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屋敷の中は家具が残ってるけど、すっかりホコリやら何やらで汚れまくっててそのまま使うには抵抗がある状態。
「汚いなあ」
ラスクがつぶやく。地主が持ってるランプで照らされただけでもわかるくらいだから、昼間に見たらもっと汚れてるってことだろう。
「テツヤさん、絶対離れないでくださいよ? 勝手に離れたら、思いつく限り一番残虐な方法でむっ殺しますからね?」
「オイラはむしろハギさんがこえーッスよ。それにこんだけくっつかれて、どうやって離れるんスか」
テツヤは即座にツッコみつつ、腕に景気よく押し当てられる柔らかい部位の感触は意識しないように全力でトライ。
「怖いって何ですか。それではまるでワタクシがビビっているみたいではありませんか。ヘイヘイピッチャーではありませんか」
「もう意味わかんねえッス」
テツヤとハギが着地点のない会話をしてる間も、家主は淡々と屋敷の中を進む。
「イッヒッヒ、こちらが2階です」
案内に従って階段を上りかけた矢先。
ランプの灯が消えた。




