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#9
「痛え、痛えッス。そんなに踏んだら腕もげちゃうッス」
「テメーどこの組のもんだ」
「言えねえ。それだけは死んでも言えねえッス」
「じゃあ死ねや」
元気よく顔面を蹴られる。
その時、床の上でピロロ、ピロロと電子音。
どうやら倒された拍子に、懐から携帯がビョーンと飛び出た模様。
「出ろよオラー」
押さえ付けられた顔の前に、通話ボタンを押した携帯が突き出される。
テツヤよりもよっぽど操作に慣れてる。
『どうだテツ、うまく行ったか』
案の定、通話の相手はアニキ。
「おかしいッスよアニキ! 干柿のヤローいねえし、代わりにすっげえたくさん人いるッス! 同窓会みたいッス!」
『……』
何がどう同窓会みたいなのかはさておき、動揺しまくるテツヤの様子から、アニキはすぐに状況を把握。
『やっぱり罠だったか……』