11/350
#11
「アニキ……」
散々殴られたり蹴られたりして額でも切れたのか、テツヤの顔はダラダラ垂れる血で真っ赤っか。
けど本人は傷のダメージよりも見捨てられたショックの方が大きいのか、血が目に入るのも気にしてない様子。
気にしたところで、身動き一つ取れないんだからしょうがないんだけど。
と、そこで突然店内に響く「舟唄」のイントロ。
(え、このタイミングでカラオケッスか? 何考えてるんスか?)
なんてテツヤが思った矢先。
「どうやら話はついたみたいねェ」
店の奥から誰か出てきた。
「……え?」
現れた屈強な大男は、なぜか紅白歌手みたいなキラキラのドレスを着て右手にはマイク、白粉で白く塗られた顔には真っ赤なルージュまで引いてる。
おまけに高いヒールの靴まで履いてるもんで、ジャンプしなくてもダンクシュート打てそうなくらい。
あまりにクレイジーな姿なもんで、テツヤは大男が女装した干柿だって気付くのに20秒近くかかった。




