家に着きました、でもゴミ屋敷でした
「ココよ!」
辿り着いたのは、廃墟と言ってもいい壮大なゴミ屋敷だった。
2階建ての立派な建物だったのだろう今は見る影もない。
「ココですか……」
「まぁ、住めば都という言葉があるし、気にしないで実際に住めば結構快適よ。手に届くところに必要なものは必ずあるし。」
それって典型的な片付けられない人の言い訳なんじゃ…………
そんなことを心の中で思っていると、次第にシャルの顔色が曇っていき、
「…………そうだよね、この現状の張本人が何言ってんだって話だよね……」
ああ!そうだ、シャルさんは、ある程度の思考が読み取れるんだった!
「だ、大丈夫ですよ!これからは、僕だって居候させて貰うんです。家事とか、シャルさんの手伝いをしますから!」
「明日は、掃除しましょ、シャルさん」
「そうね、今までは1人暮らしだったからやらなかっただけで、私だってやればできるんだから、ふっふっふっふミネルバの驚く顔が目に浮かぶわ」
「えっと、シャルさん?」
「善は急げ!!今からやりましょう。アベル!!」
「いやっ、もう夜ですから、今日は休んで明日の朝一で片付けましょう。」
そう言い、今すぐ片付けると言い行動的なシャルをなんとか宥め、とりあえず床の隙間から寝床を確保して今日を終えた。
さっきのやり取りで魔女のイメージは壊れていった。もしかして魔女っていい人たちなんじゃ……
そんなことを思いながら、眠りについた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「シャルさん、シャルさん、起きてください」
朝、というには遅すぎる朝だ。太陽はすでに上り切り、折り返し地点に迫ろうかとしていた。
このままでは、そう思ったアベルは思い切ってシャルの寝室に突撃した。
そこには、髪が乱れ、服が乱れながらも魅力的な女性がそこにいた。
ゴミが散乱している中、シャルが寝ているそこだけはきれいに整頓されており、それがさらに幻想的であった。
「うぅーーーーん、お母さぁん、あと5ふ、いや、10分だけぇぇ」
「誰がお母さんですか!さっさとしないといつまで経ってもゴミ屋敷のまんまですよ。言ってたでしょミネルバって人を見返すんだって!!」
「はっ!そうよ、ミネルバに私だってできるとこ見せるんだって決めたじゃない!」
ばさっ!!勢い良く立ち上がったので胸のところの外れたボタンからチラッとシャルさんの柔肌が見えてしまった。
「んっ?アベル、どうしたの?顔真っ赤っかよ」
寝起きで無防備なこともあり、そんなことお構いなしなシャルにアベルは耳まで真っ赤にしており、シャルは怪訝に思う。
「ちゃんと言いたことがあるなら、はっきり言って、さっきから私をみようしないじゃない」
「いや、ですから……」
「何?」
「と、とりあえず、ちゃんと服着てくださぁい!!」
そこまで、考えてなかったのだろう。キョトンとした顔をした後、堪えきれなあかったのか静かに笑い始めた。
「アハハ……なんだ、私の肌を見て顔を真っ赤にしていたの?意外とウブねぇ」
「っだって、シャルさんレベルだったら誰だって見惚れちゃいますよ!!」
「っっ!わ、わかったから!服着替えるから、下で待ってて!」
30分くらいして下に降りてきた。
「お待たせ〜」
「これ、台所を勝手にお借りさせていただきました。どうぞ、召し上がってください。」
「こ、これ、あなたが作ったの?」
「簡単なものですけど…」
ただの厚切りベーコンとスクランブルエッグ、それに焼いたトースト
しかし、シャルは目を見開き、嬉しそうに目を細める。
「ううん、誰かに作ってもらうなんて滅多にある事じゃないし、それにあったかいご飯なんて何年ぶりだろう!」
こんなに喜んでもらえるとは思わなかった。
この人の色んな表情を見てみたいとこのとき思ってしまった。
「じゃあ、まずいるものといらないものとを選別していきましょう。」
そう言い、要らないと書いた袋をシャルに手渡す。
「自分はシャルさんの決定に従うので、いるいらないを支持してください。」
「わかったわ!任せて!」
じゃあ、まずは……そう言って取れる範囲から雑誌を手に取った、刊行は4年前で、特に付録などもついておらず、埃にかぶった状態だった。
「シャルさん、これ捨ててもいいやつですか?」
「ん〜〜、あぁぁー!それ、『現代魔術の高度な無駄遣い』の本じゃない!探してたのよ〜」
「いるやつですか?」
唸りながら、額に手を当て、
「今は読まないけど、いつか読むかもしれないわ、置いといて」
ん、あれ?
「シャルさん、これは〜」
「いつかやるかもだから置いといて〜」
んんん?もしかして
「これは「後でつかうやつだから〜」はい」
1時間後
「全然、すすんでないじゃないか!!」
思わず、声を荒げてしまった。
「……………………てへ♪」
舌をペロッと出す
「可愛くても、ダメです。」
はぁぁ〜、しょうがない、そう思い切り出す。
「シャルさん、もう少し、厳し目に設定しますね」
「厳し目の設定?」
意味がわからないシャルは、首を傾げる、、
「埃をかぶっているもの・1年以上前の娯楽雑誌・ダブっている日曜雑貨など、僕の判定でしていきます。」
「判定し終わったら、シャルさんを呼んで、いる物とを審査する。」
「その間、シャルさんは自身の寝室など片付けてきてください。」
「確かに、二重に構えて本当に必要なものを精査していくのね、わかったわ」
第二ラウンドの開始だ。