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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第三十話 異世界到着


『――――というわけで、克生くんたちにはレベルアップによる成長上限がありません。ですので、これから魔物を倒しまくっていただいてガンガン強くなってくださいね』


 にっこり微笑む女神さま。


 女神の力で強くすることはルール違反で出来ないらしい。だが――――女神の加護による効果でレベルアップしやすくなっているとのこと。


「ところで、どのくらい強くなれば世界喰いを倒せるようになるんですか?」

『うーん、最低でもレベル一万くらいかしら……。個体差もあるし成長度合いで強さも変わってくるからはっきりとは言えないけれど』

「い、一万……ですか。ちなみに勇者のレベル上限って?」

『勇者はレベル999よ。冬人はすでに上限に達しているわ。それくらいだと種や葉はなんとかなるけど本体にダメージを与えることは出来ないから時間稼ぎするのが精一杯というところかしら』


 時間稼ぎと言っても限界があるだろう。現に一度も戻って来ていないのだ。克生たちは一刻も早く強くならなければと力が入る。


『ふふ、気持ちはわかるけれど、焦りは禁物よ。世界喰いの浸食が危険水域に達するまでは数百年はかかるわ。だから絶対に無理はせずに学校生活を楽しみながらゆっくり確実に強くなりなさい。万一あなた方が死んだら世界は終わりだからね。あ……でも勇者一行の限界が先に来ちゃうかしら、とりあえず彼らと交代で戦える程度には早めに強くなってあげると喜ぶと思うわよ?』 

 

 結局、短期的には多少焦る必要はあるのかもしれない。


 

『それじゃあ頑張ってね!! 私はいつでも見守っているから』


 光と共に女神の声が遠くなり――――


 気付けば見知らぬ場所に降り立っていた。



「……ここは? あの景色……もしかして」


 遠くに見える尖塔――――緑に吞み込まれたように見える大きな街。


「そうよ克生くん、ようこそわが国へ。ここがシルヴァニア公国よ」





「ねえ紗恋姉さん、せっかく帰って来たのに王城行かないの?」


 紗恋はここシルヴァニア公国の公女、つまりはお姫さまだ。クロエたちはお城で豪華な食事を期待していたのだが――――


「あはは……。私は国を捨てて出て行ったようなものだからね、今更公女面して歓迎しなさい、なんて言えるわけないでしょ? 行く必要が出てきたら仕方ないけど、今は街で情報を集めましょう」


「そうですね、お城もそうですけど異世界の街も楽しみです。やっぱり獣人とかいるんですか?」


 異世界モノの小説を書くほどの克生だ。当然興味津々、かなり興奮している。


「いるわよ、言っておくけど獣人にうかつに触ったらダメよ? 特に耳とか尻尾とか、悪意が無くても親しくもない相手からそんなことをされたら攻撃されても文句は言えなくなる」


「そうなのか……モフりたかったのだが……」


 魔璃華が残念そうにつぶやく。


「わかりやすく言えばね、いきなり胸を揉まれるのと一緒らしいわ。いかに失礼なことかわかるでしょ?」

「そ、それは――――嫌ですわね」


 焔が嫌そうにすると妹たちが全員力強く同意する。


「男の獣人の場合は、急所を鷲掴みされるのと同じよ」

「ひえっ!?」


 想像した克生が思わず変な声を上げる。


 まあ……普通に考えたら知らない人にいきなり触られたら獣人でなくとも嫌に決まっているわけで。


 さすがに初対面でモフり出すメンバーはいないと思いたいが、この世界では召喚された勇者がいきなり獣人をモフって事件になるのが様式美として知られているので、紗恋としては予防線を張った形だ。



「ところで紗恋さま、街に入る前にお金を入手する必要があるのでは? 持ってないですよね、こちらの世界の通貨?」


 聖が冷静にツッコミを入れる。 


「あ……そうだったわね。私、あまり自分でお金使ったことないから忘れてたわ……その辺を歩いている金持ってそうな連中を脅して――――」

「紗恋さんさすがにそれは――――」

「冗談よ克生くん」


 紗恋の冗談はたまにわかりにくい。ハイエルフジョークという奴だろうか?


「紗恋姉さんが王城に行って借りて来れば良いじゃないですか」

「……そんな格好悪い真似出来るかっ!!」


 クロエの意見はもっともなのだが、紗恋は一蹴する。よほど王城へは行きたくないらしい。


「こういう時は、その辺で襲われている馬車を助けて御礼を貰うのが異世界の定番ですわ!!」

「だよな!!」


 盛り上がる焔と克生。


「そんな都合良くいくのは小説の中だけですよ克生さま、お嬢さま――――えっと……襲われてますね……馬車」


 聖の視線の先で、賊に襲われている馬車がこちらに向かって走ってくる。


「だから言ったじゃない清川、さっそく助けて御礼ゲットよ!!」

「待て焔、相手の強さもわからないんだ、俺が行く」


 走り出そうとする焔を制して、レベル、ステータスともに一番高い克生が前に出る。


 賊は十人、全員剣や弓で武装しており、冗談でもなんでもなく本気で殺しに来ているから相当な迫力だ。紗恋以外は、実際に本物の賊に襲われた経験などあるはずもなく、当然だが普通に恐ろしい。


「こんな街の近くで賊が……? 公国の治安はどうなっているのよ……克生くん、私は馬車をなんとかするから、賊は任せるわ」


 この場合、危険なのは馬車の方だ。すでに殺されたのか御者台は無人となっており、興奮した馬によって馬車は制御不能な暴走状態となっている。


 さすがに馬車の扱いはわからないので、克生は言われた通りに賊の方へ集中する。


「わかりました、くれぐれも気を付けて」

「ふふ、それはこっちの台詞よ、皆は周囲の警戒をして!! 他にも仲間がいるかもしれない、居ても無理は駄目よ、貴女たち素手でも簡単に相手を殺せるくらい強くなっているんだから。多分、斬られても大丈夫だとは思うけど服は普通に破けるし、矢を眼球に受けたらそれなりに痛いかもしれないから気を付けて」


「紗恋姉さん……不安を煽るのやめてくれます?」

「そっか……服お気に入りだから破けるのはちょっと嫌ですわ……」

「お嬢さま……デートか何かと勘違いされてませんか?」

「そういう清川だってメイド服じゃないの!!」

「この格好が一番動きやすいんですよ、武器も隠せますし」


「おーい、お喋りも良いけど囲まれてるぞ」


 腕試しに丁度良い――――ニヤリと口角を上げる魔璃華であった。

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