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第12話 神矢とフィーネ

「朝よー!! 朝ごはんは作っておいたから、ちゃんと食べなさい」

「うう……おはよ……って、フィーネなんで俺の家にいるんだよ!!」



 夢の中から目がさめると、いつものようにどこかつんつんとした様子の制服姿のフィーネがベッドで爆睡していた俺を見下ろすように立っていた。



「それは……か、かのじょなんだから当たり前でしょう!!」



 顔を真っ赤にしながら、耳をぴくぴくしながら言うフィーネだが、ぼそりと不安そうにエルフ語でつぶやく。

 


『もしかして迷惑だった……? でも、シィーヤは絶対喜ぶってララノアは言っていたのに……やっぱり裸エプロンとかのがよかった……? でも、あんな格好で料理なんてしたら火傷しない? 人間の趣味って難しい……』

「いや、無茶苦茶嬉しいよ。たんに驚いただけだ」



 なにこの可愛い生き物!! 確か鍵はかかっていたはずなのでどうやって入ったか気になったが、まあ、些細なことだろう。ララノアさんとかならこの程度の鍵は魔法とかでどうにかできるはずだし。



「というか、俺たちはまだ恋人じゃないだろ……」

「うう……お父さんのばか……余計なことをして……」



 俺が腕にあるどこか禍々しい腕輪をみせるとフィーネが不満そうに唇を尖らせた。あの後、ワイバーンを連れて特攻したことに関してフィーネのお父さんに説教を喰らった俺だが、条件付きとはいえ彼女と結婚の約束を取り付けていた。

 


「まさか、高校の間は付き合うのもダメで、キスより激しいスキンシップは禁止だなんて……」

「まあ、フィーネのお父さんの心配はわかるよ……俺たちまだ未成年だしなんかあったらまずいだろ」

「べ、別にちゃんと責任を取ってくれるなら、私はエッチなことをしてもいいのに……」



 このエロフめ、上目遣いでなんてことを言ってやがる!!

 制服姿でこちらを誘うようなことを言って顔を赤くするフィーネに俺は思わず生唾を飲み込んでしまう。彫刻のような美しい顔に、みずみずしい唇……そして、俺たちは今二人っきりである。


 通常の高校生男子ならば我慢できないだろう。だけど、俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった……というか我慢しなかったらやばいんだよな。


 ララノアは知らないが、フィーネに手を出したら俺は腕輪の呪いによってチンコが腐って死ぬのである。ふざけんなよ、マジで!!

 


「じゃ、じゃあ、ごはんを食べたら一緒に登校しましょう」

「ああ、ありがとう。楽しみにしてるぞ」



 お互いちょっと興奮していることをごまかすように、そんなやり取りをして、着替えようとしたが、なぜかフィーネは外に出ようとしない。

 それどころか、俺を凝視しながら耳をぴくぴくと動かしている。



「あのフィーネさん……着替えるんで外に出てくれない?」

「別に私は気にしないわよ。その……私たちは高校を卒業したら結婚するんだし……」

「お前は気にしなくても、俺が気にするんだよ!!」



 顔を真っ赤にしながら俺の胸元に熱い視線を送るフィーネを追い出しつつ、フィーネに告白した後のことを思い出して苦笑する。


 あの後は本当に大変だった。もう、フィーネに会えないんじゃないかとテンパってなぜかプロポーズをしてしまった俺。そして、娘はやらんと叫ぶフィーネの父。そして、顔を真っ赤にして「え……あ、これは夢?」といって自分のほほをつねって痛がるフィーネ。



 そして、なによりもフィーネのお父さんがやばかった。魔王との戦いのときは無茶苦茶冷静でクールなイメージだったのに……『フィーネちゃんにつく毒虫が!!』と魔法をはなってきやがったのだ。ララノアさんを筆頭としたエルフたちが止めてくれなかったら俺はフィーネの父に殺されていたかもしれない。

 そう、俺のことをシィーヤだと知ったエルフのみんなが味方してくれたのである。どうやらフィーネは昔から俺と結婚するとかなんとか騒いでいたらしい。(本当に可愛い)

 そして、俺は非公式にだが彼女の婚約者になったのである。



「俺の頑張りは無駄じゃなかったんだな……」



 そして、それは俺の……勇者や聖女の仲間ではなく、俺個人の努力をみんながみとめてくれていたからこそ起きた奇跡だ。

 だからこそ思うのだ。



「俺はもっと自信をもっていいんだ……そして、フィーネが好きになってくれたのは俺なんだから……」



 そう、気持ちを新たにして制服を身に着ける。



「神矢―!! 早くしてよ。遅刻しちゃうわよ!!」

「ああ……」



 考え事をしていると、扉の外から愛しい彼女の声が聞こえてくれる、俺に自信と恋をくれた彼女の声が……



『フィーネ……大好きだよ』

「な……ばか、急に変なこと言わないでよ……」



 エルフ語で気持ちを伝えると何かを落とすと音と共に可愛らしい声が響いてくる。きっと彼女は今頃顔をまっかにしているであろう・

 そして、新しい日常に感謝するのだった。

天使様のアニメを見ていて衝動的に書いたラブコメですがたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。


この話はこれにて完結です。


本当は異世界から雫姉さんに子孫で、彼女にそっくりな巨乳ちゃんも登場させてみようかななどと思いましたが、蛇足かなと思いやめました。



見たい話などありましたら感想欄にかいていただけたら番外編という形で投稿させていただくかもしれません。


ここまでよんでいただいてありがとうございました。


面白いなって思ったらブクマや評価など頂けると嬉しいです。


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