#70
「いや、もしマジで目をやられたら、後でハギさんに治してもらおうと思ってたッスから」
テツヤがそう言って笑うと、当のハギはキョトンとする。
「できませんわよそんなこと?」
「え、どゆことッスか? だって爆発させたり空飛んだりできるんスから、治療だって」
「ワタクシの専門は破壊魔法とその補助で使う魔法ですから、身体を壊したり焼いたり腐らせたりはできますけれど、治療なんて下劣な魔法は使えませんわよ?」
「フツー逆だろ……」
老人が思わずツッコむ横で、テツヤもだんだん事態がわかってきた様子。
「それってオイラ、ひょっとしてすげえピンチだったんじゃねえッスか?」
「ひょっとしなくてもそうですわ」
「うっわ超怖えー! それシャレになってねえッスよ! だって目玉ッスよ、目玉! ヤベーッス、マジヤベーッス」
完全にパニクった様子でヤベーヤベーって叫ぶテツヤに、さっき見せた強面の気配はナッシング。
そんな2人を見て、老人は改めて(こいつら何なんだ)って驚き呆れるのだった。
★アニキ語録
『長い目で見たら、(バクチの胴元は)普通にやるのが一番儲かる』
こう言ってたくせに、オイラとやった時はメチャクチャイカサマしてくるッス。
おかげで人のイカサマを見つけるのはうまくなったッスけど。




