復活の時
【第二十五話】
ティーナに話しかけても返事が無い。
頭を打ってるかもしれないので、ゆすったりはしない。
何度も何度も呼びかけても、何も答えてくれない。
口に耳を当ててみたら、呼吸をしていない!
この世界に神様はいないの!? こんな時に神頼みはいけない!
けど、どうしよう? とおろおろするばかり。
こういう時こそしっかりせねば! そう思ったら少し冷静になれた。
あ! 人工呼吸だ!
胸に耳を当ててみると、心臓が動いていない。
こんな時は心臓マッサージだ。
確か、肋骨が折れてもかまわずやるんだったな。この知識、何かで知ってたけど、私なら骨折なんか治せるから問題無い。
よし、始めよう!
ティーナの胸を何度も押し、人工呼吸も行った。
もう、何度も何度も繰り返した。けど、ティーナは無言のまま。
「お願い! 帰ってきて!」 と救命措置を続けた。
人工呼吸続けていると、突然景色が変わった。
真っ白な場所で、どこを見ても真っ白。
とりあえず歩き出したけど、何も景色が変わらない。
とにかく歩き続けた。そして、何日か過ぎた。もう歩くことしか考えられなくなっていた。
日が過ぎるといっても、暗くなったりするわけではなく、白いまま。もう感覚だけでしか時間を感じられない。
そして歩き続けてどれくらい経ったのだろう?
もしかしたら数年は経っているのでは? というくらい歩き続けていた。
それくらい途方もない時間が過ぎたような感覚があった。
ふと、何で私は歩いているの? と疑問に思った。
下を向いて考えて、上を見上げてみた。
そうしたら、何か顔が見えたような気がしたけど、誰かは思い出せない。
もう一度下を向いて考えていたら、突然声が聞こえた。
「レスフィナ!」
え? これって私の名前? 自分の名前さえも忘れてしまっていたみたいだった。
この声が聞こえてから思いを巡らせると、顔が段々とはっきり見えてくるようになってきた。
「思い出した! ティーナだ!」
その瞬間、景色が変わった。
あの時に引き戻されて、私は思い出した。
目の前を見たら、誰かいた。誰? 「あ、ティーナ!」
それにしても、体勢がおかしい。何故か私は横になっていた。
「え? 何? 何がどうなって?」
そうしたらティーナが、
「私が目を覚ましたと思ったら、レスフィナは横で寝ていたから木陰まで運んだんだよ」
雨はいつの間にか止んでいた。って、私を運んだ!?
「ど、どうやって運んだの?」と聞いたら、
「うん、普通に抱えて運んだよ」と。
ティーナって、こんなに力持ちだっけ? 私は太ってはいないけど、ある程度の重さがあるから女性一人では運べないでしょ。
何なんだろう?
けどまあ、ティーナが助かって良かった。
心臓マッサージと人工呼吸が効いたんだね。
「って、私ってどれくらい寝てた?」と聞いたら、
「ほんの少しだよ」と言ってきた。
え!? 私があそこで数年経ったと思っていたのは、ほんの一瞬だったの?
何があったのかは全く分からないけど、ティーナが助かって本当に良かった。
とにかく良かったと思おう。
この時、ティーナの身に何が起こったのか、レスフィナはまだ知らなかった。




