本編前文章草案(以前書いたプライバシーポリシーより)
夜ノ文化祭【女囚王に買われた少年】――ブロック建設ゲー世界を現実と思い込んだテロ事件の犯人とは?
奴隷クラブ【利用規約】
1・奴隷クラブ(以下、当クラブ)では、人権侵害の面白さを重視し、国際連合で採択された「世界人権宣言」を無視します。
当クラブが侵害する人権は、自由権、生存権、平等権、請求権、参政権など、多岐にわたります。
*特に「精神的自由権」については、これを進んで侵害するものとします。
2・より高度な人権侵害をお客様に提供するため、お客様には、自ら進んで自己を否定するよう強要します。
3・我々の行為は倫理的に最も低俗な悪であり、稚拙な精神性によって成立していることを恥じます。
4・そんな我々を責めることは絶対に許さないとします
5・そんな我々を責めることは絶対に許さないとします
6・誰かわたしを止めてください
【営業品目】
・ブロックワールド「夜ノ文化祭」運営
・脱税
・殺人
・人身売買
・うさぎの保護
・人権侵害
・テロ
・3分番組「日本の瓦の音を聴こう」スポンサー
など
【設立年月日】
昭和三年二月一日
【所在地】
かつて勇者が歩いた【ラピスラズリ色の戻れない旅】
【代表取締役】
魔女ソナチネ
【収支報告】
オークションの結果、ゲームのセーブデータを九兆円で落札する事に成功しました。
…………………
ブロックを組み合わせて無限大の世界を作るアプリ【ブロックラフター】。
その空想の世界の神として、僕は生まれた。
神なので、誕生の瞬間は神話に残っている。
つくり物の神話だから、つくり方も記録に残っている。
ゲーム内のワールドマップ――――そこに記載された【神の生誕地】を地球の地図に照らし合わせると、日本の私立病院に重なる。
記録によれば、その分娩室の壁は、白くなかった。
洞窟のような岩肌を植物の根が伝い、後方では巨大な水晶が不気味に浮かんでいたそうだ。
世界中のプレイヤー達がブロックで作った「天空城の最深部」が、病室の壁にモニターで映し出しされていたのである
天井も床も、全天周囲のモニター仕様。
当時最新の三次元演劇さながらの舞台装置。
分娩ベッドも、まるで儀式の祭壇のように装飾されていた。
そんな背景に見合うように、助産師と母は、魔術師風の衣装を身に纏っていた。
「おめでとうございます!神様ですよ」とまるで性別を告げるかのように助産師がセリフを言うと、産声に合わせて歓喜のBGMがかかった――まるでアニメ映画のクライマックスのように、背後の巨大水晶が青白く輝き出す。
そして轟音が鳴り響き、埃のエフェクトが宙を舞った。部屋を内包する天空城が高度を上げ、宇宙へと飛び立ったからである。
もちろん、実際の分娩室は清潔に保たれていたと思う。
それから1週間、私は新生児室で過ごした。やはりブロック世界を映したモニターに囲まれている。
プレイヤー達が演じる物語的には、宇宙空間の天空城内で過ごした事になる。
現実では五十センチにも満たない私だったが、誕生の瞬間に作られた私のゲーム用アカウントのキャラクター設定は、全長が40メートルを超えていた。【天空城・最深部】の部屋いっぱいに詰まる形で窮屈そうに外に出る瞬間を待っていた。
なぜそんな事になっているのか?
神だが、封印されているからである。
理からの脱却を目指した人類は「神の輪廻転生は止められない。なら、誕生の瞬間に封印してしまえ」と考えた。
その結果、神を生み出す【神族】を城に閉じ込め、神誕生のエネルギーを利用して空の彼方へと追いやられてしまったのである。
そのようにして私が宇宙にいる間、地上では、プレイヤー達による最終戦争が発生し、滅びを迎えた。
もちろん、それも台本通りで何も問題ない。
リニューアルオープンのための滅びである。




