魔力操作を最大限使い魔力で中身を型どっていき、内部の骨格から、血管、神経回路、筋肉と、作り替える身体の中身全てに、変換した魔力に思考能力のほぼ全てを動員させる。同時に、思考速度の加速を魔力によって行う。


『作成、《最高の肉体》』


 急ぐ、急がなければ死ぬ。気を失ってそのまま死んでしまうことが感覚で理解できるから、生存本能として理解させられるから。


 屋敷の、全ての人を見て、観察して、理解して、自分にとって最高であろう、肉体を生成していく。


 魔力操作によって作られた型に沿って脊椎から、あばら骨、上腕骨、骨盤、大腿骨と人体にとっての大きな骨から順に枝分かれさせるような形で骨格を作成していく。


 もちろん、ただの骨格ではない。魔力に性質をイメージしながら骨を作っているのだから、肉体にとって優位な性質もちゃんと付与している。『変形』や『適応』、『適合』や『耐性』など他にもあるが、変形によって人体改造の途中に微調整が可能なので変形は特に気に入っている。


 血管・神経回路と筋肉を並列して作成していく。同時に各器官の作成をもしていき、血を流し始める。


『アグァッ!!…… グァァッ!!』


 痛みがッ!! 、苦痛がッ!! 、頭がぁ、割れそうだぁッ!


 血がかよっていくつれて、体中から破裂が起きるような痛みがする。それでも、やめない。


 今回作成する全てに、変形の性質を入れていて助かった。痛みにより制御を失った魔力によって筋肉が皮膚を突き出て天へと昇ったり、内蔵から生成される物質が猛毒へと変わっていたりと、結果は散々だった。


 それでも、人体改造はとうとう最終局面に入る。

 魔力関係の器官の作成。性質付与による物質化はもちろんだが、ここに『許容』と『適合』

、『吸収』や『移動』と『限定(異空間)』などにより、《《魔力許容量の実質的な上限解除》》、これを作成する。


『クハァッ♪ クハハハハ!!』


──緻密に、そして正確に、一切のブレもなく、集中して。


『この世界に来てから、苦しみや痛みが目立つようだが、一度も楽しくないなんて思ったことがないなぁ!?』


──どれだけ気分が高揚しようと、それが集中を乱すことになるなど有り得ない。

 魔力を折り込み、性質を紡ぎ、魔力の全てが己の指先へと変貌したかのように、何千と見える魔力の線を、全て制御下に置き、細胞を、粒子を、それよりももっと小さな──根源を、緻密に、どこまでも精巧に作り上げる。




──時がいくつすぎた辺りだろうか。

 途中、魔力が足りなくなって空気中に漂う魔素(?)のようなものを吸収して補ったりしたが、ついに完成した。


『あぁ、痛かった、苦しかった。それでも、無駄はなかった♪』


──朝日が昇るぐらいの時、時同じくして、魔力器官、そして魂の接合回路と言ったものが完成。外見は先日までのものと変わりはない。

 

 ただ、今後の成長性がものすごく上がった。

 

 今日はいいゆめをみてねむれそぉだぁ……



▽▽▽《サテラ視点》


──朝。

 いつものように、アテルビアの部屋と様子を確認しに行く。


「あら? いつもは、この時間ならばアテルビア様は起きていらっしゃいますのに、何かあったのでしょうか?」


 そこには、ただただ満足そうに、笑顔で眠るアテルビアの姿があった。


 そんな様子にサテラは、少し小悪魔のような、いじらしく笑みを浮かべながら……


「あらあら、お可愛らしいではありませんか。これは早急に、奥様へとお伝えしなければなりませんね。これもメイド長としての役目です。あ、あとカメラを一緒に持ってきましょうか。」


 と、もっともらしい言い訳を口ずさみながら、その寝顔の愛らしさを屋敷の皆に共感して欲しいがために、ニヤケながらフレシスティアの元にスキップで移動していたとか。


 その後、屋敷の中の皆は、アテルビアの愛らしい寝顔を眺めながら騒然としていたとか。

 そしてそんな様子の屋敷を見て驚いた寝起きのアテルビアもまた、可愛かったとか何とか。

 


 


▼▼▼《作者視点》


 とりあえず、これで第1章は終了です。今回から、《》を使って誰目線かを分かりやすくしてみました。

 1章のテーマは、生誕と変わらぬ価値観、でした。

 これを見て気に入ってくれた皆様方、今後ともよろしくお願いします。

 1章が終わったからと言って少し休んだりとかはありません。

 いつも通り書いたら即投稿スタイルです。

 コメントお待ちしております。


《ステータス》


名前:アテルビア・リベルスタ

年齢:1歳(20歳以上)

種族:人族→半人工人族(頭は作り替えてない)


状態:満足、困惑

魔力量:約3600

成長性:↑↑↑↑↑up

精神的苦痛許容度:↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑up










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