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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第三十四話 クロエの背の上で


「紗恋さん、実家に顔出さなくて本当に良かったんですか?」 

「顔出したら面倒ごとに巻き込まれるってわかり切っているからね……まあ……世界喰いの件が片付いたら顔出すつもりよ。もちろんその時は――――克生くんも一緒だからね?」

「え? 俺もですか?」

「当たり前じゃない。この人が私の愛する旦那さまですって、紹介するんだから」

「さ、紗恋さん……」


 克生の首に腕を回してキスをする紗恋。


『ちょっと……私の背中で堂々とイチャつくのやめてください!! ズルいです!!』


 下の方から抗議の声が聞こえてくる。竜化して飛行中のクロエだ。

 

「あはは、ごめんねクロエちゃん、でも強化するためだから」


 さすがの紗恋もクロエが働いているのに意図的に抜け駆けするようなことはしない。妹たちと違ってレベルアップによる強化が出来ない以上、こうして地道に克生の英雄スキルを活用してゆくしかないのだ。


『くっ、そ、そうでしたね……』


 そして――――そのことはすでに臨時義妹ハーレム会議で承認可決されている。クロエもここは大人しく引き下がるしかない。というか飛んでいるので口を出す以外何も出来ないのだが。


「クロエ、疲れてないか? 無理するなよ?」


 克生はクロエを労わりつつも視界は常に全方位に向けられている。そうすることでゲートの移動先を増やしているのだ。普通なら似たような景色にしか見えないが、完全記憶を持っている彼ならば一度見れば完璧にマッピングされるのだ。


『大丈夫です、克生お兄さま。出来るだけ距離を稼ぎたいのでもう少し頑張ります!!』


 竜化したクロエは、アッシュグレーの鱗にバイオレットの瞳が美しいドラゴンだ。体や翼のサイズはある程度自在に変えることが出来るらしく、通常は魔力で飛んでいるが、翼を大きくすれば魔力を使わずに飛ぶことも出来るらしい。


 今は全員を乗せるため、体長は二十メートルほど、翼は最大まで大きく広げている。魔力を節約する他、翼を使った飛行に慣れるという意図もある。



 今日の目的地は――――マガト。シルヴァニア公国の北に位置する獣人国家マグネシアの王都だ。馬車を使えば一か月ほどかかる行程だが、竜化したクロエならば一日とかからない。



『ところで魔璃華』

「何かなクロエ?」


『なんでハーピーまで私の背中で休んでいるんですかっ!?』

「え~、だってせっかく配下にした可愛い部下だよ? 置いていけるわけないじゃないか!!」


 飛行速度が違い過ぎて付いてこれないので、魔璃華はクロエの背中に乗せることにしたのだ。もちろんただ乗っているだけではない。皆の癒し要員として抱き枕役を立派にこなしている。


『はあ……まあ……可愛いから良いですけど!! 後で私にもモフらせてくださいね!!』

「もちろんだとも、頑張ったクロエのためにハーピー全員貸し出そう!!」

「ぜ、全員……て、天国ですね……が、頑張ります!!」


 ハーピーたちはウサギのような柔らかい毛とフクロウのようなフワフワの羽毛を持っている。クロエは早くその体に埋もれたいと願いながら全力で空を駆けるのであった。



 日が完全に落ちて夜を迎えた頃――――


 クロエはマガトから少し離れた森の中へ降下してゆく。


 巨大なドラゴンが街の上空に現れたら大騒ぎになるからということもあるが、竜化したクロエは全裸なので他人に見られてしまうリスクを排除しなければならない。乙女の尊厳は何よりも優先されるべきなので当然の配慮だ。


「はあ……全裸で飛んでいると考えると恥ずかしい……」


 竜化を解いて人に戻ったクロエが両手で顔を覆って体育座りしている。竜化している時はあまり気にならないようだが、人に戻ると羞恥心に苛まれるらしい。ちなみにハーピーたちは街へ連れてゆくわけにはいかないので、出発まで森で大人しく待機してもらうことになる。


「ほら、ハーピーたちが待ってるぞクロエ」


 落ち込んでいるクロエに魔璃華が声をかける。


「はっ!! そうでした!! 今行きます!!」


 落ち込んでいたのが嘘のように、ハーピーたちのモフモフパラダイスへ飛び込むクロエ。


「うへへへへ……幸せえええ~癒されるうううう」



「クロエ姉さま……他人には見せられない緩み切った顔してますわね……」

「いざという時のために記録に残しておきましょう」

「聖、何に使うつもりだ? さすがに可哀想だろ」

 

 クロエとしては、このままハーピーに埋もれて寝てしまいたいところだろうが、さすがに森で野宿させるわけにはいかない。せめて少しでも長く――――時間の許す限り待ってあげようと克生たちは温かく見守るのであった。




「今日は疲れただろ、ほら、街までおんぶしてやる」

「克生お兄さま!!」


 頑張ったクロエを甘やかす克生。クロエは嬉しそうにその背中に飛び乗る。


「うふふ、毎回こうしてくださるのでしたらクロエは頑張れそうです……」


「くっ、羨ましいですわ……お母さまが使えるのなら、私にも魔法使えるのでは?」

「私も早く飛べる魔物を配下にして兄上におんぶしてもらいたい……」


 幸せそうなクロエを見て、闘志を燃やす焔と魔璃華。


「言ってくれればいつでもおんぶくらい――――」

「駄目よ克生くん、おんぶの安売りは感心しないわね。ちゃんと頑張ったご褒美にしないとクロエちゃんが可哀想よ?」

「な、なるほど……わかりました紗恋さん」


 おんぶはご褒美――――無理やり納得する克生。


 

 おんぶ問題が一応の決着をみたところで聖が口を開いた。


「皆さんわかっているのですか? これから行くマガトは獣人の国なのですよ? おそらく街中にもっふもふが歩いているはずです。油断していると死にますよ?」


 稲妻に撃たれたように全員が衝撃を受ける。獣人に慣れている紗恋を除いて。


「そ、そうだった……完全に油断していた」


 果たして自分を抑えきれるだろうか? 自問自答する克生。


「だ、駄目ですわ……もうすでに膝がガクガクしてきましたわ……」

「紗恋、獣人を配下にしても? 駄目? じゃあお持ち帰りは……それも駄目なのか……」


 焔も魔璃華も平常心ではいられない。完全に自分を見失っている。


「はあ……まったく情けないですね、きちんと交渉して許可を貰えば良いではないですか」

「待って聖、それを街中で絶対やるんじゃないわよ? やりたければそういうお店に行ってやりなさい」


 駄目だ……全員ポンコツになってる。


 大きなため息をつく紗恋であった。 

クロエ「あ、あんまり見られると恥ずかしい……です」

克生(うーん……さすがに鱗に興奮は出来ないな)

魔璃華「はあ……はあ……可愛いよクロエ」

焔「魔璃華の感性は独特ですわね……」

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