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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第九十八話 戦いの後で


「兄上!! クーちゃんがパワーアップしたぞ!!」


 魔璃華の暗黒魔法『盟主の覇権』によって支配下に加わった『世界喰い』の一部は、クーちゃんと合体して成長した。かいわれ大根のようだった貧弱な姿からエンドウ豆のような見た目に変わった。


「今のところ周囲への悪影響は無さそうだ。こうなってくると育てる楽しみが出てくるよね」

「うむ、どうやらあの暴食ともいえる機能は根の部分が担っている可能性が高いな」

「たしかに……『世界喰い』と戦うのは今回で二回目だけど、一番攻撃的なのは根だよな……もしかすると根さえ取り除けば無害化出来るのでは?」

「うーん、あくまで苗木だから単純に出来ることが限られている可能性もあるんじゃないか?」


 もちろん結論は出せないが、だからといって考えることを止める理由にはならない。いずれ本体と対峙する機会が来るのだ。その時までは検証を続けて行こうと克生と魔璃華は決めた。

 

 


「ところで魔璃華姉さま、克生お兄さまはなぜ『世界喰い』にとどめを刺さなかったのですか?」


 融合実験が終わった今、倒さない理由は無いはずだ。『世界喰い』を倒さないままゲートでどこかへ行ってしまった克生の行動にクロエは不思議そうに首をかしげる。


「ああ、それは――――」

「経験値を仲間全員に獲得させるためですよ、クロエ」


 魔璃華が答えようと口を開いたが、聖が横から先に説明してしまう。


「くっ、私のセリフを取るな聖!!」

「まあまあ、ほら、お兄さま戻って来ましたわよ」


 焔が指さす方向にゲートが開いて――――竜皇国へ向かっていたサラ、ミルキーナ、ハクアの三人、そして――――日本にいるハーレムメンバー+鳳凰院家の使用人たちが勢ぞろいする。


 マイアや『紅蓮の刃』はすでにレベル上限に達しているので今は連れてきていないようだ。


「完全に弱体化しているので、今ならボーナスステージですよ」


 先日のピクニックでステータスを持たない地球人であっても魔物を倒すことで能力が向上することがわかっている。克生としては、英雄スキルが使えない鬼塚さんを始めとした男性陣には是非とも強くなってもらいたいと思っている。ずるいやり方かもしれないが、安全を確保するためなら気にしないのだ。



「え!? 学校を休むのか?」

「はい、真冬先生、『世界喰い』をなんとかするまでは学校へは行けないと思います」


 克生、クロエ、聖、焔、魔璃華の五人はこのまま異世界で『世界喰い』の分体を駆除しつつ本体の元に居る両親たちとの合流を目指すことになる。『女神のキス』という強力な武器を得たが、残された時間は変わらないのだ。使用人たちの強化を急いだのもそれが理由だ。


「わかった、学校のことは心配するな、上手く誤魔化しておくさ」


 真冬は任せろと笑う。


「ありがとうございます。先生」


「むう……私も一緒にって言いたいけど、足手まといだもんね……絶対に無理しちゃ駄目だよ?」

「ああ、無理はしないし絶対に誰も死なせないよ、真尋」


 皆、一緒に行けないことはもちろん残念ではあるのだが――――不満を持っている者はいない。


 なぜなら先ほど――――


「頼む、今日から『世界喰い』を倒すまで、今まで以上に、限界までイチャイチャして欲しいんだ」


 克生に土下座して頼まれたからだ。


 一緒に入浴、添い寝はこれまでもしていたが――――これ以上を求めているのだ。克生としては土下座しても足りないと思っているが、女性陣からすれば願ったり叶ったり、棚から牡丹餅、世界喰い様様である。


 メイドたちも転がり込んだチャンスに目の色を変える。何せ人数は多い方が良いのだ。それに――――真面目で誠実な克生はイチャイチャした相手をその場限りで捨てることは絶対にしない。フリーのものは当然だが、既婚者や彼氏持ちのメイドたちも真剣に別れることを検討し始める。



「……なんか私たちだけ戦わされるの損してないですか?」

「たしかに……みんなイチャイチャだけ堪能して戦うのは私たちって……」

「まあそう言うな、私たちには融合という究極のご褒美があるじゃないか!!」


「……あの、私にはそのご褒美すらないんだけどそれは?」


 戦わされてご褒美無しの紗恋が恨めしそうに愚痴をこぼす。


「紗恋さん、元気出して、私からお兄ちゃんにちゃんと伝えておきますから」

「あーん、聖ちゃんありがとう!! もう大好き!!」


 紗恋に抱きしめられて嬉しそうに微笑む聖だったが、克生を見かけて呼び止める。


「お兄ちゃん、これからイチャイチャするならマイアさん忘れてますよ!! また拗ねられても知りませんからね」 

「あはは……ありがとう聖、すぐに連れてくる!!」


 どうやら本当に忘れていたようで慌ててゲートで消えてしまった。




「……あれ? おかしいな、マイアの所へ飛んだはずなんだけど」

『全然おかしくないわよダーリン? 夫が妻の元へ帰ってくるのはむしろ当然だと思うの』


 挿絵(By みてみん)


「女神さま、じゃなかった……ラクシュ、どうしたんですか? さっき別れたばかりじゃ――――」

『あのね、私は新婚なのよ? 一秒でも離れていたくはないの!! さあ私とイチャイチャするわよ!!」

「あの……こんなこと聞くのは本当にアレなんですけど……ラクシュとイチャイチャしたら英雄スキルでレベルアップするんでしょうか?」

『はあ……克生くん? もう少しデリカシーってものを学ぶべきね。まあ……上がるけど!! めっちゃ上がるけどね!! この私がたかが人間のハーレムごときに負けるわけ無いでしょ!! 世界喰いの経験値だって私が目一杯上限までぶち込んだおかげだからね!!』


 自慢げに控えめな胸を張る女神さま。


「そうか!! よし、ラクシュ、目一杯イチャイチャしましょう!!」

『……嬉しいんだけど、なんかレベルアップ目的みたいで複雑な気分だわ……』


 しかし――――複雑な気分だったのは一瞬で、イチャイチャが始まるとそんな余裕は無くなってしまう。


『ち、ちょっと待って!! た、タイム!!』

「どうしたんですかラクシュ? まだ始まってもいないんですが」

『え!? まだ始まってもいないの……? 私……大丈夫かしら……』 


 不安そうに震えるラクシュを抱きしめる克生。


「大丈夫ですよ、俺に任せてください」


 安心させるような克生の笑顔に少し落ち着くラクシュ。たしかに……克生はある意味イチャイチャのプロフェッショナルだ、ここは任せた方が良いだろうと判断する。


『そ、それは――――駄目えええええ!!!』


 どうやら――――ラクシュには色んな意味でまだ早かったらしい。 

母が入院することになりました。重ねて週明けから忙しくなることもあり、時間的精神的に更新は難しいと思います。一気に完結まで進めたかったのですが……。クリスマス明けまでは週末更新がたぶん限界かな……年内に完結する予定はなんとか死守したいと思ってはいます。

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