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#26
「――つまりテツヤさんは、そのシンジュクとかいう国からいらしたんですね?」
「いや新宿は国じゃねえッス。そんな23区ごとに国が分かれてたら、山手線乗るだけで大変ッス」
出口へ向かって、森の中を延々とウォークするテツヤとハギ。
歩きながら、この世界へ来た成り行きをハギに話す。
「それで、そのメアリーちゃんっていうでっけえ犬がワーッて来て、やべえ、食われる! って思ったら、よくわかんねえうちに森の中だったんスよ」
テツヤもだんだんとここが新宿じゃないっていうのは理解できてきたものの、いきなり異世界へ転移したなんていうぶっ飛んだシチュエーションを受け入れるとこまではまだ追いついてない。
けど、それを聞かされたハギは案外サクッと理解した様子。
「何年かに1度、別の世界からこちらへ人間が来ることがあるという話は聞いたことがあります」
「別の世界ッスか……」




