宇宙前史
夜ノ文化祭、時系列
古代の宇宙
有力な「宇宙のはじまりの前には、別の宇宙があった説」を採用
前の宇宙が終わり、新たなビッグバンが発生した。
以前の文明の残骸が「命の種子」として散り散りに飛んだ。そのうちの多数は、星に降って死に、死骸は有機物を含んだ雨となり、生命を生み出す土壌となった。
残った種は宇宙空間を飛翔し続け、希に、上記の光を含んだ星と巡り会った。二者の巡り会いは、星の生態系に爆発的な進化をもたらした。
衝突と爆発を繰り返しながら、宇宙に生命や文明が誕生していった。
高度に発展した文明が滅びる際――宇宙の宿命に定められた滅亡理由のうちどれかを達成したとき、「光の殻」が情報を得て、様々な形をした(滅亡の形をした)光の巨神が生まれた。
それが命のゴールだった。それは前の宇宙の文明が残した復活の手段でもあった。
前の宇宙の文明が滅んだ理由から生まれることで、前の世界を克服する手段――それが起きたときに、復活するようにプログラムされていたのが、「光の種子」である。
巨神は、文明の誕生をときに補助して回った。天変地異から生命を守り、あるいは天変地異を起こすことで進化を促した。
1つルールとしてあったのは、過剰な光のエネルギーによって生まれた生命体による他生命への妨害――怪獣(条件を満たさずに生まれた存在)による文明の破壊を止めること。それは自らの失敗と同義だからだ。文明の自然発展を阻害するわけにはいかない。
そのようにして、いつしか「光の巨神」を複製することに成功していった。最高最後の生命体である「光の巨神」を生産・保護することが目的である。
彼らの敵は、進化の失敗作としての「怪獣」だった。巨神こそが進化の最高到達点なのだから、どんなに強大な怪獣も倒すことができた。
しかし、曖昧な進化を遂げた宇宙生命のバグのような存在に、種の位階が崩壊する。
怪獣の身体と光の巨神の身体を持った存在「ファフロツキーズを喰らう森」の誕生である。
半獣半神の存在。
それもまた星の滅びと同時に発生した存在だが、滅びる前の人間を数人飼っていた。
ノアの箱舟の機能を持っていたのだ。
その構造を用いて「怪獣に襲われる人間と、苦戦する光の巨神」を演じていた。
ゆえに、巨神部分から救難信号を受けた他の光の巨神は、それを助けにいかなくてはならない。
光の巨人を脅かすほどの怪獣がいる危機として、事実だからだ。
森は、そうして時に光の巨神を吸収しながら肥大し、時に疑似餌としての光の巨神を交換することで若さを手に入れ、勢力を拡大していった。
そうして、完全に権威構造が逆転した。
宇宙は森を利用する人間に支配され、光の巨神は管理された。
*ここまでのまとめ
「種子」――前宇宙の最終進化人類。文明ごとに数名いた。個体としての自我を超越している。
ビッグバンと共に新たな宇宙に広まり、生命と文明を育んだ。
彼の目的は、自らが克服できなかった各文明崩壊の要因(認知域・文明が滅ぶのは、理解不能な社会問題に直面したときという学説)を克服する存在となること。宇宙と生命すらも支配した彼らにも、どうしても理解できない領域を理解するため、様々な進化の形・文明の形を模索している。
「光の巨神」――進化のレベルが一定に達するとたどり着く存在。様々な形をしている。巨神同士が巡り会ったとき、その性質が競合すると戦う。
「光の巨人」――光の巨神の形の1つ。地球系惑星はだいたいこれに進化する。前の宇宙でも「進化の最終到達点に最も近いモデル」と言われていた。前の宇宙文明が「光の種子となる」ことを選択したのはこのモデルによる働きが多い。「文明の発展を補助する」「成立した文明内の事象に干渉しない」「光のエネルギー関係のトラブルは解決する」
というルールを自らに課している。善悪を超越した存在。
