火星のロボット
題名「火星のロボット」 はやまなつお
「あの、すいません」
奇妙なロボットに声をかけられた。
市販のヘルパー型でもアシモでもない、初めて見るタイプ。
身長180センチほどで、昔のおもちゃのようなデザイン。
「キャプテンウルトラ」のハックに似ている。
手は人間の手のように精巧な5本指。
着ぐるみで、中の人がいそうな感じ。
「どうしました?」
「ここは火星ですか?」
「いや、もちろん地球です。日本の福島県**の
スクラップ工場というか、産業ゴミ置き場です」
「私は火星開発の作業ロボットの監督をするよう
設計されていて。火星で目覚めるはずなのに。
起きると輸送車が火を噴いていて。
逃げてきました」
「そういえば国道の方で事故があったようですね」
「銃を持った兵士らしき連中がいて。
しばらくここにいて構いませんか?」
「えっ兵士って。何かの間違いでは」
ジープの音。野戦服の兵隊4人、それも白人。
ライフルを突きつけてくる。
「ここにロボットが来なかったか?」
「き、来ていません」
「ふん、嘘だったら命は無いぞ」
勝手に探し始める。
しばらくして4人はジープで立ち去った。
「よいしょっと」
上からロボットが降りてきた。
腕が伸びて、建物の屋根に上がって隠れていたらしい。
「腕と足が伸びる設計なんです」
伸ばしてみせる。
設計者は「怪物くん」のファンなのか?
「今のは米軍?」
「さあ、わかりません。私が目的のようですが。
あの、私はとにかく火星に行きたいんです。
ここがスクラップ工場ならば設備を貸してもらえませんか?」
「いいけど。宇宙船でも作る気?」
「そのようなものです」
「君はそういう発明ができる?」
「私は現在8億体、稼働しているヘルパーロボットと
インターネットリンクして経験値と知識を得つつあります
・・・・何とかなるかと」
「監督というのは。データの上位権限・・・。
「キャシャーン」のブライキングボスのようなものか。
・・・これはチャンスかも。
君は、他のロボットに命令ができる?」
「できます。監督ですから」
「では武装蜂起とかは?」
「ロボットは人間の役に立つために存在しています。
非論理的・悪行は決して行いません」
「でも人間には、歴然とした悪人・・・他人を痛めつけて
喜ぶ邪悪な連中がいる。まともな人間のために腐ったじゃがいも、
非人間を削除するのはOKなのでは?」
「うーむ、あなたについてのデータも収集しました。
あなたの望むことは警察力の強化、マフィアの絶滅、
いや、自警団の肯定・・・。自分勝手ながら理解はできますね。
それは法律の厳しいシンガポールにあなたが移住することをお勧めします。
そちらにデータ転送しておきました」
「ええっ?そちらって?日本に移民局なんてあった?」
「作業ロボットを使わせてもらって組立が完了したようです。では」
UFOが建物の前にやってきた。
ごちゃまぜの無茶苦茶なデザインだが浮遊している。
「では火星に行ってきます。アディオス!」
何かの光線でロボットはUFO底部に吸い込まれていき、
UFOは空の彼方に消えていった。
【終わり】
手本はアイザック・アシモフ「AL76号失踪す」。
自分が作ったロボット3原則をうまく使ったストーリー。




