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さーん

ブロンシュは皆のアイドル(*^^*)


ロアンヌ家の当主、アドン・ロアンヌは険しい顔をしている。原因はドゥータが昨日拾ってきたという猫…ブロンシュだ。



「猫を拾ってきたそうだな」



朝食の席、アドンはドゥータの目を見ることなく言葉を発した。ドゥータは顔をあげ、すました顔をする。



「ええ、とても綺麗な猫です」


「…いくら綺麗でもどこぞの猫かも分からないというのに拾うとは…」



むん、と効果音がつきそうな顔は不機嫌そのものである。

貴族らしからぬ行動…と咎めたいのだろうか?



いや違う、とドゥータは知っている。



「会ってみたいんでしょう?父上」


「グッ!」



思わずむせそうになった父に苦笑してしまう。



「馬鹿なことを言うな。私はもう仕事に行く」



すぐに話を切り上げ足早に去ってしまった。

ドゥータはゆっくりと食事を進める。



「動物が好きなくせになんで隠すんだか分からないな」



そう、アドンは強面の顔で不機嫌さを出すが動物が好きである。大好きである。

ロアンヌ家の領地は街とその隣にある森だ。その森では雪の精霊が住み着いており、姿は猫だという。

真っ白で青い目でブロンシュのようだが、精霊は光を纏っており背中に小さな羽が生えているそうだ。実際に見ることができる者はほとんどおらず、おとぎ話のように語り継がれている。

そんなおとぎ話の挿絵を見たアドンは昔から動物…特に猫が大好きなのである。


しかし恥ずかしいのか家族にさえ隠している。

だがドゥータが小さい頃、おとぎ話の絵本の読み聞かせの際に食い入るように挿絵を見ていた。

たまに見かける野良猫をガン見しているし、アドンの親友が飼っている猫もガン見をしている。だが触らない。

とても我慢しているようだ、とのちに親友は語る。







お昼。

ドゥータは父の跡を継ぐため補佐をしており、ひとり視察に出ていた。少しの時間だがブロンシュと離れるのを惜しんでいた。


ブロンシュはお昼寝をしていたが扉が音で目が覚める。



「旦那様…?」



ブロンシュに付いていたエマが戸惑いながら声をかけた。扉から顔が半分出ている。



「にゃ?」


「はぅっ!」



目が合ったと思ったら胸を押さえて崩れ落ちた。

誰だろう…?と首を傾げるとハァハァと息遣いが聞こえてきた。怖い。



「にゃ…」(だいじょうぶ…?)



そっと近づいてみたらバッと顔を上げる強面。

ブロンシュは驚きすぎて硬直した。



「す…すまん…驚かせるつもりはなかったんだ…」



謝るその強面…アドンはおずおずと手を伸ばす。

ブロンシュは少し戸惑うものの、キラキラした目を見て分かった。



(このひともいいひと!!)



おとなしく撫でられているとアドンがさらに笑顔になった。もはや感動しているようだ。



「おおおお…もふもふ…」



「何しているんですか?」



「ひゃああああ!!!ドゥータ!!!」



背後にドゥータがおり慌てて手を引っ込めた。



「ななななーにもしておらんぞ?」



「いやもうバレバレなんで良いでしょ…」



「何の事だかわからんな!では!!!」



ものすごい速さで部屋を出ていってしまった。

ドゥータとエマは苦笑いしかできない。



「ただいまブロンシュ」



ドゥータに撫でられ幸せな気分。

さっきの人はお兄さん(ドゥータ)のお父さんなのかな?

と頭をよぎるもまぁいっかと自己完結。




(みんないいひと!)

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