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虐められていた最強高校生  作者: んれる
学校の破滅編
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告白と事件

久しぶりすぎてスランプなんじゃないかとか自分で思ってしまった。

 氷菜から逃げるように家を出た義昭は、登校時間までお気に入りの公園に寄りゆっくりする。


この公園は、数十年前に惨殺事件が起きて以来大人は愚か子供ですらも怖がって近寄らなかった。


 誰も近寄らないという事は、義昭にとって好都合だった。

誰にも邪魔される事なくゆっくり出来るからだ。


ブランコに座って伸びをしていると、自分以外の声がする事に気付いた。


(どうやら今日の僕は最高に運が悪いらしい。)


滅多に人が来ないはずのこの公園にどうやら来客があったらしい。


見覚えのない人なら何処かに隠れる所ではあるが、親しい人ならば話は別だった。


「あれ?義昭くんだ。こんなところで何してるの?」


「珍しいですね。木森さん」


珍しくこの公園に現れた人物は、最近この街にやって来て義昭と仲良くなった女子生徒である木森 林だった。


義昭の姿を見た林は手を振りながら笑顔で近づき、義昭の隣のブランコに座った。


「聞いた話だとこの公園って、気味が悪いから近寄らないって話だったけど。」


「まぁ、そうだね。」


隠す事でもないため義昭はなぜこの公園にいるのかを話した。


その話を聞いた直後から林は少し大人しくなって、下を向き、何かぶつぶつ呟いている。


流石に耳が良いわけではないため、義昭には聞こえなかったが、なんだか嫌な予感がしたのは確かだった。


「それよりも、義昭くんってこの時間はいつもここにいるの?」


やっぱりこの時間に一人でいることが不思議だったのだろう。


義昭はその質問にどう答えようか考えを巡らせていた。


 すると、理解したかのように林は立ち上がり、義昭の前まで歩いていくと笑みを絶やさずに言葉を紡いでいく。


「まぁなんとなく理由は分かるんだけどね。」


おそらく自分を家まで運んだ時に氷菜から聞いたのだろうと義昭は理解した。


 であれば、話す事はないと口を噤むつもりでいたが、林から発せられた言葉で開いた口が塞がる事はなかった。


 「私、貴方の事好きだなー。」


 「・・・・・は?」


いきなりの告白に開いた口は一文字だけ発して閉じる事はなかった。


 「えーっと、今の言葉は友達として・・・・・かな?」


嘘の告白をされた事は何度もある。

 

 だが、その時でも前もって準備はされていた。

だから、今回のようになんの前触れもなくいきなりされる事は経験が無かった為、義昭は顔には出さなかったものの内心はとても動揺していた。


そして、この告白も自分の勘違いであって欲しいと心から願っていたのだが・・・・


「いいや、友達としてじゃないよ。これは嘘なんかじゃなく私のホントの気持ち」


君の事を異性として好きって事だよ。


これが義昭の人生で最初にされた好意の含まれた告白だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そんな事があって、公園にいるのも気まずくなったので、義昭達は学校に行く事にした。


相変わらず義昭に関する侮蔑の感情を至る所から感じる。


そんな視線を感じる度に、林の顔も少し歪んでしまう。


「問題ないよ。今さら思われたところで対して今までと変わらないよ。」


林がどれだけ周りに苛立ちを覚えていても、言われている本人である義昭が諦めてしまっている為、林も強気になれなかった。


 そして、学校が近くなってきてから喧騒が色々な所から聞こえてくるようになっていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 学校までもう少しというところで、義昭達は聞き慣れない大声を聞いた。


シャッター音と共に聞こえてくるその声は、まるで質問をしているようにひっきりなしに多数の声を伴っている。


「なんだろうね。木森さん。」


「そうだね。芸能人でもいたのかな?」


そんな事を考えながら校門へ向かうと、今人気のイケメン俳優が来たような歓声ではなく、転校生が即バレしたような活気でもない。

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 聞こえてくる話を整理すると、朝早く生徒が教室のドアを開けた所、顔だけが綺麗で体の方がズタズタになっていたクラスメイトと他のクラスの人を発見したんだそうだ。


それを発見して写真を撮りSNSに上げたところ、すぐに学校がバレてこんな事態になったらしい。


「そもそもの話なんでそんな事をするのかなー。バズるとでも思ってるのかな?」


「仕方ないんじゃない?人って目の前に非日常がやって来たら取り敢えず写真に収めて、SNSに投稿するんじゃないの?」


 そんな何気ない会話をしながら、マスコミや警察の注意を無視して学校に入った2人は、教室に向かって歩いていた。


 校門を過ぎてすぐに2人は1人のマスコミに捕まった。


「そこの2人!この事件の関係者ですか?でしたらインタビューに答えていただきたいのですが!」


だが、事件の事など知らない2人は、無視して教室に向かう事にした。


そんな2人を見て、マスコミは抑えていた本音が漏れている事に気付かなかった。


「チッ、答えてくれたっていいだろ。学生のくせに」


この言葉が2人の耳に届いていないはずがなく、呆れたようにため息を吐きながら振り返った。


その時彼が見た2人の姿は、明らかな軽蔑の目線を持ったまま自分を見下している学生のように見えただろう。


そして、林の次に義昭の順番で言葉が紡がれていく。


「なんで学生だからって答えなきゃいけないんですか?言うも言わないも私達の自由じゃないですか。なんでたかが記者の1人にすぎないあなたにそんなこと言われないといけないんですか?」


「もし大人だから威張るのであれば、迷惑だから辞めたほうがいいですよ。自分の思った通りにならないとすぐに文句を言うのは僕達日本人共通でダメな点です。特に自分が迷惑なことをしていると自覚せずに文句ばかり垂れ流すマスコミとかは特にね。」


まだ言い足りなさを残しながら2人は校内に入っていった。


捲し立てるように色々言われた記者は、反論する間も無くただヤキモキとした気持ちだけを残していたのだった。

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