よんじゅうしーち
「気持ちが悪い」
「エッ!」
隣から聞こえた呟きにドゥータはバッと横を向いた
「体調でも悪いんですか?吐きます?吐きます?
あ、エチケット袋はないですからね、誰か呼びましょう」
「体調は悪くない。待て待て、優しいのは良いことだがすぐに動くな。本当に大丈夫だから!!」
今にも走り出しそうな体勢だ
人の話を最後まで聞いてから動けと怒っている
腕を組んでフンッと鼻息荒い
今は戴冠式後のパーティーだ
夜遅くまで開かれる予定だがドゥータは遠方の為早々に切り上げるつもりである
新しき国王陛下は色んな貴族へ挨拶をしておりタイミングが中々掴めない
公爵家や侯爵家などと話している為
終わるまで待たなくてはならない
近くに誰もいない壁際でワインを嗜みながら二人は話す
他者へ聞こえぬよう魔法をかけて
「戴冠式のあの流れも不自然だ
不自然だらけで気持ちが悪い」
「あぁそちらですか…私達は注意深く第一王子を見てましたから気づきましたけど他の方は分かっていないと思いますよ」
他の貴族と話すと
やはり第一王子は駄目だの
新しい国王陛下は頼もしいだのそんな話ばかり
なぜあのタイミングで第一王子が暴れたのか、それは弟への妬みでぶち壊そうとしたのでは?
という憶測が多い
そんな呑気な話ではないだろうに
この国の貴族は楽観的なのか?と思う
「私には国王陛下を引き立たせようとしてるようにしか見えぬ」
「同感です」
「なんとなくだが大まかな狙いが読めてきたぞ」
えっ、と驚くドゥータ
魔族の狙いが分かったのだろうか?
やや悔しく思い自分なりに答えを探す
「私の予測では…魔族が前国王を操りブロンシュを囲おうと第一王子を充てた。
だが失敗した為、前国王を消し新たな国王を立てる…だが第一王子はあの評判だし前国王との繋がりが深いので、急遽第二王子を国王に仕立てる。
あのタイミングで第一王子を暴れさせたのは正義感の強い新国王陛下を引き立たせる為…
魔族と関わりのないアピールでブロンシュと繋がろうとしている…と言ったところでしょうか?」
ドゥータはどうですか?と問いかける
自信がある表情だ
だがアドンはため息をつく
「惜しいな」
「えっ、どこがですか?」
まさかの返答に驚く
なにか足りないと言うことだろうか?
「第二王子は確かに急に隣国へと行った。そしてパーティーへ向かう途中で道が塞がれ帰れなくなった。それはパーティーが始まる前のできごとだ」
「あ…」
「つまりブロンシュを婚約者にするのを失敗したから第二王子をトップに立たせたのではない。初めから第二王子を国王へ仕立てるつもりだったのだろう。少なくとも第二王子が隣国へ行ったときからな」
ブロンシュに婚約者の件を断られるのは想定済みだったと言うことだろう
「あの前国王ではブロンシュを囲い込めないと考えたのでは?歳の近い国王陛下なら近づきやすい思ったのか…そこまでは私には分からぬがな」
あくまで予測でしかない為
どう考えて動いているのかまだ不明だ
ただしこの予測だと新国王陛下も魔族に関わりがありそうである
「不自然さはありますが魔族も考えて動いていますね…こんなに計画的に動いているとは…」
いままで魔族は突然現れ
街や森を荒らし満足したらいなくなる
だからここまで考えて企んでいるなんて聞いたことがないのだ
「もしかしたら…人間の協力者がいるのかもしれん」
「人間…!?」
まさか人の裏切りがあるのだろうか
「本当にあくまで予測だ…あとで新国王陛下に挨拶をするとき警戒するぞ。そして大精霊様に相談しよう」
あまり頼りすぎるのは良くないが
国の一大事である
話だけでも聞いてもらおう
新国王陛下の周りの人が少なくなってきた為、
二人は魔法を解き動き出した
「ワイン飲んでたら気持ち悪くなってきました…」
「お前がかよ!!」




