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久し振りの再会とお買い物1



 湘南第五地下街。


 エイリアンから手に入れた新しい物質や技術で、世界の土木建築技術はグレードアップした。


 そのお陰もあって、ここ湘南第五地下街は五階建てのビルが複数建設しても高さ的に余裕がある地下空間だ。空を見上げなければ地下だと言うことを忘れそうになるほど広い。


改めて、ここは本当に街なんだな。まあ、俺達が暮らしていた湘南基地も生活空間は地下にあるから、今はもう違和感とかは無いが、あっちは軍事施設。こうして、街を歩いて暮らしている人達がいるのを見ると、改めてすごいなと思う。軍人だから地下で仕方がなく暮らしている、って感じだけれど、ここでは地上より安全な地下で暮らしているという安心感みたいなものが伝わってくる。


地上で暮らす人達と地下で暮らす人達の間にはそれなりに溝があるらしいし、少し複雑ではあるが。





 俺は朝早くに軍の寮を出て、軍用の列車に乗り、そのまま専用駅から、地下通路を通って、一般の駅。第二湘南駅から、電車に乗って俺は俊和と待ち合わせをしている第五湘南駅へと移動した。


「ねぇ、あの人」

「わぁ、すごい綺麗」

「うんうん」


 今日は休日の午前、早い時間と言うこともあって、電車内は空いていたが、それでも人は乗っていた。

 俺は電車の上り側の入り口付近で、地下だから景色なんて見えないが窓の外を見ながら、今日の買い物のことを考えていると、俺と向え側の出入り口の前で立っている女子高生くらいの少女達の会話が聞こえてきた。


「それに、すごく大きい」

「うん、凄いね」


 容姿が褒められるのは少し気恥ずかしい。そして、胸が大きいと言われるのはかなり複雑だ。


 自分のを見てもあまり楽しいとは思わないし、何より最近、ほかの戦女子の裸を見ても見慣れたおかげで男として反応が薄くなって、ちょっと泣いた。


「でも服はダサいね」

「うん、残念な感じ」

「っ!?」


 彼女達の会話を聞いて、俺は思わず吹き出しそうになった。ああ、今俺が来ている服はグレーのパーカーとジーンズ、スニーカーだ。

 服を用意する以前に、ファッションセンスの欠片も無い俺がオシャレな服を選べるわけ長いので、守りに入った地味な格好だったのだが。

 どうやら、俺を見た少女二人はお気に召さなかったらしい。とりあえず、俺は彼女達から意識をそらした。多分、悪意はないが彼女達の会話を聞いていたら、ダメージ受ける気がしたからだ。


『次は第五湘南駅~、次は』

「思ったよりも速かったな」


 車内アナウンスに内心ホッとしながら、俺は気分を変える様にそう呟いた。

 うん、やっぱり分かっていたけれど、ファッションセンスを突っ込まれるとちょっと凹むな。あぁ、流石に俊和にダサイとか言われるのは嫌だな。

 妙子さんがいるなら、アドバイスとかもらえただろうけれど。


「着いたか」


 俺は電車から降りて、駅のホームを移動。改札を出て、直ぐ目の前にある広場のベンチへ歩いて行く。

 うん、やっぱり視線を感じる。主に胸! 一応、サイズの大きいパーカーで胸が目立たない物を選んだんだが。

 うーん、やはり今日帰ったら、皆に相談するか。


 そして、ベンチで十五分くらい座って俊和を待っていると。


「姉ちゃん!!」


 駅の改札の方から、聞き覚えのある声が聞こえて、俺が視線を向けると、そこには同世代の男の子達に比べて身長は低めの美を付けても良いくらいには顔立ちの整った少年がこちらへ駆け足気味で向ってきた。


