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ろーく


次の日には身体も元気になったブロンシュは屋敷の中を探検していた

すれ違うメイドが微笑ましそうに見てくる

廊下に並んでる壺や花瓶に近づくと色んな人がやんわり間に入ってくる

いたずらするかもしれないと思ったのかもしれない

申し訳ないので廊下のど真ん中を歩く




(えらいひとになったきぶん!)



ドヤ顔で歩いているとメイドが窓の外を見て声をあげた



「あら?初雪かしら」


(はつゆき?)




どれどれ、と偉い人の気分のまま窓の外を見ると白い何かが降っている



(まえにすこしだけみたことある!けどなんなんだろう?)





昔はそれを見るために家を飛び出して轢かれてしまった。


近くに扉があったのでそこから出るとちょうど外に繋がっていた。地面に足をつけ踏みしめる。

周りに気を配りながら慎重に、ゆっくりと歩く。





ひら





舞う雪を見つめる。




(このしろいのはなんだろう?これがはつゆき?)




前足を伸ばして触れると冷たさに驚いて毛が逆立つ。




(つめたっ)




どんどん降ってきて鼻先や耳にも触れる

ビクッ!となりながら避けようと必死だ



(ひやぁ!でもたのしい!)





「ブロンシュ」




くるくる回っていると優しいトゥーダの声が聞こえる。

振り向いて声の主にゆっくり近寄る。







「初めての雪にびっくりしたかな?寒くなってきたから中に入ろう。」








なおん、と返事をするとそっと抱きかかえられた。




(ゆきっていうのか。つめたいけどたのしい)


(まえはちゃんとみれなかったけどきょうはついにさわれた!)




ホクホク顔のブロンシュに微笑む



「楽しそうだね」



「にゃあ」






(きょうもあたらしいはっけん!)







昔、母親からの暴力は当たり前だったので痛いのはイヤだな、くらいにしか思っていなった。

馬車に轢かれたことはたしかに痛かったけど、驚いたのとお馬さんが見えたくらいであとはすぐに意識を飛ばしてしまった。


振り返ると少し環境がおかしかったのかも、と思い始めた。でも考えるのはすぐにやめる。




(これからたのしいことをたくさんするんだ!)

つらい過去があるけど前向きなブロンシュちゃん。

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