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#55
「空飛ぶって、もう何でもありじゃないッスか。フリーパスッスよ、フリーパス」
「おそらくフリーダムのことを言いたいのでしょうけれど、そんなことはどうでもいいですわ。とにかく、ワタクシが王都へ行っている間、テツヤさんはここで待機していてください」
「わかったッス」
テツヤはうなずくけど、ハギはさらに念を押す。
「もし勝手に宿から出たりしたら、お尻の穴に魔法の杖を突っこんで、奥歯をガタガタいわせましてよ?」
「オイラ全然信用されてねえッス! しかも杖の使い方、絶対間違ってるッス!」
テツヤのツッコミを、ハギは軽やかにスルー。
「幸いなことにあの無能ゴブリンの居場所はわかっていますし、バカだから自分で名乗りさえしました。本当は店ごと燃やしてしまえば楽なのですが、それだとショートソードが取り返せませんから」
「どんだけ焼き討ち好きなんスか……」




