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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第五十一話 聖の想い


 世界なんて――――人類なんて滅んでしまえば良い。


 ずっとそう思っていた。


 私は生まれつき人が何を考えているのかなんとなくわかる。それが普通じゃないことに気付くまでそう時間はかからなかった。


 人間は汚く醜い生き物だ――――表面上は綺麗に取り繕ったところで心の中ではゾッとするようなことを考えている。とりわけ――――幼い私にたいして向けられる性的な好奇心――――いや、そんな生易しいものではないか、歪んだ獣のような――――違う、獣はそんなことは考えたりしない――――吐き気を催す邪悪な存在、それが人間。


 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い


 だが――――人間というのは環境に適応する生き物だというのはどうやら本当のことらしい。


 成長するにしたがって冴えてゆく力にたいして私は――――消えることのない増悪を抱えたまま、微笑みを浮かべることすら出来るようになっていた。



「ねえ聖、あなた人間なんて、この世界なんて滅んでしまえば良い、皆殺しにしてやりたいって思ってるでしょう?」


 ある日、母にそう言われたときは正直驚いた。


 母は私が心を読めない数少ない人間だ。だけど、母も同じことを考えていたんだろうなということは何となくわかった。


「母様もそう思っていたのですか?」

「そうですね、主様……あなたのお父様に出会うまではそう思っていました」


 お父様……一年の大半家に帰ってこない人。母様とは違って心が読めないわけじゃないけれど――――何というかまるで何人もの人が同居しているような気持ち悪さを感じてちょっと苦手だ。


 でも――――母様の言うことはなんとなくわかる。父様は温かい人、言葉と心の中が一致しているから安心できる――――気がする。


 そういえば焔もそうかもしれない。くだらないことしか考えていないけれど、その馬鹿さ加減に私は救われてきた。だから守ってあげている。彼女に向けられる醜くどす黒い敵意から。


 まあ……そういう人たちは生かしておいてあげてもいいかもしれない。うん、そうしよう。


「うふふ、聖、貴女もいつか運命の人に出会ったら――――きっとわかりますよ」


 運命の人? 私にもそんな人がいるのだろうか? 


 わからない、でも――――もしそうなら、もう少しだけ待ってみるのも悪くはない。


 世界を滅ぼすことならいつでも出来るのだし。 



 私は――――克生さまと出会ってしまった。


 生まれて初めてドキドキした。その表情に心がかき乱されて――――目が離せなくなる。その優しく甘い声に私の耳は歓喜に震えて愛おしさに心が支配されてしまう。


 こんなこと知らない。こんな気持ち知らない。目と目が合うだけで幸せな気持ちに満たされる。触れて欲しい触れてみたい――――そんなことばかり考えてしまう。


 そうか、母様……これが運命の人なんですね。


 今ならわかる。克生さまをこの世に存在せしめた世界に感謝すらしている。 



 だから――――人類を滅ぼすのはやめることにしました。


 もっと良いことを思い付いたのです。


 この世界を克生さまで埋め尽くす――――お兄ちゃんの子なら私はきっと無条件で愛せる。


 私一人ではせいぜい五、六人が限界でしょう。


 だったらハーレムを作れば良い。世界はお兄ちゃんかそうでないかで分けられる。お兄ちゃんの子どもが増えて行けば世界はきっともっと良くなるに違いないのだから。


 もちろん――――誰でも良いわけではありません。


 お兄ちゃんの寵愛を受けるのであれば、それ相応の人間で、心からお兄ちゃんのことを愛しているのでなければなりません。



「これより臨時義妹会議を開催いたします。本日の議題は義妹ハーレム計画新規加入者の承認に関してです。追加候補者は、城ケ崎 千鶴、サクラ=リアーナ=クイーンズランド、ミサキ=ライラ=クイーンズランドの三名です」


「私は異議なしですわ。千鶴のことは良く知っていますし、サクラとミサキは家族みたいなものですから今更ですし」


 お嬢さまの反応は想定通り。


「ふーん、まあ……良いんじゃないか? 千鶴のことはあまりよく知らないけど焔と聖が推薦するなら反対はしない。サクラとミサキについても同意する」 


 魔璃華は性格的に嫉妬とは無縁。身内に対してはとても面倒見が良く無条件の信頼を持っている。千鶴はともかく、ミサキとは馬が合って仲良しですし、魔王の娘ということもあって王族には親近感を抱いていますからサクラも問題なく認めてくれると思っていました。

 

「えっと……聖? これは一体……?」


 一番の問題はクロエですね。今回の一連の出来事にノータッチでしたから感情的な部分での共感値がほとんど期待できません。


「聖ではなくデルタですよベータ」

「ご、ごめんなさいデルタ、でもいきなり三人も候補が増えるんですか?」

「三人も、ではなく私の感覚では数百名の中から厳選してなんとか三名に絞ったんですけれど。私の苦労も少しは理解していただけると助かります」

「そ、そうだったのですね、私、何もしていないのに勝手なことばかり……ちゃんと説明を聞いてから発言すべきでした」


 クロエさまは素直で思ったことがそのまま言葉や行動に出てしまいます。私はとても好ましく可愛らしいと思っているのですが本人は欠点だと思っているのが少し残念ですね。


 そして――――クロエさまの言う通り説明不足であると感じたので、事の詳細、成り行きを多少脚色を交えながらプレゼンします。



「なるほど、そういうことでしたら私が反対するのもおかしな話ですね」

「わかっていただけて幸いですベータ。もちろん新規加入によって私たちの序列がそれによって揺らぐことはありませんのでご心配なく。ただし、私たちが異世界へ行っている間、留守中の不安を解消するために克生さまによる一定の強化を行ないたいと思いますのでその点ご理解ください」


 当面、週末や長期休みは異世界へ行くことが決まっている。その間にもし彼女たちに何かあった場合、克生さまの心痛はいかばかりでしょう。私のハーレム計画にも支障が出かねませんからね。

 

 克生さまには負担をかけてしまいますが、当面自衛が出来る程度にデート(強化)していただき、同時に親密度(忠誠心)を上げていただきましょう。


「あ、それからベータ、貴女の友人である四葉も近いうちに候補入りする可能性がありますので、一応報告しておきます」

「ええっ!? 四葉ちゃんも!? はあ……わかりました、意識しておきます」

克生「あれ? また皆居ないのか……」

鬼塚「皆さま会議中でございます」

克生「また? みんな仲良しで何より……なのかな?」

鬼塚「そうですね、概ねその通りかと」


クロエ「そういえば紗恋姉さんの承認は良かったのですか?」

聖「はい、事前にオールオッケーと軽いノリで言われました」

クロエ「あはは……想像できてしまうのが……」

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