表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/255

一稿スタート!にできるか?



  あなたの人生を切り取ってテレビドラマ化したら?

 毎週30分、朝に放送される。 

 あなたは・・・・・・「少しズレてはいるが大きな枠でみれば、普通の人間」

 自分のことをそう思っている。

 となると、ドラマのジャンルは日常もの。

 視聴者はあなたの何気ない毎日のちょっとした面白エピソードなんかを期待している。


 でも、人生色々あるでしょう?穏やかな日常の枠を外れた心苦しいトラブル、もしかしたら、1日だけ、命と勇気をかけた冒険の日があったかもしれない。


 そういう日は、「劇場版の1日」なんです。


 今から、僕の人生の「劇場版の1日」をお話しします。


 でも、その日、僕は駅のホームに置かれたベンチに座ってから、一歩も動いていません。


 誰もそこにいる僕に話しかけたりしないし、僕も話しかけないし、目の前で人身事故が起きるわけでもありません。


 僕はずうっとスマートフォンを操作していただけです。


 始発の前、改札のシャッターが上がってから、日が変わって終電車が出るまでの時間・・・・・・19時間ほどだったかな。

 その19時間、ベンチの上でスマホを操作していただけの1日が、僕にとって「劇場版の1日」だったのです。


 ベンチに座って、腰掛けて、無意識にスマホをつけて目に入ったニュースが僕をその場に縛り付けました。 


 「オークションの結果、ゲームのセーブデータが999億円で落札」

 そんな見出しでした。僕はすぐに、自分が仕事で関わっているゲームのことだと思いました。


 意識の全てがスマホの画面に吸い込まれました。


 次に我に返ったのは、それからおよそ6時間後、充電ランプが赤を示し、鞄からモバイルバッテリーを取り出した瞬間だけです。

 ですから、本当におよそ19時間まるまるスマホの画面に集中していたことになると思います。


 落札価格、999億円。まるで子どもが考えた数字。 


 まさかこんなに早く落札されるとは思っていなかったし、なにより、額に驚きました。

 思わず「安すぎる」と声に出しました。


 いえ、分かります。


 あなたはご存じでしょうが、普通の人からしたら、色々し難いニュースですよね?


 たかが「ゲームソフト」の、それも本体ではなく「セーブデータ」が999億円で落札されるなんて、いったい何事かと。

 金の使い道のないお金持ちが、金持ち自慢のためのオークションで買ったのか?と思われるでしょう。

 変ですよね。

 しかもそれを、出品者でも落札者でもない僕が「安すぎる」だなんて、いったいどういう状況かと。


 感情的には、自分の生まれ育った国がどこぞの一個人に「999億円」で買われたのと同じ衝撃です。

 その「セーブデータ」には、私の人生が、友が、恋人が、家族が、夢が、資産が、すべて入っているのです・・・・・・


 「夜ノ文化祭」


 それがデータ名です。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