聖地再建
剣にあった「ブロック・データ」は「コピー可」の設定になっていた。有志ユーザーによって巨大剣は形を損なわないように内部の構成ブロックを解析され、順次、全ユーザーに公開されていった。
最初に行われた共同事業は、「ラピスラズリ色の戻れない旅」の再建であった。画像・動画データから、周囲の森と外殻を担う一枚岩から、内部が詳細に再現されることになった。
その時点ではまだSNSで話題になっているとはいえ、ただのゲームである。再建の中心になったユーザーはせいぜい30余名だった。
だがその30余名が、「再建」の過程でブロック創作者として覚醒していった。
ただ再現するだけのつもりが、ブロックを置いていく内にその汎用性の高さに気づいていったのである。彼らはブロックを起きながら、自分がもっとも空想的に豊かだった頃の想像世界――それを忠実に再現できる事に気づいていった。
むろん、彼らの想像のほとんどは抽象的なもので、漠然としていた。詳細に言語化したり絵にかけるものは2、3人で、あとは落書きにもならなずに、続けることがなかった。
「ブロック」は、彼らの想像力を補佐する役割を担っていた。空想のうちの足りない部分を、リアリティのあるディティールで補っていった。
後に「サーティーン・オールドメン」と呼ばれることになる30人は、一晩で聖地を再建し、翌日には同じブロックを使って驚くべき「世界」を作り始めた。
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「神話ブロック」は、そのサーバー内でのみコピーが許可されていた。だから必然的に、そのブロックを使いたい者は同じサーバーにアクセスした。
他サーバーや他のソフトで「再現」をする者もいたが、時間的な遅れと「聖地」の存在が人々を同じデータ内に集めていった。
初期から熱心に世界を維持し続けたユーザーは賞賛や尊敬を集めたし、教えを乞う者もいた。
彼らは、そこでしか体験できない「ブロック体験」をしながら、同時に、最初の聖地の制作者や「騎士」の正体を考えた。