ゆえに、自らが受動的に支配されるのも「進化の形の一つ」として逆らわない。
「怪獣」「敵性外征体」――巨神の種類。光の巨人の「なるべく介入しないで自然進化を促す」理念に反する「積極的に破壊する」「積極的に支配する」等の行動理念を持った存在。
――――ファフロツキーズを喰らう森で生きた人類の話
地球系惑星。敗色濃厚の覇権思想国家が、心中作戦で光の力を悪用し「その星の怪獣」を誕生させる。星が枯れ始める。さらに、宇宙から怪獣をもう一体呼び寄せる。連合国は光の巨神を呼ぶが1体しか間に合わず、敗北。
文明の滅亡が濃厚になった。全人民の命を費やして光の巨神を三分間復活させ、内部爆発を起こそうとするが、結果は主導権を握れない融合という形に終わる。そうして光の巨神を有した「ファフロツキーズを喰らう森」という生命体が生まれる。富裕層の生き残りの居住区が残る。そこを生き残りの怪獣が襲うが、遅れてきた光の巨神が打ち倒す。だが、それを根の鎖に繋がれた光の巨神が倒す。亡骸が星に命の力を戻し、大地が復活してゆく。そこから、生き残りの人類と星との共依存がはじまった。中途半端に進化した存在である「ファフロツキーズを喰らう森」はそれ以上進化せず、星のままでもあり続けた。形だけの怪獣を生み出し、光の巨神と戦わせて危険信号の「点滅」を出し、そのサインで他の巨神を呼び寄せて喰らう。大地の生命力は肥大し、魔法とも呼べる力を行使できるようになる。
生き残りの人間達は、「この文明を発展・維持することが宇宙の命題だった」と結論づける事で現状に甘んじる。半永久の命と無尽蔵の快楽を手に入れ「人工天国」の様相となる。そこで生きる人間達は、光の力をより優先して享受できる地位の者から、もはや元の形を失っていった。永遠の快楽と生命があれば、意思は形を保てなくなる。人は「森の実」のような存在になっていた。
当然、最初に宇宙に散らばった光エネルギーも限りがある。そのような人類を永遠に維持することはできず、枯渇の危機はある。
優先順位の高かった「森の実」ほど、保険をかけていた。森とより強く一体化することで、自らを滅ぼすと、森ごと枯れるようにしていたのである。
課題と向き合うのは、森の実にはなれない層だった。「人工天国」内にもイデオロギーはある。戦争の危機である。しかし、そこで初めて戦争を放棄することに成功する。なぜなら、戦争になってしまうと、勝者が光の巨神の粛正対象になってしまうからだ。この宇宙では、全ての生命が光の力にルーツを持っている。誰が怪獣で、誰が光の巨神なのかは、エネルギー量や性質などの相対的な観点に過ぎない。光の力を得すぎた文明は、他の文明を攻撃すると、光の巨神の粛正対象になる。ゆえに、勝者になる意味のない戦争は、回避された。
むろん、生活レベルを保っている限り、光のエネルギーは消費され続ける。誰かが死ぬことで循環しなければならない。世界はパワーバランスを保ちながら、衰退していった。
――――バランスの崩壊点
戦争が起きない理由は、光の巨神の粛正対象となる事を避けているからである。しかし、森が光を吸い続け、光の全体量の方が弱くなれば、力関係は逆転する。その瞬間が、戦争のはじまりとなることは予想されていた。まだバランスが逆転しないうちに、各勢力は対策を講じた。
鍵を握るのは、疑似餌の巨神だった。元は、人民の生命を宿した抜け殻から、古くなる度に交換していった存在。人間の命を宿すことができる。すなわち、森の意思に人間がアクセスできる唯一の手段だった。森の力を得られれば、戦争に勝ったも同然である。
その状況を望んでいた存在こそ、疑似餌の巨神本人だった。怪獣と繋がり、人と繋がったことで、もはや光の巨人としての善性は失っている。
