ツンデレ令嬢と狼王子 現パロ風
ツンデレなルイーズと腹黒Sなスタニスラスの現パロ(風)です。現パロ(風)なので口調は現代風です。
言動はスタニスラスよりジェルヴェール寄りかもしれません(中身や思考は圧倒的スタニスラスです)。スタンの嫉妬が剥き出しです。
注:二人は付き合ってません。
最後の方のみR15となっております。R15を読まなくても物語は綺麗に終わっていると思います。
最後は八割遊びで書いたものですので読まなくても支障ありません。
R15の所は表記しておりますのでそこから先は15歳未満の方は直ちにリターン願います。
「俺、あいつには近付くなって言ったよね?」
何故、こんな状況になってしまったのかと目の前の男に捕まったルイーズは頭を悩ませた。
こんな状況とは、目の前にいる男、スタニスラスはルイーズ達が通う学園の生徒会長でもあり、女性の目を引く美貌から王子と呼ばれ女生徒から多大な支持を受けていた。
そのスタニスラスからルイーズはフェンスを背に追い詰められていた。
「ただ、話していただけでしょう」
ルイーズはスタニスラスから顔を背けて素っ気なく言葉を返す。
「こっち見ろよ、」
スタニスラスはルイーズの顎を掴み逸らされた顔を正面に向ける。妖艶さと神秘的な菫色の瞳は濡れて膜を張って今にも涙が零れ落ちそうになっているのに、ルイーズはスタニスラスの顔を睨み付けるようにして見つめ気丈に振る舞う。
「こんな泣きそうな顔してるのに話してただけだと?こんな風に詰め寄られてする話って何だよ」
「……っ、スタンには関係無いでしょ。離してよ」
スタニスラスの作り物のように美しいかんばせが歪む。スタニスラスとは小さい頃からの幼馴染だが、これ程までに怒りを露わにする彼を見るのは初めてだった。
その彼の形相に僅かに浮かんだ恐怖心を振り払うようにルイーズは背中をフェンスに貼り付け出来るだけ顎も引いて突如詰められた距離を地道に広げようと試みる。
本当はあの男にいきなり詰め寄られた時は物凄い嫌悪感と恐怖に襲われた。そこに、スタニスラスが声を掛けて来て彼の登場にあの男はすぐに何処かに逃げ去ったのだが、今度は助けてくれたと思った幼馴染に追い詰められているこの状況に泣きたくなった。
だけど、異性に弱みなど見せたくない。上三人が男兄弟で育ったルイーズは負けん気が強く、学園内でも気丈に振る舞っていた。
「……関係なくねーよ」
「え?」
ボソリと呟いた言葉にルイーズは目を点にしてスタニスラスを見つめる。
スタニスラスはルイーズに出会ってからずっと幼馴染である彼女に恋心を抱いていた。だが、ルイーズが自分の事をただの幼馴染としか見ていないことは分かっていると自分に言い聞かせても彼女に対するこの思いを止めることは出来なかった。
「あーっ、くそ。かっこ悪ぃ…」
こんな事してもただの八つ当たりでしかないとスタニスラスは分かっていながらも、他の男に詰め寄られている姿を見たら頭に血が上ってしまったのだ。スタニスラスは深い溜息を吐いてくしゃりと自身の前髪を掻き上げる。
胸の内を晒すなど恥ずかし過ぎるが、好きな女相手に八つ当たりする方がもっとかっこ悪いと思い胸の内を彼女に明かすことにした。
「嫌なんだよ。ルゥが他の男に触られるのもルゥが俺以外の男に笑いかける姿を見るのも」
俯きがちにヤケになって胸の内を明かしたのだが、いつまで経ってもルイーズからの反応が返って来ない。その事に一抹の不安を感じながら顔を上げると顔を真っ赤にした彼女と目が合った。
「ふぇ…?」
ルイーズは唐突な彼のカミングアウトに目を見開きスタニスラスが打ち明けた言葉の意味を理解すると顔全体に熱が集中する。驚きに黙っていると熱情を孕んだスタニスラスの瞳と目が合い、思わず変な声が漏れてしまった。
紅潮した顔を見られたくなくて慌てて両手で顔を隠すもすぐに両手を取られ顔から離される。
「なっ…」
スタニスラスの素早い動きと紅潮した顔を至近距離でまじまじと見られるという恥辱に唇はわなわなと震え言葉を発そうにも金魚の如くパクパクと口を動かすだけで声が出ない。
