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第89部

第35章 冒険の旅


そして、地図に従って行動している学達は、洞窟を見つけていた。

「ここが、この地図に書いてあった洞窟ね」

佐古が言った。

「僕たちがしんがりを勤めます。ささ、他のお方は先に行って下さい」

革と努が一番後ろについた。そして、一行は、洞窟の中に入っていった。


「うわぁ、なんか暗い」

「しょうがないだろ、桜。なにせ、洞窟なんだからな。暗いのは当たり前だろ?」

その時、学の足元で何かを踏み、割れる音がした。

「え?何の音?」

恐る恐る下を見ると、砕けたしゃれこうべが落ちていた。冷静に、学がしゃがんで調べた。

「人の頭蓋骨みたいだね」

「ねえ、前々からいいたかったんだけど…」

一行は、再び歩き始めた。桜は、学の横につきながら話し続けた。

「学の、そんな冷静なところって、どうやったら身につくの?」

「さあな。ただ、何事も受け止めれる心があれば、大丈夫だと思うがな」

「ふーん。でも、私から見て、学にそんな心があるとは思えないな」

「静かに!」

一番先頭を歩いていた佐古が一行を止めた。

「どうしたの?」

「光が見える」

「部屋にまで着ましたか。踏み込みますか?」

「そうだな、一気に踏み込んで、かたを付けよう。それでいいね」

学は、みんなに呼びかけた。そして、全員賛成していたので、

「じゃあ、行くぞー!」

そして、戦闘が始まった。


敵は、総勢数十名。一方の味方は、6名。しかし、大変よく戦い、そして、勝利した。


「ふー。ゲームの中の人ってこんなに大変な事、よくやってのけるな」

学が言った。息はみんな切れていた。しかし、誰一人として死ななかった。

「まあ、全員無事なだけでも、OKとしよう」

「怪我だらけだけどね。回復系の魔法って憶えてるの?」

「いや、まだ憶えてない…」

「じゃあ、これ使いなよ佐古」

革はゴブリンの所持品の袋を渡した。中には、傷薬だけが何十個も入っていた。

「なんで、こんなに入ってるの?」

「僕達が、集めました。桜さん」

「そうなの。で、他に何かあった?」

「はい。この机の上に、地図がおいてありました。隠してあったようですが、よく分かりません」

「どういう事?よく分からないって」

桜と佐古は、その地図を見せてもらった。その地図は、確かにこの大陸を示していた。しかし、使っている字の全く意味が理解できない字であった。

「確かに…」

「これじゃ分からないわね」

「おい、桜。これを付けとけ」

学が渡したのは、鎖で作られたよろいだった。

「なによ、これ」

「それは、鎖帷子と呼ばれるものです。通常の服と同様に付けて行動できます」

「そういえば、勇雄さんは、魔法が使えるんでしたね」

「ああ、そうだ。魔法しか使えないともいえるがな」

「元の世界の魔法も使えるのですか?」

「誰でも操れるさ。ただ、使い方を知らないだけでな。だから、自分も使えるはずだ」

「じゃあ、これが何か、分かりますよね」

革から渡されたのは、青い表紙の本であった。表紙には、「氷の魔道書」と書かれていた。

「氷の、魔道書か…」

勇雄は開けて見た。中には、ブリザード、アイスタックル、召喚魔法「アイスマン」と書かれていた。そこで、ふと思い出して炎の魔道書も開けた。そこには、今までの技と共に、サラマンド、フラーム、召喚魔法「サラマンダー」と書かれていた。

「召喚魔法とか、どうやったら出てくるんだ?」

「ただ、唱えればいいんじゃないかな?」

佐古が横で本を見ながらいった。

「とりあえずは、奥に続く部屋があるからそこにいってみましょう」

その時、ふと、古ぼけた紙が勇雄の視界に飛び込んできた。

「あれ?なんだ、これ…」

勇雄はそれを拾い上げた。その時、白くとてもまぶしい光が紙を包んだ。

「なんだっ!」

みんなは、目を覆いその紙の方向を見た。まぶしい光は周りの物を全て消滅させるほどだった。そして、光が収まる頃には、その部屋には6人以外に何も残ってなかった。ただ、紙は弱々しく光を出していた。そして、光が完全に収まると、文字が書かれていた。

「おい、ちょっと、みんな集まってくれ」

勇雄はみんなを集め、紙をみんなに見せた。

「この紙は、何かの詩が書かれているみたいだ。誰か読めないか?」

「う〜ん…」

誰一人として読めなかった。すると、後ろから声が聞こえてきた。

「神と悪魔は表裏一体。

全てのものには神が宿る。

神が宿るものには悪魔も宿る。

気をつけよ!

