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書類にさっと目を通しレオに渡す


「本当にこれでよろしいのよね?」


少し不安になり口を開くとレオは物珍しそうに私を見つめる


「お嬢が不安がるなんて珍しいですね、もう一度会議でも開きますか」


書類に目を落としたままのレオに私はぐっとこぶしを握る


「いいえ、やってやるわ」



それは昨夜の事だった


無事14歳の誕生日を迎えた私は出会ってしまったのだ

来賓客とのごあいさつ回りを行っていると一人の恰幅の良い男性がわたくしに一礼しこういったのだ


「クリスティーナ様、御誕生日おめでとうございます

実は私共養子をお迎えいたしまして・・・ほら挨拶なさい」


そういって前に出されたのは栗毛の可愛いらしい姉弟


「姉のリリアンと弟のジョセフですリリアンはクリスティーナ様とご年齢も同じです

どうか仲良くしてあげてください」


ぺこりと頭を下げる二人に私は目が回る思いだった


ミッシェル男爵家のリリアン・・・のちに私を破滅に導くヒロインに他ならない

もじもじと頬を染めながら一歩前に出ると私の手をそっと包む


「クリスティーナ様、よろしくお願いいたします」


いきなり手をつかむなんて礼儀としてはあまりになっていないがそんなこと気にならない

確かにみんなを夢中にするだけある

柔らかく透き通るようなピンクの頬にぽってりと潤う唇

そしてきらきらとしたうるんだ瞳で私を見上げるのだ


なんでしょう、この感じ

心をぐっとつかまれるような


これはエリックが靡くのも時間の問題だ


「こらリリアン!いきなりそのようなこと

クリスティーナ様にご無礼だろう

大変申し訳ございません、まだまだ礼儀が未熟で・・・こういった公の場に出るのもこれが初めてなんです」


「お気になさらないで、まだまだ分からないことも多くあるかと思いますし

何かご不便がおありでしたら、わたくしに遠慮なくおっしゃって

どうか楽しんで」


にこりと微笑むとさっそうとその場を離れた


レオも気が付いたのかそっと私に飲み物を給仕すると耳元で大丈夫と私を落ち着けるように囁く


「クリスティーナ、遅れてごめんね」


慌てて走ってきたエリックの瞳にどうかリリアンが映らないようにと祈ったが

案の定あいさつに来た彼女はうっとりとした瞳でエリックを見つめていた




昨夜作戦会議を開いた結果、導き出した答えは交流を増やすことだった


ゲームの中でクリスティーナが悪役として出てくるのは


エリックルート

ジルルート

レオルート

レイクスルート


この四つのルートでは死亡不可避になっている


他のルートでは后妃としての外交に失敗しての平民落ちルート

自国のみに利益を要求した結果の他国民からの殺害ルート


と、よくて平民

高確率で死亡だ


ただ、他国の王子と現段階で親しくしておくと将来的な外交ミスの確率が落とせるのではないか

死に追いやられるほどの失敗はさすがに罠な気もしてしまうが


そこで提案したのが国交を円滑化することを目的とした

各王子たちとの謁見だ

今後の国交をより円滑化させるのが目的

茶会でもいいだろう


父上に書状を出すことの許可をもらうと早速送る


アレンのところで前例を作ればそこから先の足掛かりにもなりそうだ




「お嬢、提案してこんなこと言うの気が引けるのですが」


「わたくしはもう腹を決めていましてよ」


揺れる馬車の中向かいに座るレオは神妙な面持ちをしている


「こちらから提案しておきながら、これを受け入れないわけにはいかなくてよ」


私の言葉にレオははあと大きなため息をついて腹を決めたようによしっとつぶやいた


返ってきた書状に書いてあったのは要約すると


条件としてこちらに一か月以上滞在し、国や国民についての見識を深めろというものだった

確かに一日やそこらの謁見で何かが分かるということはないだろう

七大国の中でも一番に力のある国の次期王妃による謁見は諸外国にとってまたとない機会と捉えられたようだ


自国を除く六大国すべてに一か月顔を出すとしてインターバルを一か月しか置かなかったとしても十二か月だ

一番遠い国だと道中に数泊してようやくつくところもある


「長い旅になってしまいそうね」


向かいのレオににこりと笑いかけると彼は苦笑いを返してきた


本当はエリックも同伴をと思ったが

現状国王の容態があまり芳しくないらしくとてもじゃないが離れられなさそうだった

リリアンが出現した今

私は早急に他国王子とのコネクションを作る必要があるのだ



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