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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第五十三話 冒険者ギルドにて


「まずは冒険者ギルドへ行きましょう。先のことを考えればこの際冒険者登録も済ませておいた方が良いし、前回集めた魔石を換金して軍資金にする必要もあるしね」


 克生たちにはいわゆる身分を示すものが無い。無いからと言って街に入れないわけではないが、国や街の状況によっては立ち入りを拒否される可能性もある。情報を集めるにしても買い物や取引をするにしても、身分を示せた方がはるかに条件が有利だし信用してもらえるのだ、持っていて損は無く、例えば冒険者ギルドで魔石を売るにしても、冒険者登録していないと割高な手数料を取られてしまう。


 この先どれだけこの世界と関わることになるのかわからないが、緊急時など、どこの馬の骨かわからない者の言葉よりも、高位冒険者の言葉の方が説得力もあるし聞いてもらえる可能性が上がる。



「焔、五人の美女を連れているいかにも新人丸出しの男、絡んでくれと言わんばかりだがどう思う?」

「ふふふ、お兄さまこれは異世界名物先輩冒険者からの悪絡み来ますわね!!」

「ハハハ、いつでもかかって来るが良い、私が薙ぎ払うまでがお約束だ!!」


 ナシテの中心部、大勢の人々が行き交う一等地に冒険者ギルドの建物はそびえ立っている。期待に盛り上がっている三人の様子を苦笑いで見つめるクロエと紗恋。


「クロエ姉さま、真っ先に狙われると思いますので絶対に離れないでくださいね?」

「は、はあ……?」


「クロエちゃん、今の貴女をどうこう出来る存在がそうそう居るとは思わないけど、この世界には警察も居ないし自分の身は自分で守るしかないの、油断は禁物だし一人で街を歩くのは論外、襲ってくれと誘っているようなものだからね?」


 慣れて来たころが一番危ないと紗恋は言う。この世界には様々な魔法、魔道具があるし遺跡から発掘された古代の遺物のようなレアな効果を持つ強力なアイテムも存在する。ある意味で結果こそが一番わかりやすい正義であるのだ。単純な個人の力量だけで判断すると足元をすくわれる。


「は、はい、気を付けます!!」 


 クロエだけではなく、皆同様に気を引き締める。彼らはこの世界に遊びに来たわけではない、つまらないことに足を引っ張られている余裕はないのだ。



「おお……これはすごいな!!」


 ナシテの冒険者ギルドは大通り沿いということもあって大勢の人でごった返していた。特に依頼が貼り出してある掲示板の前には常に人だかりが出来ており、職員が新たな依頼を貼り出すたびに怒声と共に人が一気に動き出す。


「依頼は基本的に早い者勝ちだからね、ああやって自分たちの希望に近い依頼が出てくるのを朝からずっと待っているのよ。まあ……当然条件が良い依頼は奪い合いになるけど――――そういう時は冒険者ランクの高い冒険者が優先権を持つことになるわ」


 たとえばBランクの冒険者とCランクの冒険者が競合した場合、Bランクの冒険者が優先権を持つ。Cランク冒険者は諦めて別の依頼を探すか、交渉して譲ってもらうなどする必要があるのだ。


「同じランク同士の場合はどうなるのですか?」

「その場合は――――力づくね、ほら、あんな感じで」


 今、まさに二つのパーティがにらみ合っている。ギルド側は余程のことが無い限り基本的に干渉してこない。冒険者ギルドは仕事を斡旋するのが仕事であり、個人事業主である冒険者を守ることも仲裁することもないのだ。


「とはいえ、冒険者は身体が資本だし、金にもならないのに怪我なんてしたら大変でしょ? だから交渉を有利に進めるために威嚇することはあっても戦闘になることはまずないわ、ほらね」


 今にも衝突しそうだった二つのパーティだったが、今は一つのテーブルで話し合いを始めている。たとえば成果報酬のように依頼の内容によっては、合同で協力した方が良いケースも多いのだ。


「うーん、ということは……」

「期待しているところ悪いんだけど、女連れだからって冒険者ギルド内で襲ってくるような冒険者なんて滅多に居ないわよ? 冒険者ギルド自体は争いごとに不干渉だけど、行動は見られているからギルドと絡む様々な場面でデメリットしかない、たとえば価格交渉や昇級試験、非公開依頼とかね。他の冒険者だって見ているんだから悪評が拡がれば街で活動しにくくなる。自分たちの首を絞めるような真似は百害あって一利無しだからね」


 逆に言えば、人の目が無いところではその限りではないということ、そういう意味では克生たちは実に目立つ。悪意を持った人間からすれば、まさに美味しいカモだ。直接手を下さなくとも、欲しているところへ情報を売るだけでもひと稼ぎ出来てしまう。


「あら……そういえば聖は?」


 冒険者ギルドに入る時は居たんだけど、と周囲を探す焔。


「すいません、ちょっと不届きな輩がおりましたので始末――――いえ、指導しておりました」


「そ、そうなんですの? さすが聖ですわ、おほほほ」

 

 なんとなく怖いのでそれ以上ツッコまない焔。



「早く行くわよ!!」


 紗恋に誘導されて受付カウンターへ移動する一同。


「いらっしゃいませ冒険者ギルドナシテ支部へようこそ。本日は依頼ですか?」

「冒険者登録したいのだけれどお願い出来るかしら? 後、登録後、魔石の買い取りも合わせて頼むわ」

「かしこまりました、それでは皆さまこちらへ記入お願いします。読み書きが出来ない方は代筆も承ります」


 克生たちは石板のようなものに文字を刻んでゆく。ちなみにこの世界の文字は女神の加護によって読み書き可能となっているのでまったく問題はなかったりする。


「はい……問題ございません。それでは最後に血、もしくは魔力をコアに注げば登録完了です。


 コアというのは、石板に嵌め込んである宝石のような石のことだ。魔力にはそれぞれ指紋のような波長の違いがあり、それを利用して世界中のギルドネットワークは情報共有をしている。もっとも魔力を扱えないものの方が圧倒的に多いので、実際は血を垂らすことで代用しているのだが。

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