「俊和! 元気だったか!?」

「うん、もちろんだ。会いたかった」

「ああ、私もだよ」


 うん、見た目は殆ど変っていない。

 やはり、幼少期の栄養不足だったのだろう。身長や筋肉はあまり付いてない。けど、顔色や肉付きは良くなっているのが救いだな。


「ところで、それは学生服か? 何で学校の制服を着ているんだ?」

「え、何でって俺も学校を通っているからだよ」

「あれ? 家庭教師とか通信教育だって言ってなかったか?」

「うん、それもしているよ? ただ、普通の学校も通っていた方がいいって、中高一貫の高校があるから、そこにちょっと前に編入したんだ。今日は休日だけど提出する物が合って、学校に提出してきたんだよ」


 俊和の言葉に俺は驚く。

 家庭教師で勉強しながら、トレーニングも行ない、通信教育は恐らく高校のではなくて専門の勉強か? その辺は後で聞こう。

 その状態で高校にも通っている、か。すごいな。

 前世の俺が同じ立場になったら、そこまで頑張れるだろうか?

 うん、無理だな。


「俊和は本当にすごいな。驚いたよ。でも、無理はしてないか? ちゃんと寝ているか? 身体は大丈夫か?」

「へへっ、それは大丈夫だよ。ちゃんと睡眠時間とスケジュール管理はされているから」

「そっか、ならいいんだ」


 俊和と話していると少し視線が増えた気がしたので、俺は俊和にこう告げた。


「それじゃあ、まずは何処へ行く? どこかでお茶でも飲むか?」

「え、あ、うん。そうだなぁ。お昼には早いし、俺も少し話がしたいから、近くの喫茶店に行こう」

「場所分かる?」

「友達に教わった場所だから、大丈夫だよ」


 とも、だち……、友達? 友達に教わった!? 嘘、マジで?!


