クッキングタイム
【第八十六話】
そんなこんなでトアルに戻ってきた。
今の時点で変化は無いな。
さあ、これからどうなるんだろう?
そして、1ヶ月後。
何だか、各国から注文が来たみたいで、その件数は100件を超えた。
「えーっ、そんなに注文受けて大丈夫なの?」
「ティーナが手伝ってくれるから大丈夫だよ」
「うん、私何でもやるからね!」
「じゃあティーナには剣を鍛えるのをやってもらおうか」
何か長くなりそうなので、「はいはい、分かったから」と、ここまでにしてもらった。
放っておくと、二人の世界で埋め尽くされそうだしね。
ティーナは剣の打ち方を教えてもらって、ルウは仕上げをした。
それで、ものすごいスピードで剣が出来ていった。
剣を多大に評価されていたので、高価で売れた。
けど、国の収入を剣だけに頼っていてはいけない。
思い出した。
マシェが作る食事って、とっても美味しかったな、と。
そうだ、あのサンドイッチみたいなのがとても美味しかった。
あれをこの国の特産品に出来ないかな。
けどあれはパンじゃなくて小麦粉を焼いたものだったな。
パンがあればいいんだけど、この世界には無さそうだしね。
パンって、酵母があれば作れるはずなんだけど、その知識が無いんだよね。
う〜ん、どうしよう?
あ、そうだ! リカコに聞いてみよう。
「おーい、リカコー、いるなら返事して」
「えー、呼んだ〜? 私は色々と忙しいのよ」
「何に忙しいの?」
「それは色々とあるのよ!」
これは、全然忙しくないと見た。
「で、何で呼んだのよ?」
「この世界にはパンが無いと思うけど、どうしたらいい?」
「それなら私より詳しい人がいるんだけど」
「えっ? それってもしかして?」
「そう、その通り 聞いてみれば?」
「これとは別の話なんだけど、あなたに相談があるの また近いうちに連絡するから待ってて」
ちょっと深刻な顔をしてたけど、一体何だろう? まあ会った時に考えよう。
そして、聞きに行った。
「ルウ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「えーっと、この言葉分かるかな? 酵母って知ってる?」
「何だいそれは?」
やっぱり知らないか〜。
「小麦粉に入れると膨らむのって知らない?」
「あ〜、それならおいら持ってるよ」
「えっ? 本当?」
「それで作ったものがあるんだけど、食べてみないか?」
「うん、うん!」
そこで出されたものを見て驚いた。
「こ、これってパンじゃないの!?」
それはどう見てもコッペパンだった。
思わず手を伸ばす私。
私は思わず口に入れてしまっていた。
「美味しい!」 この世界に来て初めてパンを食べた!
やっぱりルウって何者?
「あ、勝手に食べてしまってごめんなさい 久しぶりに食べたんだけど、美味しかったわ」
「これ、食べたことあるの? どこで?」
「えーと、昔私がいた所で」
「あんた、お姫様だったんだろ? だってこれはおいらが作ったものだから外には出てないはずだけど」
「とにかく、食べたことあるの!」
私は強引にそう言い切ってしまった。 それでルウは何も言わなくなった。
私は考えた。サンドイッチならば食パンが必要じゃない。そこで聞いてみた。
「ねえ、四角いパンって作ったことない?」
「パン?」
あ、しまった。 パンなんて言葉無かったんだ。 どうしよう?
「これに名前なんて無かったんだけど、パンって響き良いな」
「え、ええ、私達の所ではそう呼んでいたの」
「う〜ん、おいらと同じこと考えてて作った人がいるんだな」
「ええ、そうなのよ!」
「それで、これの四角いのってどんなやつだい?」
「ああ、それはねぇ」
私は食パンを絵に描いて説明した。 もちろん、切ったものも。 ちゃんと耳の部分も描いて。
「で、これどうやって食べるんだ?」
「そのまま食べたり焼いたり、これを2枚で何か挟んで食べるのよ」
「おお、それは美味そうだな」
「確かこれを作るには金属の型が必要だったはずだから、お願いね」
そして2日後。
今私は、城にお世話になっている。
マシェに、空いてる部屋があるから使っていいよと言われていたので。
城に、ルウが食パンを届けにきてくれた。
さて、どんなのかな?
袋を持ってきてるけど、何か小さくない?