「顔真っ赤…」
ポツリと発したスタニスラスの言葉がはっきりと耳に届き更に恥辱を煽る。耳まで赤く染め上げては、溢れそうになる涙を隠す為顔を伏せる。その際、両手は握られたままでスタニスラスとの距離がかなり狭まっていた為、顔を伏せると彼の肩口に額を押し当てる形となった。
「~~~っ、意地悪するなバカッ」
ルイーズ的には暴言を吐いたつもりだったのだが、その声音は弱々しくなってしまいスタニスラスにとっては羞恥を隠す為に呟いたとしか思えず、また覗く耳は未だ真っ赤で小刻みに身体が震えている彼女の姿が警戒心の強い子猫を思い立たせて理性が飛びそうになるのを何とか既のところで理性を保つ。
「女子力とやらを上げたのか、お前」
片手を離してルイーズの顔を持ち上げる。
普段、気丈で男女関係なく憧れの的である彼女がしおらしく、また己の言葉を意識して顔を赤くしているのだと思うと陶酔感に襲われた。
「やばいな。すげー可愛いよ、ルゥ」
潤んだ瞳や赤く染まる頬に何時に無く男心が揺さぶられると、彼女の前髪を撫ぜルイーズの額に自身の額を押しあて至近距離でその表情を楽しむ。スタニスラスはルイーズの背に腕を通し、腰へとゆっくりと撫で下ろす。
「っ、近い!」
ルイーズはスタニスラスの胸板に両手を着き押すも、ビクともせず腕の中でもがいてみても腰に回された腕の所為で逃れる事も出来ずにいるとルイーズの両手がスタニスラスの視界を塞ぐ。
「って、見えないから」
「見えないようにしてるの!」
スタニスラスは緩く首を振ってルイーズの手から逃れる。視界が開けそうになる彼の目から手を離すまいとルイーズも奮闘するが、両手で抑え視界を遮る事に集中していた事もありあっさりと反対側の手で両手を取られ頭の上で纏め上げられフェンスに押さえつけられる。
悔しさに下唇を噛み締めてスタニスラスを睨み付ける。
「言っておくけど、その表情逆効果だから。そーゆー表情されると男って燃えるって知っててやってる?」
「…っ、し、らないっ。スタンが変態なだけ…!」
耳元で囁かれる低い声音にぞくぞくとした何かがルイーズの背筋を巡る。
身動きも取れず、いつもと違うスタニスラスの様子にルイーズはとうとう気丈に振る舞っていた心のダムが決壊し、ポロポロと涙を流す。
「なっ、んでこんな事するのっ。分かんない!スタンの気持ちが分からないよ!私の事が嫌いだからこんな事するの!?」
ルイーズは感情のままにスタニスラスに問う。
「うっ…ふぇ…」と嗚咽まで混じえ始めた事にスタニスラスは慌てた。
纏め上げていた手は離しルイーズの身体を優しく抱き締める。やり過ぎてしまったかと反省をするも、ルイーズは無意識なのだろうが、スタニスラスの服を握り締めてえぐえぐと泣き喘ぐ姿が庇護欲を誘うのと可愛らしい彼女の泣き顔に更に困らせて己にもっと縋らせたいという嗜虐心とで心の中はせめぎ合いルイーズが泣き止むまで彼女の背中を擦りながら、顔を上げて別のことを考えている事しか出来なかった。
漸く落ち着いたのかルイーズはしゃくり上げる音に変わり鼻を啜る。スタニスラスは今ならばルイーズもこれから話す言葉に耳を傾けてくれるだろうと意を決して彼女の頭部に手を添えて優しく胸元に抱き寄せる。
「俺はずっと君だけを見てきた。俺がルゥを嫌うわけがないだろう。出会った頃からルゥに惹かれていた。今も昔も初恋であるルゥの事しか俺は女と意識したことが無いのだから」
スタニスラスは言い寄られる事は多くとも自分から想いを告げるということは初めてで、人生初の告白に表には一切出さないが心臓が破裂せんばかりに早鐘を打つ。
ルイーズはスタニスラスから頭部を胸元に押し付けられていた事もあり彼の心音が耳奥に響いてくる。
スタニスラスの服を強く握り込んで彼の言っている事は本当なのだろうかとソッと顔を上げて彼の表情を確認する。
すると、すぐにスタニスラスの大きな手で今度はルイーズの視界が塞がれる。
「こっちを見るな。今、凄く情けない顔してるから」
