跳んだ先には-2
目が覚めた時には森の中にいた。辺りを見渡すが人影や人工物は確認できなかった。
俺はとにかくどこか人がいるところに向かうために森を歩きだした。
「しかし、まさか『ミニマップ』まで初期化されているとは...」
ミニマップ。これはBogないでは初期で買う必要があると言われている外部デバイスの一つである。
今、ゲレクティックケイト=エイジは...長いので『エイジ』に省略化しよう。エイジはステータス以外はすべて初期化されているので武器や防具、ガジェットやスキルに至るものすべてが初期状態なのだ。
「初期武器がGew98とコルト・M1917か。懐かしいな...初期武器とはいえこの世界ではかなりお世話になるだろうな。」
初期武器は実は弾は無限なのだ。実際、初期武器は第一次世界大戦から第二次世界大戦ごろまでのいくつかの物から選ぶことが出来る。しかし、選べるのはだいたいマイナーなものやそんなに人気がないものが多い。中には例外もあるが。例えばGew98は派生型がKar98kなので、Karファンはだいたいこれを選ぶ。そして、Karが買える分溜まったらKarを使う人が多い。
「歩く前にガジェットを買うか。」
俺は一度木の陰に体を隠し、メニューを開く。そして、メニューの欄からショップを選択する。そしてさらにその中からガジェットを選ぶ。
メニューの右上には武器ポイントが『2000pt』と表示されている。二千は実は少なく、新しい銃を買うには万単位のポイントが必要なのだ。しかし、ガジェットを買う分には2000あれば十分だ。ガジェットの欄の中から『M24型柄付手榴弾』を選択する。これも初期はこのガジェットがいいと言われるものの中の一つである。ちなみにミニマップは15000ptである。
「よし。」
銃を担いで俺はまた歩きだした。
「しばらく歩いたが出口が見えないな。どのくらい広いんだ?」
人はおろか建物すら見ることもないと心配になってくる。しかし、その時どこからか声が聞こえた。
「~~!」
「ん?なんだ、この声は?あっちか。」
声のする方向へ向かうとそこでは鎧を着た者が三名、三匹のオオカミに囲まれていた。
「ほぉ~狼か。しかし、さすがにあの数は...ん?」
後ろから気配がしたのでコルトを構えながら後ろを向くと狼が一匹こちらに近付いて来ていた。
「おやおや、こりゃ歓迎されていますな。」
「WAU!」
狼がこちらに走ってくる。それと同時にコルトの引き金を引く。
パァン!
轟音とともに銃身から吐き出された.45ACP弾は一寸たりとも違わずに狼の脳天に飲み込まれていった。
「GYAN!」
「まずは一匹。」
俺はそのまま騎士たちの方に銃口を向け引き金を引く。
パァン!パァン!パァン!
「GYA!」「GYAN!」「AON!」
「マルチキル。」
これで助けることはできたな。正直見捨ててもよかったが、後味が悪いのと騎士ということはこの格好で街に行ったとき多少は怪しまれずに済む。...多分。