第88部
第34章 不思議な空間
そして、一番下まで来たら、葉っぱと腐葉土によってクッションが出来ていた。
「さてさて、今日は客人が多く来る日じゃな」
「仕方があるまい。今日は、開放の日じゃから」
「そうかそうか。今日であったか。儂とした事が、もう、老化かのう」
そのクッションから出てきたら、2人のそっくりな老人が立っていた。
「あなた達は?」
「儂らは、この惑星の住人じゃ。お主らは、別の宇宙から来たものじゃな」
「そうです。何とかのトンネルを通って、ここに連れてこられました。いったい、ここは…」
「その気持ちはよーく分かる。さて、最初に、わしらの名前は、カース・フラットと、ライスじゃ」
床にまで届いている白いひげと、角刈りにしている白い髪。服装は、魔法使いの服装であった。黒い上着を着て、メガネをかけ、こちらをにこやかに見ていた。
「さて、当然持っている疑問としては、ここの事だろう」
学はうなずいた。
「ここは、シャウドと呼ばれる惑星であり、宇宙なのだよ。そして、時に、そちらの宇宙と道が開く。その日の事を開放の日と呼び、祝うのじゃよ。この惑星は、土地が広く、4つの国が成立しておる。それぞれに、特徴があり、さまざまな人が住んでおる。そして、この空間より帰る事が出来るのは、方法は2つ。死んで帰る事。その場合は、向こうの世界では、こちらの記憶は一切残らない。そして、もうひとつは、この世界のなぞをといて帰る事。その場合は、向こうの世界では、こちらの記憶は永遠に残る。もしも、肉体的に傷ついた場合でも、向こうの世界では何も変化は無い。ただ、精神的な痛みが残るだけだ。こちらの世界は、精神で成り立っておる。元々は、肉体もあったらしい。宇宙はもっと広かったらしい。しかし、何らかの理由で、この世界は、閉ざされた。君達は、開放の民と呼ばれ、あちこちで敬われる事になるだろう。さて、別の話に移ろう。まず、これを授けよう。これは、さまざまな情報が載る。この世界では、この紙が身分証なのだよ」
「はあ、分かりました。しかし、もし、失くした場合はどうなるのですか?」
「失くす事はありえない。なぜなら、これはお主らの体と同一化される。体は紙を吸収し、情報を入手する。さらに、これを授けよう。木の剣と、木の盾だ。これらは、お主らを守る武器になるであろう。この中で、魔法使いになりたい者はおるか?」
「なりたいです」
勇雄が言った。
「そうか。ならば、これを持つ必要がある。炎の魔道書じゃ。これがあれば、炎系の魔法を操る事が出来る。ただ、知識が無いとその中の文字を見る事は出来ぬ。開けて見なさい」
勇雄は言われるがままに、最初のページをめくった。
「何が見える?」
「ファイア、ファイアウォール、ですね」
「すでに2つおぬしは使える。さあ、魔法の使い方じゃが、その呪文を唱えればいい。他の呪文は、この魔道書に認められるたびに増えていく事になる。さらに、世界には、雷の魔道書、氷の魔道書、闇の魔道書、光の魔道書が存在する。それぞれを極めてみなさい。さて、儂らから言えるのはそれだけじゃな。最後に、これをお主らの紙に送る。思えば、目の前に広がる感覚があるはずじゃ」
学達は、ついさっき来た情報を見ようとした。すると、目の前に地図が広がってきた。
「これは?」
「この大陸の地図じゃ。この惑星には、大陸は、ここしかないのじゃ。そして、その地図には、主要な都市が載っておる。それを頼りに行動しなさい。そなたらに、神の祝福のあらん事を…」
そして、学達は、この森から出て、惑星シャウドに最初の一歩を踏み出した。
「まずは、どこに行く?」
「この近くにある砂漠の町、デズンタにいってみよう。そこが、ここから一番近い町だから」
そして、1時間ばかし歩き回った。
「ようやく…着いた…」