最初に宿された人間達の魂も主導権を握らない程度には残っているので、現在の人類は自分たちを切り捨てた存在だった。
森の目的は、永遠に世界の主権者でいる事。
そのためには、パワーバランスの逆転が終わるまで人間に「餌」で居続けてもらう事だった。
人類は戦争回避のため、これ以上エネルギー源となる光の巨神を呼ばないようにしていた。森が怪獣を用意しても、自らの光テクノロジーを用いて迎撃してしまう。自己防衛が可能な文明に、光の巨神は干渉しない。
また、光の巨神の力を全て森が得たとき、森にとって用済みとなって養分にされることを避ける目的もあった。
また、光の力を最低限しか持たない「人間」を遠い星に送ることで、怪獣と巨神の関心をそちらに移していた。
新しい生命を生み出すことを、光の巨神が罪とするはずがない。
人間が自己防衛が不可能なほど強力な怪獣を森が用意すれば、それは「演技」を超越して「本気」になってしまう。力に合わせて巨神も数体は集まってくるし、森は力を多く消費してしまう。そうなれば、結果によっては人類の方が再び主導権を得てしまう。
「巨神を味方につけることができる権利」を持った人間の方が、そうなれば有利だからだ。
光の不足によって、文明の完全な保存がままらなくなり、まず始まったのは、完全快楽・永遠の命の部分的な終焉だった。それによって人間のレベルが元の状態に戻ってきた層は、いわゆる人間性を取り戻したため、繁殖を始めた。新しい世代になるほど「光」へのアクセスは禁じられた。そして、戦争を遠ざけるための「餌」として遠い星に追いやられた。
そして、人類は問題を解決できないまま、森対光の巨神のパワーバランスが、森優位に切り替わった。
状況が動き出す。森が人間の兵器を蹂躙し、生活圏に迫る。光の巨神が多数呼ばれ、大規模な戦闘になる。
結果、優位になった森に人類と巨神は殲滅された。宇宙はファフロツキーズを喰らう森に支配された。
戦争の終盤、罪のない子供が、わけもわからないまま、巨神にされるために絶命しようとしていた。それを、森が守る。森の奥で、子供はかつての巨神と会う。過去に利用された巨神内部の思念(3分のために殺された人民)にとって、既得権に捨てられたその子供は、自分と同じ立場の存在だった。少年は自分の母星を守るために「森の巨神」と同化する。
巨神は最後に自由意志で動き、「文明の記憶」を宝玉の形に↓。
残留思念にとって、その文明は自分達を裏切った存在が生きた文明だったが、本来は自分たちが生きるはずの文明だった。自分たちが暮らした文明から進歩した、いわば、故郷でもあった。今はそこに、裏切り者はいない。遠い未来で、その文明を、自分たちの生まれ変わりが扱ってくれることを願った。
かつて彼らは、森に取り込まれたことで人間としての意識を取り戻した。だが残された力では森にあらがう事ができない。いつかこの状況が訪れるのを待っていた。
そして少年とその仲間の命を取り込むと、鎖を断ち切り、森から逃げた。森の疑似餌に攻撃され、葉に切り刻まれながら遠くへ逃げた。
そして最後に少年の自我だけを残し、眠りについた。
宇宙を支配した森は、やがて形状を維持する必要もなくなり、宇宙へと溶けた。
最後には、宝玉「文明の記憶」を守るように抱きしめながら、動かなくなった巨神が宇宙を漂っていた。
主人公について
主人公は、夜ノ文化祭を最も愛している存在である。だから夜ノ文化祭についてかなり丁寧に説明する。
夜ノ文化祭を、「誰かにとっての言葉にできない重要な問題・課題・価値を、表現したもの」として扱う。だから、現実で核ミサイルが出るとか、死ぬとか、そういう事にはならない。しかし、それと同等以上に切実な問題がそこに宿っていると読者にも感じてもらうことがとても大切。そういう姿勢を見せていくことを大切にするのが重要




