なぜ抗おうとするのか?青二才!
高校受験を控えた私は志望高に合格すべく、地元の塾に通っていた。
教室の大きさは机と椅子が6セット入るぐらいの小さな空間。
それら6セット全てが埋まることはなく、先生1人に対して生徒は多くて4人ぐらいのことがほとんどだ。
今日はテスト形式。
受験が近くなるにつれて、教科書を使った授業の形式ではなく、各教科のテストを解いた後に、先生が解説をする形式だ。小さな空間では鉛筆の音と、紙をめくる音しか聞こえない。
そんな空間に…新たな音が加わる。
「プッ〜〜ッ」
「…」
やってしまった!!
教室に私のオナラが響きわたり、頭の中が真っ白になる。もうテストどころではない。
なぜこのような場面で「ぷっ」ではなく「プッ〜〜ッ」とのびるのだ。
くそっ!!
私は解を探す。この場面を…この難題を…いかにして誤魔化すかを。
回転させろ。
真っ白になった頭を回転して、解を出す。
私は片手に持っていた鉛筆をそっと置き、両手を合わせる。
「ぷっ」
私が導き出した答えは、手でオナラ音を出す。
オナラが出たのではなく、間違ってオナラに似た音が出たことを装う作戦を決行した。
一度ではダメだ。
「ぷっ…ぷっっ」
「…ぷっ」
何度も奏でることで、もうこれは私の考える時の癖っすみたいな雰囲気を出す。
鉛筆の音と紙の音に加わったオナラの音。
小さな教室ではその日、これら三つの音がハーモニーを奏でていた。
とても心地よいハーモニーを奏ででいたのか。
その場にいた先生、生徒全員これらの音に対して反応することはなかった。
後にも先にもあの空間でハーモニーが奏でられることはないだろう。
時は経ち。
あの時、なぜあんな行動をしたのか。今だにわからない。
なぜあの時オナラをした事を私は認めず抗おうとしたのだろうか。
これはきっとあれだ…若気の至りというやつなのかもしれない。