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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第十七話 父からの手紙


 四月――――通常であれば入学式の準備などで慌ただしくなるタイミングなのだが――――


 星彩学園はごく一部の例外を除いて中高一貫教育システムを採用しているので、中等部の卒業式、高等部の入学式が存在しない。メンバーも変わらないので新学期を迎えるような感覚に近いといえばわかりやすいだろうか。


 そのため星彩学園の春休みはかなり長い。在籍している生徒の多くが上流に位置する家庭の子女であることもあって、海外や別荘で過ごす者も多いことも影響している。


 というわけで、鳳凰院家のメンバーは変わらずマイペースに日々を過ごしていた。



「克生お兄さま、十六歳の誕生日おめでとうございます!!」  


 四月二日、今日は克生の十六歳の誕生日である。


 朝、目が覚めると隣で寝ていたクロエがおはようのキスをする。


「おはようクロエ、ありがとう」


「お兄さま、この素晴らしい佳き日に祝福を!! お許しいただけるのであれば兄の日として祝日にするよう政府に働きかける所存ですわ!!」

「おはよう焔、とても嬉しいよ。でも祝日は勘弁な?」


 反対側に寝ていた焔を抱き寄せるとおはようのキスをする。


「おはようございます克生さま、誕生日誠におめでたく。本日の朝食は特別メニューをご用意いたしました」

「ありがとう清川。朝食から頑張ってくれたんだね、嬉しいよ」


 克生は馬乗りになっている清川を抱き寄せて朝の挨拶(キス)を交わす。


 

 美少女三人に優しく起こされる夢のような生活だが、克生の名誉のために言っておくと彼が望んだわけではなく、いつの間にかこうなっていたという方が正しい。もちろん義妹会議の決定によってこうなっているわけだが。


 多少疑問に思いつつも、三人からこれが普通ですと言われてしまえば、そんなものかと納得する真面目な克生である。 


 しかし――――


「うーん……さすが鳳凰院家の布団は違うわね、おかげでぐっすり眠れたわ。あ、おはよう克生くん、お誕生日おめでとう!!」

「……あの、なぜ紗恋さんが俺の布団の中にいるんでしょうか?」


 さすがの克生もこれには少々驚いている。


「ふふ、驚いた? サプライズよ誕生日サプライズ!! 今日から私もこの屋敷で暮らすことになったからよろしくね!!」


 これも義妹会議によって決まったことであるが、一人暮らしの紗恋としては、三食送迎付き、掃除洗濯家賃不要となれば得しかない。


「そ、そうなんですね、でも――――紗恋さんと一緒に暮らせるなんて嬉しいです」

「か、克生……くん……なんて嬉しいこと言ってくれるのかしら……もう!!」


 一緒に暮らすのであれば不公平は良くない。感極まった紗恋を布団から引きずり出して朝の挨拶(キス)をする。


「紗恋さん」

「なあに、克生くん♡」


 甘い期待に瞳を輝かせる紗恋。


「服、着てください」


 顔を赤くして目を背ける克生。


「あはは……ごめんね、私寝る時いつも全裸なの。でも克生くんになら見られても――――」


 言い終える前に、清川、クロエ、焔によって強制隔離されてしまう。


「「「紗恋さん!! やり過ぎです!!」」」

「……ごめんなさい」





「え? 俺宛ての手紙? 父さんから!?」


 行方不明になっている父からの手紙に大騒ぎになったが、どうやら失踪する前に期日指定で出されたものだと判明した。それでも失踪に関わる手がかりがあるはずだと皆の期待が膨らむ。


 読みたいような読みたくないような、そんな複雑な心境の中、克生は皆に見守られながら慎重に封を開ける。当然だが焔やクロエにとってもこの手紙の意味は計り知れないほど重い。




『克生へ。まずは十六歳の誕生日おめでとう!! この手紙を読んでいるということは残念ながら俺たちは今そこに居ないということだ。一緒に祝えなくてすまない。そして――――一緒にいるであろうクロエや焔にも詫びなければならないな。


 さて、お前は色々と聞きたいことはあるだろうが、この手紙では一番大事なことだけを伝えるぞ。


 それは――――お前の出生に関わることだ。いきなりで信じてもらえないかもしれないが、心して聞いて欲しい。


 俺は魔神を倒して異世界を救った勇者で、お前の母エリカは、エリカ・ルネット・グレイスフィールド、グレイスフィールド王国の第一王女で聖女だ。


 つまり、お前は勇者と聖女の息子ということになる。

 

