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「やっぱり、わかってらっしゃったのね」
クロルドの部屋に戻り私は腕を組む
「・・・・」
無言のまま動かないクロルドの頭にため息を落とす
ごそごそとクロルドが取り出したのは同じように過去に調べたであろう資料だ
様々な方向から調べられているがどれも結論の一歩手前でやめている
まるで行きついたディアンという犯人を何とかして否定したかったかのように
何度も何度も仮定を立て直してある
「・・・貴方のした事は許されないですわ」
分かっていて、一体どれだけの期間見なかったことにしていたのか
その間、何人が犠牲になったのか
「ただ、貴方にとって大切な人がした事を受け止められない気持ちも分かりますわ」
お父様や、お母様・・・レオやエリックにジル
私も同じように目をそむけたくなるだろう、でも
「気が付いたからこそ、分かったからこそ止められる過ちもありますわ
貴方が止めてさしあげるべきですわ、恩師・・・なのでしょう?」
これ以上、彼の手で犠牲を出さない為にも
そう呟くとクロルドがぎゅっと手を握ったのが分かった
震える拳に覚悟を決めたのだとわかる
ここは一旦部屋に戻るのが正解だろう
そう思いクロルドの視界に入らないところに移動する
ワープがばれるのを私が嫌がったため、誰かが見ているとできない仕様になっている
万が一見られていたら大変だ
魔女扱いされて魔女狩りに会う、なんて新たなフラグを立てたくない
転移先は自室の・・・なんとなくクローゼットの中にした
いつもは何も考えずにワープするため部屋の真ん中にただ立っていたり
椅子に座っていたりするのだがなんとなく明確化したのだ
ドレスがたくさん敷き詰められたクローゼットの中に転移する
薄く隙間から部屋の光が差し込みはたとする
わたくし、部屋の明かりなんてつけたかしら?
誰かが清掃に来ているのだろうか
なんて思ったがその考えはすぐに打ちとめられる
外から男の怒号にも似た声が聞こえたからだ
内容まではくぐもって聞き取れないが男が数人話し合っているのが聞こえる
隙間から室内を覗こうと息を顰める
椅子にだらりと座り机に脚を投げ出すディアンが見えた
思考を巡らせる
私がディアンの正体に気が付いたことを知っている・・・?
いや、だとしたら私の部屋ではなくクロルドの部屋に行くはずだ
じゃあ一体何が目的・・・!?
必死になってディアンを観察していると黒髪の男が耳打ちする
褐色の肌が健康的で美しい
私が見間違えるはずがない、レオだ
一瞬の安堵ののちに訪れたのは絶望
ニヤリと口角を上げるレオとディアンに息が止まる
まるで、クリスティーナに復讐するときのように
彼はおぞましくも楽し気に笑っていたのだ
裏切られた?
物語のようにレオが私に復讐を?
めぐる思考に少し後ずさるとゴトリと足元で音がした
靴が何かに当たったようだ
ハッとして顔を上げるが遅かった
ディアンもレオも音に気が付きこちらに足を向けている
一気に明るくなったクローゼットの中
卑しく笑い私を見下ろすディアンをキッとにらみつけるので精一杯だった
もしレオが物語のように塗り替えられてしまったのだとしたら
彼らがこの部屋にいるのは私個人にレオが復讐を果たす為だろう