「でも、考えたら、自分達、お金、持っていませんね」
その時、後ろから声がかかった。
「あれ?桜ちゃん?」
桜が振り返ると、
「佐古ちゃんじゃないの。どうしたの?もしかして、ここに連れてこられたの?」
「その通りなの。あ、そうそう。でも、私だけじゃないの。ほらね。まえ、メールで話した双子の革君と努君。で、このお兄ちゃん達は?」
「ああ、同じ天文部の部長の河内学君と一年後輩の伊達山勇雄君。そうそう、紹介するわね。この子は、私のメル友で、岸川佐古ちゃん。
それで、あそこの軒下にいるそっくりな子達は、飯島革と努君。佐古ちゃんと同じ小学校に通っているの」
「ちょっとまて」
学が口を挟んだ。
「一体この子達は何歳だ?」
「11歳よ」
佐古が答えた。
「革君も努君も同じ。実はね。私達、誕生日が一緒なの。だから周りからは、三つ子って呼ばれているの」
「それは、偶然だね」
「さてと、それよりも佐古ちゃん。お金貸してくれない?」
「え?いいけど?それよりも、一緒に冒険しない?」
「そうね。どう?みんなは」
「俺はいいよ」
「自分も大丈夫です」
「じゃあ、大丈夫だね」
「でも、どうしてお金が欲しいの?モンスターの宝物を取れば、お金なんてすぐに手に入るのに」
「私達ね、まだ来たばかりなの」
「ああ、じゃあ、私の方が先に来たんだね」
後ろの軒下にいた双子がこっちに来た。
「なあ、佐古。この人達、何者?」
「さっきの会話聞いてなかったの?この人達は、私のメル友とその友達よ」
「ああ、これは失礼をしました。僕は飯島革と言います」
「小生は、飯島努と言います。どうぞ、お見知りおきを」
「小生ってめっちゃ久し振りに聞いたな。君達、本当に同じ時代から来たの?」
一瞬、沈黙の時間があった。
「そうです。あなた方と同じ時代よりこちらに参りました」
「いやはや。まだこんな話かたの人がいるとはな。とりあえず、取ったお金はどうやって保管するんだ?もしや、持って行くわけにもいかんだろう」
「ほら、あそこを見て。あの銀行は、この大陸の全ての国に支店があって、それぞれにお金をためる事が出来るの。ただ、そこそこ大きい町に行かないと無いけどね」
佐古が説明した。
「それよりも、出発しようよ。早くその冒険の旅とやらに」
「そうだな。でも、どこに行くんだ?道すら分からんこの砂漠のど真ん中の町だぞ」
「まず最初に、ゴブリンやその他のモンスターがいる洞窟の地図があるから、そこにいってみましょう」
「なんだ。そんな地図を持っているなら早く言ってくれよ。早くそこに行こう」
そして、一行は、その洞窟へ向かった。
上空では、見えないように擬装されている船が飛んでいた。
「皇帝陛下、いかがなさいましたか?」
皇帝と呼ばれた男は、豪華な席から立ち上がり、船の下を見ていた。
「あの砂漠の町…あそこが全ての始まりだったな…」
「左様でございます。あなた様は、あの町より旅立たれました。お懐かしゅうございますか?」
「…いや、ただ、先ほどあの町から6人の男女が砂漠をわたっていっているのでな。少し気になったのだ」
「歴史は繰り返されるのです。あなた様の後継者が見つかるかもしれません」
「…そうかもな。今回の開放によってこちらに来たのは何人だ?」
「12名でございます。しかしながら、そのうちの半数は既にひとつになりました。残りの6名は、3人づつのグループを構成し、別々の方向へ歩き始めております」
「…そうか。では、元の町に戻ろう。よろしく頼むぞ」
「承知仕りました」
そして、部屋には、会話の途中一時も顔をあげずに下を見ていた皇帝のみが残された。
「この星の秘密は、彼らに暴けるのだろうか。この皇帝にすら出来なかった偉業を、彼らに成し遂げられるのだろうか…気になるな…」