布袋から現れたそれは、「小っさ!」
手の平サイズの食パンだった。
大きさを伝えるのを忘れてた。
取り敢えず食べてみた。
「う〜ん、これこれ!」
昔の記憶は無いんだけど、こんな美味しいパンを食べたのは初めてかも。
ルウには悪いけど、このことを伝えることにする。
「ルウ、ありがとうね とっても美味しかったよ けど、大きさが小さいんだよ」
「えっ? そうなの?」
私は、実寸で絵に書いてみた。
「分かった 次はちゃんと作ってくるから」
そしてまた2日後。
「持ってきたよ〜」
「さあ、どうかなどうかな?」
「こうなったんだが、どうだ?」
「おーっ! これこれ!」
早速切ってみたけど、ちゃんと耳の部分があって、正に食パンと言えるものだった。
これをスライスしていってと…
「さあ、これをマシェの所に持って行こう」
「どうするんだ?」
「マシェに作ってもらうものがあるのよ」
「それって、旨いのか?」
「うん、最高に美味しいから」
「へー、そりゃ楽しみだ」
「マシェ、お願いがあるんだけど、あの時作ってくれたサン…じゃなくて料理を作って欲しいの」
「まあ、今は大して仕事が無いからいいけど、どうしたの?」
「良い食材が手に入ったから、それで作ってほしいの」
「どんなのかな?」
「これ! パンっていうのよ」
「作ったのは、おいらなんだ」
「何故あなたかここにいるかと思ってたら、そういうことだったの!」
「取り敢えずこれをちょっと食べてみてくれないか?」
「え、ええ」
二人ともマシェを見つめる。
「フワフワで美味しい! 何なのこれは?」
「これはパンっていうの あの時作ったものをこれで作ってくれない?」
「ええ、分かったわ」
そして、出来上がった。
うん、これぞサンドイッチだ。あの時はサンドイッチもどきだったけど美味しかったな。これは絶対に美味しいはず!
.
サンドイッチの中身は、ハムとチーズがあれば最高だったんだけど、そんなものは無いだろうし。
挟んであったものは、スパイシーな肉とレタスみたいな野菜、それと、トマト?
「えー、何これー? あの時より断然美味しいよ!」
「うん、こりゃ最高だな!」
「ありがとう」
小さく切ってあったので、もう一つ手を伸ばして食べた。
ここで、「うん?」と思ってしまった。
サンドイッチに必須なものがあるじゃない!
そう、マヨネーズ!
「ちょっと待って、今私が作るものを間に入れてみてくれない?」
思わず言ってしまったけど、マヨネーズなんて作ったことなんか無かった。
けど、作り方は知ってる。 卵黄と油と酢だったはず。 やってみるか!
材料を用意してもらって混ぜる! ものすごい速さで混ぜたので、あっという間に出来てしまった。
早速、味見。
あっ、しまった! 塩入れて無かった。
味見しながら、塩を足していった。
まあ手作りだから、こんなものか。
けど、結構美味しい。
「これなんだけど、ちょっと使ってみてくれない?」
ちょっと味見をしたマシェ。
「何これ? こんな美味しいもの食べたことない!」
そして、再びサンドイッチを作ってくれた。
皆んなで試食タイム。
「うめぇ〜!」
まず、ルウがそう叫んだ。
「これ、とっても美味しいわね」
マシェも絶賛してた。
そこで私が提案。
「ねぇ、こんなに美味しいもの、この国の特産品にしてみては?」
「あら、それは良いわね 絶対に人気が出るはずよ」
「じゃあ、城の外に出て売ってみようか でも、持ち帰りは絶対にダメだから、そこで食べてもらうように」
「それは何故」
この世界には、冷蔵庫というものが無いので食中毒になったら大変だしね。
「このソースは、マヨネーズというものなんだけど、作り立てでないといけないから」
「あら、そうなの これの作り方、後で教えてね」
「このパンの作り方を、元巫女の皆んなに教えてあげてね、ルウ」
「あいよ! じゃあ、この金型ももっと作らないといけないな それと、焼く窯も作らないと」
そんなこんなで、全て順調に進んで行った。
城の外の街道沿いで元巫女さん達が売り始めると、旅人がそのことを伝えてものすごい評判になった。
剣とサンドイッチ、奇妙な組み合わせだけど、良い収入源になったと思う。
マシェには、これは「サンドイッチ」というものと教えておいた。
それから色々とアレンジするようになって、更に評判になった。
そして、私の役目も終わったかな。
じゃあ、トアルから旅立とうか。
そう言えば、リカコが何か用があるようなこと言ってたけど何だろう?
そう思った瞬間、リカコが現れた。
そのリカコを見た瞬間、衝撃を受けた。
体のあちこちが無いではないか。
えっ、どういうこと?
「あなた、見たわねぇ〜!」
「えっ、何何?」
私は更にびっくりしてしまった。
「ウソ、ごめんなさいね それは、これから説明するから…」
何か話が途中から変わってしまいました。
まさかこんな方向に行ってしまうとは思ってもみませんでした。
いつもバトルばっかりだったから、たまにはこんなのも良いかと。
いよいよレスフィナが旅立ちます。
今度は一人で。
その内容は、やはり全く考えていません。
その前に、ある事が起こります。
そこまでしか考えて無いので、その先はどうなるか全く未知の領域です。
この先、続けていけたらいいんですけど。