 まあ……信じてくれなくてもいい、というかいきなりそんなこと言われても信じられないだろう。


 だから信じる信じないはどうでも良いんだ。この世界で生きている限りそんなことは関係ないからな。



 問題は、お前が十六歳の誕生日――――つまり成人を迎えた時なんだ。


 異世界人の血を引くお前は――――覚醒する。


 わかりやすく言えば、異世界人が持っているスキルや魔力だな。そういうものが覚醒するんだ。


 もしお前が一般人だったら大事になることはないから無視しても良いんだが……お前は勇者と聖女の子だ、間違いなく大きな問題になる。お前がどんなスキルに目覚めるのか、それは俺やエリカでもわからない。


 本来なら俺たちが立ち会ってやれれば良かったんだが――――それが叶わない現状、こうして手紙で知らせるしかないことを赦して欲しい。


 残念だが時間が無い、詳しいことを書き記すことが出来ないが、すべては紗恋と魔璃華が知っている。


 愛する息子、そして娘たちへ。


 冬人 』



「……えっと……これは……」


 手紙を読み終えた克生、そして聞いていたクロエ、焔、清川もどう受け止めて良いものか困惑している。そして彼らの視線は自然――――紗恋へと集まることになる。



「ふう……時間が無かったとはいえ、見事なまでに何も説明してないわね……まったく……面倒ごと全部私に押し付けるんだから」


 やれやれとため息をつく紗恋。 


「どこから説明したら良いのかわからないけど――――手紙の話は全部本当よ。まあ……言葉で説明するより見せた方が早いわね――――こんな感じで」


 紗恋の掌が光ったと思うと――――野球のボールくらいの水球が出現した。


「うわっ!? ま、まさか……魔法ですか?」

「嘘でしょ……」

「はわわ……」


「そうね、これが魔法。もう気付いてるかもしれないけど、私は異世界人なの。冬人やエリカと一緒にこっちの世界に渡ってきた仲間の一人。ただこっちの世界には魔力や精霊が存在しないから、大気中の魔力を利用する大規模攻撃魔法とか精霊の力を借りる精霊魔法とかは使えないんだけどね。そして――――私の異世界での名前は、サレン・シルヴァニア、ハイエルフが治めるシルヴァニア公国の公女よ」


「ちょっと待って、ということは紗恋さんはハイエルフってこと?」

「そうよ克生くん、普段は幻影魔法で隠してるんだけど――――」


 紗恋の姿がいつもより幼く、美少女度が増して見える。そして、特徴的な尖った耳。おそらくこれが本来の姿なのだろう。


「ということは紗恋さんて本当は何歳――――」


 見た目は克生たちと同じくらいに見えるが、両親たちと異世界から来たのであれば、むしろ両親たちと同じ――――いや、ハイエルフであれば三桁とかもあり得るかもしれない。


「十七歳よ」

「え? でも……」

「ハイエルフは歳を取らないの、だから十七歳、わかったわね?」


 凄まじい圧に屈する焔。


「というわけだからね、あと一年ちょっとで私も克生くんの妹になれるの~。今から待ちきれないわ~!!」

「そ、そうですね……うん……とても楽しみです」


 それはちょっと無理があるんじゃないかと思いつつ、今はそんなことは些細な問題だと受け入れる克生。


「ごめんなさい……話に全然ついて行けないのですが?」


 異世界やファンタジーに詳しい克生や焔と違ってクロエは先ほどから目を白黒させている。 


「大丈夫ですよクロエさま、克生さまの小説が現実になったと思えば大体あってます」

「な、なるほど!!」


 清川の助け舟でクロエも状況が少し理解できたようだ。



「さて、話が脱線してしまったけど――――時間もあまり無さそうだし、まずは喫緊の問題である克生くんの覚醒の話からしましょうか」

克生「紗恋さん、耳、触ってみて良いですか?」

紗恋「良いわよ、でも敏感な部分だから優しく触って……ね?」

克生「緊張するなあ……あ、思ったより柔らかいんですね……」

紗恋「うふふ、ハイエルフの耳は甘いのよ、克生くんなら舐められても良いわ」

克生「ぜ、是非……」


クロエ&焔「わぁ本当に甘い!!」

紗恋「なんで貴女たちが舐めてるのよ!?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] そういうことだったんですね! [一言] なんでローファンタジーなのかなーと思ってました。 なるほどです。
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