58/350
#58
老人は60から70代くらいだろうか、短く刈った髪は真っ白で、背丈は柔軟剤を入れないで洗濯したセーターみたいにキュッと縮んでる。
どうやらこいつが胴元らしく、その相手をしてるのが2人。あとの2人は見てるだけの野次馬だ。
「どうだ兄ちゃん、アンタあの上部屋に泊まってんだろ? 遊んでかねえか?」
「いや、オイラはやめとくッス。手持ちがねえし」
実際、現金を持ってるのはハギだけで、そのハギはこの場にいない。
「チッ、シケてやがらあ」
老人はそう言ってテツヤに興味を失ったのか、賭けてる2人に視線を戻す。
テツヤは野次馬に混ざって、ヒマつぶしがてら様子を見ることにした。
「……」
賭けてるうちの片方はコボルドだろうか、犬みたいな顔をした青年。
もう片方は40過ぎの人間で、生活習慣病を1つのボディにまとめたみたいな肥満体。
(昼間っから仕事もしねえで、何してるんスかね、こいつら)
テツヤは内心で思う。自分も大差ないくせして。




