表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/58

11


目を覚ますとレオの複雑そうな顔が私をのぞき込んでいた


「よかった、死んだかと思ったぜお嬢」


泣きそうでいて呆れたような、少し怒りの入った声色で彼は呟きどこか痛いところはないかと私を気遣う


ゆっくり起き上がると酷い眩暈に襲われる


「あぁ、急に起き上がるな

お嬢、三日も目を覚まさなかったんだから」


ぐらぐら揺れる頭のまま再度ベッドに体を鎮めると額に冷たい濡れタオルを置かれる


「三日・・・あなた三日とおっしゃって?」


私の言葉にレオは静かに頷く


「安心しろ、ジル王子は無事だ

守り切ったんだって、頑張ったじゃないか」


クシャリと頭をなでられムッとする

照れ隠しもあるが、同い年のくせに生意気だ

まぁ、前世とやらが本当ならずっと年上になるのだが


「ようやく目が覚めたか、クリスティーナ

まったく、本当に人間とは脆弱な・・・」


漆黒の髪を靡かせながら、気が付けば彼は窓枠に腰掛け

茶菓子を一つ口に運んでいた


すぐに体を翻すとレオはレヴィリアを正面に私を隠すように立つ


「どけ、我が妃が見えぬ」


レヴィリアはレオに向けた指を払うようにして横にそらす

それだけでレオは横に吹っ飛びべしゃりと壁に張り付く


「うごけ・・なぁ」


強い磁石によって張り付けられているかのように壁からはがれず困惑するレオをわき目にレヴィリアはトンっとベッドサイドに舞い降りる


「随分と辛そうだな」


クリスティーナの輪郭をなぞるように指を滑らせ

頬をなでる


「余の魔力に当てられたか・・・ふむ」


ゆっくりと額に柔らかな感覚が落ちる

それが何かわかりぶわわっと顔に熱が集まる


「な・・な・・・なっ」


わなわなと震える私を満足そうに見つめレヴィリアはそのまま震える唇を指でなぞる


「額でそれほどとはここに落としたらどうなるのやら」


そこまで言ったところで飛んできたフォークを視線も向けずにキャッチする


「ほう、なぜ動ける」


肩で息をするレオの額には玉のような汗が浮かぶ


「変質者、お嬢に変なことすんな」


肩で息をしたまますごむレオを鼻で笑うと興ざめだとつぶやく


「クリスティーナ、次までにその犬はしっかりと躾けておくように」


そうでないと余が何をするかわからんぞ

と、怪しげに笑いレヴィリアの姿はパッと消えた


「レオ、大丈夫!?」


慌てて駆け寄ったときはじめて体が随分と軽くなったことに気が付いた

きっとレヴィリアがそうしたのだろう


ぜぇぜぇと息を吐きながらレオは私を見上げる


「お嬢、一旦作戦会議だ」


そうつぶやかれた言葉に私はコクコクと頷く

レヴィリアの事を私は知らないがレオならば知っているのだろう

オープニングの映像にも出てこない未知の存在だが

果たして私の破滅に関係のある存在かどうかは聞いて居おきたい


それに、


「すごく大変な目にあったのだけれど?」


過酷すぎた誘拐騒動をレオにはきっちりと説明していただきたいものだ

苦笑いするレオを笑顔で威圧しながらクリスティーナは今夜の作戦会議の準備をメイドに指示した


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