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義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


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第百五話 再会


 冬人とヒカリは想う――――この瞬間が永遠に続けば良いと――――このまま時間が止まってくれればいいと。


 その願いが女神に届いたのか――――なぜか『世界喰い』の攻撃は二人に届かない。


 ならばと二人は一層情熱的にキスを重ねる。


 そう――――見ているものが赤面してしまうほど熱烈に。



『えっと……どうしよう……どう見てもお取込み中だよな?』

『……母様……何してるんですか……』

『はわわ……ど、どうしよう、見ちゃだめだよね』

『は、破廉恥ですわ……!?』

『さすかは勇者……というところか』



「……」

「……」 


 完全に二人の世界に入っていた彼らもさすがに事態の異変に気付く。


「えっと……誰?」


 自分たちを知っているようだが、見たこともない美少女だ。しかし――――なぜか良く知っているような気もする。なぜこんなところにいるのか? なぜ『世界喰い』の攻撃が届かなくなったのか? 疑問は尽きない。


 わからないことだらけだが、一つだけわかることもある――――間違いなく滅茶苦茶強い、彼女の周囲の空間が耐えきれず歪んでいるのがわかる。そんな芸当冬人であっても真似できない。存在の次元が違うというべきなのかもしれない。


『説明は後です、とにかく一旦離脱しますから掴まってください』

「わ、わかった」


 冬人とヒカリが謎の女性の手を取ると――――目の前が一瞬ブレた。転移したのだ。





「リーダーああああ!!! ヒカリいいいい!!!」


 クララが泣きながら抱きついてくる。


「まったく……心配させないでよね。まあ……大丈夫だと信じてたけど」


 眼を真っ赤に腫れさせたレイカは顔を隠すように二人を抱きしめる。


「間に合って良かった……本当に良かった……うわあああん」


 涙腺が崩壊したエリカも輪に加わる。

  


「えっと……状況が見えないんだが?」


 冬人は謎の美少女が何者なのか未だにわからないでいる。一方でヒカリの方は心が読める能力のおかげでその正体に気付いており、彼女にしては珍しく羞恥で真っ赤になっている。


「久しぶりね冬人、ヒカリ」


 二人の前に現れたのは、輝くようなプラチナブロンドの髪をなびかせるハイエルフ。


「紗恋!! お前……いつここに? ってことは……まさか?」


 冬人が視線を向けた瞬間――――謎の美少女は超新星のような光を放った。


 あまりの光に冬人は視界が奪われるが――――次の瞬間、そこには彼の良く知る五人が立っていた。


 そう――――ずっと待ち望んでいた愛しい子どもたちだ。


「えっと……久しぶりだよね、元気だった?」


 克生は久しぶりということもあって若干戸惑い気味に口を開く。


「克生……一体これはどういう――――」


 一方の冬人も、突然の息子との再会に喜びよりも戸惑いが大きいままだ。


「融合したんです、私たち」

「クロエ、本当に美人になったな。でもそうか……融合とは驚いたな」


 冬人自身が四人の融合体であるので、融合そのものに驚きはないが、彼の知る融合とは一度してしまえば分離できないものであって、似て非なるものだ。


「お久しぶりですわ。相変わらずなのですね」


 焔は先ほどのシーンを思い出したのか赤面しながら視線を合わせない。


「ははは、まあ……な」


 さすがの冬人も息子や娘たちに見られては若干気まずいらしい。


「母様を愛してくださっているようで私は安心しました……お元気そうで何よりです、父様」

「聖、お前にも心配かけたな。克生とは仲良くしているか?」

「はい、それはもう。この世のすべてよりも愛しております」


 きっぱりと迷いなく言い切る娘に、容姿だけでなくそういうところも本当にヒカリそっくりだな、と冬人は思う。自分自身はあまり好かれていない自覚があるので心配していたのだが、どうやら要らぬ心配だったようだ。


「魔璃華、お前には負担をかけてしまったな」

「いえ、どのような苦労も兄上と出会えた喜びに比べれば些事です」


 頬を染め照れる魔璃華を見て、克生……お前我が息子ながら一体どんだけ好かれているんだよ、と呆れる冬人。


「ところで母上の姿が見えないようですが?」

「ああ、桐葉なら配下を率いて魔物の北上を阻止してくれていたんだが――――」


「きゃあああああ!!! 魔璃華あああああ!!!」


 ズドオオオン!!


 冬人の説明を遮るかのように空から巨大なグリフォンが着地する。その背から飛び降りてきたのは紫色の髪で片目が隠れた妖艶な雰囲気の美女――――魔璃華の母である魔王キリハだ。


「久しぶりいいいいい!!」


 キリハは凄まじい速度で魔璃華に抱きついてくるが――――あっさりと娘に躱される。


「なんで避けるのよ!!」

「母上……今物凄く疲れているのです。後にしてください」


 融合した直後ということで極度に疲弊している魔璃華はそう言って距離を取るが、キリハは不満そうに頬を膨らませる。


 だが――――


「きゃあああん!! (なま)克生くん!!!」


 魔璃華の隣に立っている克生を見つけて思い切り抱きつく。


「うきゃああ!! なんて凄まじい魔力!! ね、ねえ克生くん、年上ってどう思う?」

「あ、あの……?」

「母上!! 兄上は私のです!!」


 無理やりキリハを引きはがす魔璃華。


「何よ!! 減るもんじゃないんだから私にも分けなさい!! ケチ!!」

「それが娘に向かって言う母親のセリフですか!!」

「私の息子でもあるんだから良いのよ!!」


 

「……なんか感動の再会が台無しね……」

「まあキリハだからな、仕方ない」


 クララとレイカは呆れつつもそれぞれの娘の元へ向かう。


「クロエ……しばらく見ない間に大きく……美人になりましたね」

「ママ……うん、全部克生お兄さまのおかげです!!」

「……もしかして妹全員克生くんラブなの!?」


「焔……お前は相変わらずみたいだな」

「お母様!? 背だって一ミリ伸びてますし、そこはかとなく全体的に変わっているはずですわ!!」 

「アハハ、冗談だよ、しばらく見ないうちに……立派になったな、見違えたよ」

 

 

「克生ちゃん……会いたかったわ」

「母さん」


 克生の母、エリカは目に涙をいっぱい溜めて克生の胸に飛び込んでくる。


「うわあああん!! もう会いたかったよおおおおお!!!」


 エリカの見た目はクロエたちとほとんど変わらないので、知らない者が見れば恋人同士にしか見えなかっただろう。彼女の溺愛っぷり――――というより息子への依存は重症レベルなので、今夜は一緒に寝ると言って聞かないだろうと冬人などはすでに諦めている。


「見つけたのね聖、運命の人を」

「はい、母様の言う通りでした」


 ヒカリは娘を愛おしそうに抱きしめる。 



「こういう時、父親って言うのは寂しいものだな」 

『うむ』『同意する』『たしかにな』


 冬人のボヤキに悲しそうに同意する父親たちであった。

メリークリスマス(*´▽`*)

更新は週末のつもりでしたが、せっかくなので私からのクリスマスプレゼントです(言いたかっただけ)

克生たちにも良きクリスマスプレゼントになったと思います(作中は春ですけどね……)

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