エピローグ
時は流れて3月、土岐は浮かれて家路についていた。土岐は今日、志望高校に合格したのだった。――
無なる者を倒した後、町に戻った一行は、町の人々に出迎えられ、無なる者を倒したという旨を長老から聞かされると、御馳走が用意され、お祭り騒ぎの大宴会となった。その後、五日間ゆっくり休んだ後、鳥山家と真神家は、島を後にするのだった。
2学期に入ってから、土岐は遅れていた勉強を一気に巻き返し、クラスでもそれなりの成績順位まで上り詰めた。そして、前期では落ちたものの、後記で見事にその実力を発揮し、見事志望校合格と相成った。――
「ただいまー。」
土岐が家に帰った時、玄関の扉を開けると、そこには思いがけない人物が立っていた。
「おかえり。」
「俺は久しぶりだな。」
玄関にいたのは、朱衣子と司だった。
「つ、司!」
土岐は突然目の前に現れた司にびっくりして、危うく学校でもらってきた合格通知を落とすところだった。
「どうしたの?私の家に来るなんて珍しい。」
土岐は表面だけ平常心であることを装って、司に尋ねた。
「無なる者の能力が完全に消滅して、事後処理がやっと終わったんだ。そしたらまたゲート番に戻った。」
司は面倒そうに答える。
「それよりどうだった?」
今度は朱衣子が土岐に尋ねてきた。
「うん、もちろん受かった!」
土岐は満面の笑みと共に、ブイサインを出した。
「そう、良かった。」
朱衣子は合格と聞いてやっと胸をなでおろした。
「さて、土曜日から港は開けるようにする。土曜日以降ならいつでも来るといい。」
司は少しだけ笑うと、
「それじゃあ今日はこれで帰ろう。」
司は踵を返して土岐の横をすり抜けて行った。
「え、もう帰るの?」
土岐は少し名残惜しそうに言った。
「ああ、今日はな。だが土曜日になればまた会えるだろ。」
司は最後にそう告げて帰って行った。
京は火曜日、土曜日までは、後五日。