神と悪魔は常にあなたを視ている。

悪魔が強くなれば、神は小さくなる。

神が強くなれば、悪魔は小さくなる。

全てのものには悪魔も神も宿る。

神と悪魔は表裏一体。

気をつけよ!

神と悪魔は常にあなたを視ている」

「誰だ!」

勇雄は魔道書を広げながら振り返った。そこには、小さな妖精みたいな浮遊物体があった。

「私達は、ファインドとデフレクト。あなたの使い魔です」

「え?自分の?」

「そうです。この中で魔法を使える能力はあなたしかいない。そうすると、あなたに頼らざるを得ない。私達を使い魔と認めてくださいますか?」

「ああ。いいだろう。但し、自分の言う事には従ってくれ」

「了解しました。では、これをあなたに託しましょう」

白い表紙の本を渡された。表紙の上に「白の魔道書」と書かれていた。

「白の、魔道書か…」

「それは、回復系魔法です。攻撃魔法ではなく、回復のみの魔道書となっております。そこを注意してください」

「勇雄君も、ようやく、使い魔を使えるレベルまで来たんだね」

「それは、褒め言葉だよね」

「で、白の魔道書にはなんて書かれているの?」

「ああ、そうか」

桜からの質問に対し、魔道書を開き始めた。

「えっと、リカバーとリカバリーだね。それだけかな?」

「じゃあ、これで、この大量の傷薬を持って行くことも無いんだね」

「いや、それはやめた方がいいだろう」

「どうして」

佐古は学に聞いた。

「勇雄がいなくなった時に備えてだよ。この中で、魔法が使えるのは勇雄だけなんだから」

「それよりも、はやく先に進まない?ほら、あそこに道の続きがあるしさ」

革が言った。

「そうだな。ここで油売り続けても、誰も来ないしな」

そして、一行は、洞窟を奥深くに進んで行った。


一番奥の行き止まりまで来た時、何か台がおいてあった。

「あれ?この台は何だろう」

勇雄が近づき、調べた。すると、下から小さな破片が出てきた。それは、ちょうど、テニスボールみたいな球を割った破片みたいだった。

ガラスで出来ていそうなくらい向こう側が透けて見えた。その物体は、頭の中に直接話しかけてきた。

「あなた達は何者ですか?」

「私達は、解放の民。あなたは?」

「私は、この星の守護神の一部です。私の名前は、カオス。第4宇宙空間の神の分身になります」

「カオス神…うわさでは、イフニ兄妹が神に封ぜられた時、その事を決めた会議の議長だったとか…」

「そのですね。神々の相談によって、この世界が閉ざされた時、あちらがわの情報の一切はこちらに入らなくなる直前、それを言われてここに着任しました」

「と言う事は、他の神々もこの地域にいるのですか?そして、それはどこに?」

「私には分かりません。ただ、あなた達は、私を見つけてくれた。私は、あなた達と一緒に行動したいのですが、よろしいでしょうか」

「ああ、いいだろ?みんな」

学はみんなに呼びかけた。

「ありがとうございます。では、これを授けましょう。この中で、魔法が使えるのは誰ですか?」

「自分ですが」

勇雄はみんなから一歩神に近づいた。

「そうですか、では、あなたにこの能力を授けましょう!」

バシッという大きい音の後、カオス神の結晶は消えていた。その代わりに、勇雄の手に、「混沌の魔道書」が握られていた。

「混沌の、魔道書」

「カオス神は、第4宇宙空間の神。透明であり、混沌を司っている。だから、混沌の魔道書なんだと思うよ」

「そうであることを願っているよ。さて、この中には…」

魔道書には、カオサーと言う呪文と、混沌神カオスの召喚呪文しか乗ってなかった。