俺が思ったよりも俊和は上手く、学校生活をおくれているみたいだな。


 俊和はこっちだよ。と言いながら俺の手を掴んで先に歩きだす。俺も俊和に引っ張られる形で歩きだしたのだが。


「ん?」


 ふと、変な視線を感じたので、俺は思わず立ち止まり、後ろを振り返った。

 けれど、誰も居ない。今までの視線とは質が違うような気がしたから振り返ったのだが。


「どうしたの、姉ちゃん?」

「あ、ううん、何でも無い。行こうか」


 立ち止まった俺を不思議そうに見詰めてくる俊和に、俺は大丈夫だと告げる。

そして、俺は自分から俊和の手を握り直して、肩を並べて歩き出す。


 うん、島での生活がもう何年も前の様に感じてしまう。無事に人としての生活が出来るようになって本当に良かったと、俺は思った。



△▼△▼



 駅の近くの喫茶店に入り、俺達は店お勧めの紅茶を頼んで、お互いの近況報告を行なうことにした。

 俊和が高校に通い始めたのは本当に最近のことのようだ。


 やはり地頭が俺なんかよりも遥かに良かったのだろう。小中の勉強は既に終わったそうだ。

 俊和が受けたのは何かしら事件や事故が原因で学校に通えなかった子向けの試験で合格すると色々と高校への編入などを支援してもらえる。

 国が作ったテストの内容は大分簡略化と難易度も低めで作られている、それでも短期間で俊和がこれに合格するのはすごいことだと俺は思う。


 現在、俊和が通っている高校では芸能科があり、中途半端な時期の高校編入でもあまり目立つことなく学校へ通えているようだ。


ちなみに芸能科と言っても、全員が芸能系と言うわけではない。

事情のある生徒の隠れ蓑的に役割を持たせて作ったクラスのようだ。


で、俊和は高校生にしては、童顔の幼い容姿と低い身長で、周りの対応にちょっと困っているらしい。後は同世代の子達とのズレが大変そうだ。


 同級生と話していても流行りのテレビ番組やゲームセンタやカラオケなど聞いたことはあるけれど、見たこともやったこともない。それが原因で、珍しいと思われているらしい。

 ただ、俺が危惧していたイジメなどは起こっておらず、楽しそうに学校のことを話してくれる俊和に俺は笑みがこぼれた。


「姉ちゃんの方はどうだ?」

「私の方も難しいことが多いが、何とかやっていけているよ」

「うーん、具体的には?」

「言える範囲で言えば、訓練が大変だよ。内容は詳しくは言えないけれど、模擬戦は毎回大変だね。準備も後始末も」


 俺は喫茶店にいる人間がこちらを注目していないか確認して、少し声の音量を落として、俊和に教えてやる。


「空母として、艦載機の操作。それと旗艦として必要な知識を覚えないといけない。勉強漬けと言う意味では、俊和と似た様な物だよ」

「へー、そう言えば、艦隊の指揮をする為の旗艦って、戦艦か空母が多いって聞いたな。後、巡洋艦だっけ?」

「ああ、そうだ。良く知っているな」

「うん、ちょっとだけ、爺ちゃんに教わったんだ」

「そっか、なるほどな」


 嬉しそうに笑みを浮かべる俊和を見る限り、曾祖父と孫の関係は良好らしい。


「お二人はお元気か?」

「うん、爺ちゃんも婆ちゃんも姉ちゃんによろしくだって」

「それなら良かった」


 あの二人が居ないと俺も俊和も後ろ盾が無くなってしまう。もちろん、もしもの時の備えはお二人はしているだろうが。

 それでも、あの二人が元気なのは嬉しいことだ。

 生きていた環境と社会的に地位を考えて、結構ドライな人達かと思ったら、俺が思っている以上に愛情深い。これは俊和のことを考えれば、嬉しい誤算だ。


「概ね順調で何より」

「そうだ。戦女子のこと聞いてもいい? 俺、姉ちゃん以外は島風しか知らないから」

「うーん、まあ、所属している戦女子は、調べれば一般の人でも調べられるから、多少は問題は無いか」


 全てでは無いが、基地所属の戦女子は実は公表されている。

 男だった世界のイージス艦みたいな感じで広報がホームページやイベントで戦女子の紹介などを行うのだ。

代表的な所属している戦女子として、扶桑さんは顔でも売れているし、知られている。

話しても、特に問題は無いだろう。


「私が所属している扶桑さんという戦女子がいるんだけれど」

「その人は、どんな戦女子なんだ?」

「彼女は扶桑型戦艦の一番艦で」


 それから、俺は俊和に基地で仲間になった戦女子の話を少しだけ話してあげた。教えたのは日常的なことだ。


 偶にすごい不幸に見舞われるところなんて、不幸艦と呼ばれたりすると教えると首を傾げていたが、具体的な例を教えてあげると可笑しそうに笑っていた。

 具体的にはタイヤキを買ったら、中身のアンコが一切入っていなかった、とか。扶桑さんが聞いたら、涙目になる話を教えてあげた。


「……そろそろ、出ようか」

「ん、そうだな。どこか行きたいところあるか、姉ちゃん」

「そうだね。本屋とか行ってみたいかな。スマホは基地内だと使えないからさ」

「そっか、俺もスマホで小説とか読むけれど、基地内だと駄目なんだな。結構不便?」

「まあ、そうだね」


 会計を済ませて、外を出て俊和と二人で街を歩いていると。


「やはりか」

「え?」

「ううん、何でも無い」


 やっぱり後を付けられているな。けれど、なんだろう。俊和と言うよりも俺を見ている?

 けれど、敵意? っぽい物は感じる様な気がする。


 俺は向けられる視線に困惑しながらも、俊和と共に近くの大型書店へ向かった。




誤字指摘。修正。本当に感謝です。


そして、お気に入りに入れてくれた人達にも感謝です。



後、関係ないですが、アニメ放映されるまで、某ゲームのメイド長がまったく出なかったのに、今ではメイド長地獄。


嬉しい反面、複雑な気分です。





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