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#96
「いえ、今日はもう暗いですから、見るなら明日の方がよろしいかと」
額に汗をダッラーと垂らして、露骨にうろたえるハギ。
さっき幽霊のウワサをネリキリから聞いた時と一緒で、ビビってるのはクリアー。
「残念ですが明日は予定が入っていますので、見るなら今日のうちに。イッヒッヒ」
「そ、そうですか……」
露骨にガッカリするハギに、テツヤが助け船。
「見るだけならオイラたちだけでもできるッスし、ハギさんは先に宿へ帰っててもいいッスよ」
けどそれは地主がカット。
「大事なことですから、全員で見ていただかないと困ります。イッヒッヒ」
「いや、そう言われても……」
テツヤが困惑してると、それを押しのけてハギがずずいと前に出る。
「ワタクシなら問題ありませんわ。幽霊くらいでビビっていると思われては不愉快ですし。ビビっていませんから!」
過剰に念を押してくるハギ。けどその目はグルグル泳いで、誰がどう見てもビビってる。
「そうですかそうですかイッヒッヒ。それでは早速参りましょう」
うさんくさい笑い方をする地主の案内で、テツヤたちは屋敷へ向かう流れになった。