「これは、2つだけらしい。カオサーと言う呪文、それと、カオスの召喚呪文だ」

「いいじゃない。とにかく出来たんだから。さあ、ここから早く出ましょう。なんか嫌な予感がするわ」

桜は、すぐに戻り始めた。みんなは、桜の背中を追っかけた。


先ほどの大きい部屋に着いた時、巨大な蛇がいた。頭が8つあり、尾は見えなかった。

「ヤマタノオロチか」

「何それ?どこぞのモンスター?」

「いや、出雲神話という話に出てくる伝説の蛇だよ。昔、日本と言う国が出来たころの話なんだけどね。まあ、詳しい事はほっといて、そいつがここにいると言う事だよ」

「先制攻撃しか無いだろう。ここはさ」

その時だった。ひとつの頭がこちらを向いた。他の頭も気づいたらしく、こちらを振り返り、そして向かってきた。

「来たぞー!」

「酒!酒はどこかに無いか!」

「そこらへんに、散らばっているけど?」

「だったら、こいつに飲ませろ!」

革と努と勇雄が酒樽を何個も運んできた。

「お騒がせして申し訳ございません。これらはお詫びの品です。どうぞ、お納め下さい」

学は、お辞儀をした。小声で桜は学ぶに聞いた。

「学、何しているの?」

「いいから、俺にまかせろ」

すると、相手は、酒樽に顔を入れ、飲みはじめた。

「すまんが、勇雄達。もっと、酒樽を持ってきてくれ」

ここで、ピンと来たのは、勇雄だった。

「そうか…なるほど。分かったちょっと待たしとけ」

勇雄達は、酒樽をさらに何十個もどこからか調達して来た。そのうちに、酔いが回ってきたのか、ヤマタノオロチは、グデーンと伸びてしまった。

「よし、今だ!全ての首をやれ」

学達は、8つの首全てを切り落とした。そして、そのまま、加工し、干し肉にした。

「でも、どうして、酒に弱いって分かったの?」

「こいつが本物だからこそ成功したんだ。日本書記でも、ヤマタノオロチは、酒を飲んでやられている。それを利用したんだ」

学は桜に説明を入れた。その一方で、大量の干し肉が出来て、当分の間は食料の心配をせずによくなった。

「そしたら、出発しよう。あの町に戻って、宿で一休みしてから、この国をさまよう事にしよう」

「でも、それもいいけど、お金はどうするの?」

「その心配はしなくてもいいよ」

勇雄が金銀財宝の詰まった宝箱を運んできた。

「勇雄、どこにあったんだ?その箱は」

「この奥にあったんだ。ほら、酒樽をこっちに持ってきた時に、見つけたんだ。これを売れば、大量の資金が出来る。これで、宿代に困る事も無いと思うよ」

「出来るだけ持って行こう。箱は何個あるんだ?」

「これを入れて6箱。一人一つずつ持っていければ、ちょうどいいんだ」

そして、その通りに、一人ひとつずつ箱を持ち、洞窟から出て行った。


町に戻った時、ひと騒ぎ起こっていた。どうやら、殺人があったらしい。その犯人は、この近くにいるらしい。勇雄達は、貴金属を銀行に預け、いつでもその分の金額を引き出せるように手続きを済ましてから、犯人を捜し始めた。


「でもさ、犯人って言ったって、どんな人相かだけじゃ分からないよ。それに、だんだん暗くなっているし」

革がいった。

「じゃあ、とりあえず、今日はこれで宿を取ろう、明日、また探す事にしよう」

学の提案により、この町唯一の宿に泊まる事になった。

「ああ、ここだよ。民宿「デザルト」。この町でひとつだけの宿泊施設」

ドアをくぐると、酒場だった。その奥のカウンターの横に小さな階段があり、階段の横に宿屋と書かれていた。学達は、2階にすぐに上がった。

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