さんじゅうごー
パーティー当日
「やだなぁ…帰りたいなぁ」
会場へ向かう馬車の中でずっとボヤいている
ドゥータとアドンは苦笑いするしかない
「すまんな、王命には逆らえない。マナーは気にしなくて良いそうだ。」
「あっ、お父さんは謝らないでください」
精霊、という配慮はしているらしい
人間のマナーを強制しないところはまだ良かったと言える
「行くなら美味しいご飯を食べて帰ります」
「そうしてくれ」
会場へついたところで人が増えてきた
ドゥータの手を借り馬車から降りる
途端に周りにいた人々の視線が集まった
白い髪は纏められ
青い瞳とお揃いのブルーのドレス
人外のような美しさに皆息を呑んだ
そのままドゥータにエスコートされ会場へ歩く
ドゥータがぼそっと声をかける
「胸を張っていい。とやかくいう奴にはイヤミを言ってやろう」
「うん。でも私にできるかな?」
「大丈夫、君は優しいけど強い子だと思うよ。それに何かあったら私がいるからね」
とても優しい声に安心する
背筋を伸ばし前を向く
そして会場の扉が開かれた
一斉に集まる視線
さきほど馬車から降りたときとは比じゃないほどの人々
畏怖の目
好奇の目
そして少数の侮蔑の目
(これがこの国の貴族達…)
不躾な視線に
早くも帰りたい
アドンは挨拶に回るそうだ
本来はドゥータも行くべきだそうだが
ブロンシュにつくことを優先した
「あら」
「?」
声が聞こえたので振り向くとローズがいた
なんだか元気はなさそうだ
ただドゥータを見て笑顔になったが
初めて見るブロンシュに困惑している
「ローズか。それにリュカも」
ひらひら、と軽い返しをするリュカ
にやにやブロンシュを見つめている
「もしかして…噂には聞いていたけどあの時の猫ちゃん?」
ローズがプルプルしながら見ている
そうだよ、と返事をすると
すぐに手を握られた
「あの時わざと頬の化粧を取ったのよね?本当にありがとう!ちょっとびっくりしたけど…おかげで自分に似合う化粧をエマから教わって皆に褒められるようになったの」
やはり元は素直でいい子なのだろう
「えっとどういたしまして?」
「精霊と聞いていたけど納得の美しさだわ!」
キラキラした目で見てくる
猫目で綺麗めな印象のローズだが妹属性なのかもしれない
「…リュカ、なんかローズ丸くなったか?」
ワガママ放題だったローズしかほとんど見てなかったから
子どものときのような素直な姿を見て思わず聞いてしまう
「そうだねぇ占い師の話を鵜呑み…というか変な方向に解釈しちゃったからいままであんな振る舞いだったみたいだよ」
純粋なのかぽんこつなのか
ただすごく良い方向に向かったのはたしかだ
「それよりも彼女…めちゃくちゃ綺麗じゃないか」
リュカの興味はさっきからブロンシュに向いている
なんだか面白くないので釘を差す
「手を出すなよ。保護者3人からボコボコにされるぞ」
「?…3人?」
予想外の人数に少し驚く
「私もいますわよ!!」
「あぁ4人に増えたよ」
「おお怖い…」
肩をすくめて降参したようだ
3人+大精霊からボコボコにされたらひとたまりもない
リュカは軽薄ですが家族は大事に思っています(^^)




