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シュタイン王国編


「お初にお目にかかりますアシュレイン王子」


謁見の間にて仰々しく首を垂れる


「このような申し出をお受けくださいましたこと感謝いたします」


ゆっくりと頭を上げるとアシュレイン王子は優しい笑顔で私を迎え入れる


「ひと月以上ここに滞在するのだ、色々と不便はあるかと思うがどうかくつろいでくれ」


視線でメイドに指示を出すと一歩こちらに歩み寄る


「どうか私のことはアッシュと呼んでくれ、友はみなそのように呼ぶ」


アレンはお忍びの名のようだ

迂闊に呼んでしまわないように気を付けなくては


「よろしくお願いいたしますアッシュ様

わたくしの事はどうぞお好きにお呼びになってください」


「ロドワール嬢とでも呼ぼうか」


そうつぶやいた彼をムッとした顔で見るとクスリと笑う


「クリスティーナ、だな」


前を歩く彼の足取りは軽い


「部屋に案内しよう

そんなに遠くないとはいえ疲れただろう」


馬車で片道三時間程度

わずかに痛む腰についフッと笑顔になる


「お気遣い感謝いたしますわ」


私の荷物を自ら持って歩き出したアッシュの後ろをついて歩くと自分の荷物と私の荷物を一部持ったレオがジトリと前のアッシュを見る


「一か月に伸ばしたの彼なんじゃないですかね、お嬢にお熱のようですし」


「不敬罪で死ぬわよ」


「ひぃー怖い怖い」




無表情のメイドと向かい合い私は痛くなる頭を押さえた


「ですから、わたくしはひとりでー・・・「いえ、そういうわけにはいきません」


かぶせられた言葉にムッと口に空気をためる


ロドワール家では自分のことはすべて自分でこなすようにと教えられる

どんなに難解なドレスだって

コルセットだってある程度は自分で締められる


ところがここはどうだろう

何もかもやるのは私たちですと給仕されてしまう


靴一つ履くのだって私たちがとメイドがかしづき靴を履かせてくれる


こんなに何でもかんでもやるのはさすがにどうかしている


彼女たちの仕事というのであればやらせないわけにはいかない為一旦は口を閉じたが後でアッシュに相談しようと思う


何もかもすべてメイドにやってもらった私は少しクタっとしながら部屋をでる

扉の前で待っていたレオは私の顔を見つめてうーんとつぶやく


「お嬢、メイク変えた?」


「おだまり」


悪役顔丸出しのきつい目元を強調するように派手な色合いを使われげんなりする

普段は少しでもマイルドになるようにと気を使っているし

シャドウも柔らかい色合いを使うように心がけているのに


くっきりひかれた黒いラインに真紫の目元に肩を落とす


「絵にかいたような悪役・・・いや、魔女?」


つぶやくレオをひっぱたきたい気持ちを押し殺してアッシュとの待ち合わせの客間にと向かう



「わぁ、クリスティーナは紫が似合うね」


嫌味か本心か分からないアッシュの言葉に疲れがどっと増す


「本当にそうお思いで?」


「本当にいいと思うよ?普段も綺麗だけどね」


そういって髪を一束取り優雅に口づけを落とした

縦巻きにカールさせられた金色の髪がふわりと揺れる


「優雅で素敵でしてよ、アレン様?」


近づいた顔に小さく耳打ちすると真っ赤な顔で離れていく


「からかわないでくれ」


アッシュとアレンで完全に使い分けているのだろう

アレンは王子のような姿は不得意なようだ


「今日はクリスティーナに妹のイザベラを紹介しようと思うんだ」


その言葉にレオがピクリと反応する

私に心当たりはないが、反応したということは何かしらかあるのだろう


「お兄様、よろしくて?」


扉の奥からかけられた言葉にアッシュが反応する


開いた扉から小さな女の子が出てきた

12歳くらいだろうか

一目見てこの子のポジションが分かるくらい鮮烈でぱっきりした顔


あぁ、この子

私と同じ悪役令嬢ポジションか


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