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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第五十七話 王都ソードキア


『ぴゅいぴゅいぴゅ~い!!!!』


 一週間ぶりの再会、ハーピーたちが嬉しそうに囀りながら整列している姿は実に愛らしい。


「みんな無事で良かった!! お腹空いてないか? え? たくさん食べたから大丈夫? そうか、それなら良かった」 


 魔璃華はハーピーたちの頭を撫でながら怪我が無いことに満足そうな笑顔を浮かべる。


 街への入場が認められている従魔と言えども、さすがに店で食事を、というわけにはいかない。克生たちが居ない間は自給自足してもらうことになる。


 幸いハーピーは雑食で、肉、木の実、果物、虫、魚、魔物、それこそ人間が食べるものだけでなく人間が食べないものまで栄養源とする上、空も飛べるので食材の確保にはさほど困ることは無い。さらには小柄で比較的安全な木の上や岩山などを寝床とするので休憩場所にも事欠かないというコスパの良い魔物だ。



「ハピコ、何か変わったことは無かったか?」


 ハピコというのはハーピーたちのリーダーの名前だ。便宜上必要だったので魔璃華が名付けたのだが、当初そのネーミングセンスを巡って大いに揉めた。本人――――いや、本鳥?が気に入ったため有耶無耶になってしまったが、他のハーピーたちの名付けの際には自分たちが付けると克生たちは鼻息を荒くしている。


『ぴゅいぴゅい!!』


 ハピコが脚を差し出すと、そこには木片が括りつけてあった。


「これは……なるほど、冒険者を助けたのだな!! よくやった!!!」

『ぴゅい!!!』


 魔璃華に褒められてバッサバッサと喜びの舞を披露するハーピーたち。


 当然安全第一だが、無理のない範囲で彼女たちの自己判断に任せている。その結果人助けをしたのであれば、主たる魔璃華も誇らしい。日本から持ってきたヒマワリの種を与えて大いに甘やかす。


「……映像を見たけど、結構ヤバかったみたいだな。オークの群れを相手に全滅しかかっていた。気になるのは本来居るはずの無い場所にオークの群れが居たことだけど……」


 映像を見ながらその時の状況を確認する克生、音声も拾っているので会話の内容もバッチリ把握できる。


「うーん、魔物というのは基本的に生息域から離れないものだから……何かの異変の兆候という可能性も捨てきれないわね。世界喰いに関係があるのかはわからないけど調べておいた方が良いかもしれない、幸いその冒険者たちの居る街はここから遠くないし克生くんのゲートで行ける場所だから時間のロスもほとんど無いしね」


 紗恋の提案で寄り道することが決定したが、その前に――――


「オークの肉食べてみたいですわ!!」

「たしかに旨そうだよな!!」

「うむ、私も食べてみたいぞ!!」

「イベリコ豚みたいな感じなのでしょうか? 興味深いですね」


 オークの肉は高級な豚肉みたいな味がすると紗恋が言ったために大いに盛り上がる一同。


「……うええ、私はそんなもの食べたくないんですが……?」


 ごく一名クロエを除いて。


「くっ……ハーピーたちにマジックバッグを渡しておけば……」


 というわけで、早速マジックバッグを作ってハーピーたちに渡す克生、使い方は魔璃華が教えている。これで今度からはハーピーたちが倒した素材も手に入れることが出来るようになるはずだ。 


「オークの肉なら大抵の街で食べられるはずよ?」


 紗恋の言う通り、オークの肉はこの世界では貴重なたんぱく源となっている。マズくて食えたものではないゴブリンなどと違って、オークは全身余すところなく食することが出来る優良魔物。買い取り価格も安定しており危険はあるがそれ以上にリターンが大きいのだ。


「お兄さま!! 早く街へ行くのですわ!!」

「うむ、兄上急ぎましょう!!」

「お兄ちゃん、私はステーキが食べたいです」


 おなかを空かせた妹たちを待たせるわけにはいかないと、克生はゲートを開く。


 当然ハーピーたちも一緒だ。


「それでは……いざソードキアの街へ!!」


 



 ソードキアは、ジラルディ騎士国の王都に相当する街だ。ただ王都とは言っても広いだけで人口の少ないこの国では一番大きいというだけで、たとえば克生たちが先だって立ち寄ったナシテとは比べ物にならない。人口は五千人程度、大国で言えば中小規模の街と変わらない。


「まずは腹ごしらえだな。紗恋さんはこの街に詳しいんですか?」

「いいえ、一度来たことがあるだけで詳しくは無いわよ?」


「でしたら私が冒険者ギルドでおススメの店を聞いてきますね」


 私に任せてくださいと聖が手を挙げる。


「一人で行くつもりか? 危ないから俺も一緒に――――」

「大丈夫です、すぐ戻りますので」


 心配無用と走り去る聖。もちろん聖の強さは克生も知っているが、かわいいくて美人の妹をケダモノどもの巣窟であるギルドに行かせるのはやはり心配である。


「心配ですね」

「……心配ですわ」

「うむ、心配だな」

「心配ね」


 ちなみに克生以外のメンバーが心配しているのは聖ではなく、相手の冒険者だったりするのは余談である。



「こんにちわ、オークのステーキが美味しい店を教えて欲しいのですが」


 冒険者ギルドにたむろしていた冒険者たちは大いに沸き立つ。なにせ絶世の美少女が一人でやってきたのだ。まさに腹を空かせた猛獣の檻に迷い込んだ哀れなウサギといえる。


「へへへ、それなら俺たちがご馳走してやるよ、もちろんその後はアンタをご馳走になるけどよ!! ぐへへへ――――ぎゃああああ!?」


「……連れがいるので結構です。それでおススメの店は? 早く教えないとその腕がねじ切れてしまいますよ? ああ、一応言っておきますが……変な店を教えたら――――殺しますよ?」


 ちょっかいを出してきた男の腕はすでに曲がっては行けない方向にねじ曲がっている。そしていつの間にか首筋に突き付けられたナイフの冷たさ、そしてそれ以上に冷え切った殺し屋の瞳に射抜かれて男たちは例外なく失禁する羽目になった。



「お兄ちゃん!! 親切な冒険者の方々に良いお店を教えていただきました!!」

「そうか!! ありがとう聖!! ひとりで怖くなかったか? 俺、心配で心配で……」


 戻ってきた聖を抱きしめる克生。


「はい……とっても怖かったです……お兄ちゃん!!」


 とろんと惚けるような視線を克生に送る聖。


「嘘ですね」

「……嘘ですわ」

「うむ、嘘だな」

「嘘ね」


 甘い雰囲気を作っている二人にジト目を向ける妹たちであった。

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