そう言ったスタニスラスの一瞬だけ見えた表情は真っ赤に染まっていたような気がした。ルイーズは無理に彼の表情を見るような事はせずに再びスタニスラスの胸元に凭れて今度は耳を押し付ける。
その鼓動は、やはり普通の脈拍よりも早くて普段の何処か冷たさを纏って常に余裕に満ちたスタニスラスの姿からは考えられないことである。
この早鐘を打つ心臓の音が耳に心地良い。そして、ルイーズは思った。この早鐘を打つ心臓の音は本当にスタニスラスのもので自分だけのものでは無いのだろうかと。
実はルイーズもまた幼少の頃からスタニスラスにずっと思いを寄せていた。だが、彼は誰にでもいい顔をするし、小さい頃から女の子達にモテた。
中等部、高等部と上がる頃には彼の周りには常に綺麗だったり可愛らしい女性が居て、そんな自信に溢れた女性達の中に入る勇気もないし、ただの幼馴染でしか無いのだからと自分に言い聞かせてスタニスラスとの関係が変わることを恐れて逃げて来た。
「本当に…私でいいの?」
未だスタニスラスの周りにいた女性達を思い浮かべて自分が彼女達に勝っているところなんて負けん気が強いところしか無いのではないかと思い、自信なさげに尋ねる。
「ルゥ"で"じゃなくて、ルゥ"が"いいんだ」
「本当の本当に…?」
「ああ」
「私、スタンの周りにいる子達より綺麗でも可愛くもないよ?」
「俺にとってはルゥがこの世で一番綺麗で可愛いと思う唯一の女の子だ」
「私、人より勝っているものがあるとすれば、負けん気だけだよ?」
「その全てが愛しい」
「私、結構嫉妬深いよ?」
「俺とどっちが嫉妬深いかな?」
スタニスラスはそう言って声を上げて笑う。
ルイーズが再び顔を上げた時には、視界を塞ぐようなことは無く慈愛そして熱情を孕んだ瞳がそこにはあった。
スタニスラスの表情と瞳、全てでルイーズが愛しいと伝えて来る。その事にルイーズはまた双眸に涙を浮かべた。
「…クーリングオフは認めないからね!」
「嫌だと言っても、もう一生離してやれないよ」
スタニスラスはルイーズの顎に手を添えて顔を寄せる。ルイーズはそれを甘受する。
二人の唇が重なった時、二人は晴れて恋人同士となった。
----------------ここから先はR15----------------
「んっ、……ん?んんんー」
甘美な口付けはルイーズの思考回路を溶かして行く。完全に蕩け切っていると背中に回されていたスタニスラスの手が南下して制服の中をまさぐる。
それに気付いたルイーズがスタニスラスの胸板を叩くが彼の手は止まらない。
腰を撫でていた手は腹部へと周り、制服の中に手を突っ込んだまま北上する。
焦ったルイーズは胸板を押すもビクともせずに、キスも徐々に深く執拗なものへと変わり官能的な雰囲気へと移行する。
このまま流されては駄目だと思い首を横に振るも顎に添えられていた手にがっちりと顔を固定されており、一ミリ足りとも動かない。スタニスラスが初めから顎を掴んでいたのは顔を持ち上げる為ではなく逃がさない為であると気付いたルイーズは口内を犯すスタニスラスの舌を思い切り噛んだ。
「いっ、」
ルイーズに舌を噛まれた事で咄嗟に顔を離し、飛んでいた理性がスタニスラスの中に戻って来た。
正気に戻ったスタニスラスはルイーズの表情を見てギクリと肩を上げる。
ルイーズは顔を真っ赤にして双眸には涙を浮かべふるふると小刻みに身体が震えている。そして、スタニスラスの片手は未だルイーズの制服の中にあり、掌は柔らかい弾力の双丘のうちの一つに到達していた。
「あ、あの…ルゥ?これは不可抗力というかなんというか」
やわやわと揉みしだく感触はマシュマロのように柔らかい。これは不味いと理解していながらもスタニスラスの手がルイーズの身体から離れる事が出来ずに咄嗟に言い繕うが言い逃れなど出来るはずも無く、ルイーズの平手打ちが飛ぶ。
「こっ、の……スタンのエロ大魔王ーーーっっ」
おわれ
お約束にて終了です。
ここまでお読み頂きありがとうございました。