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虐められていた最強高校生  作者: んれる
警察の腐敗

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運転手と追手

 「このバスもう少し早くならないんですか!?」


「無茶言うなよ。この大きさでトップスピードなんか出してみろ。曲がれねぇだろうが!」


栄子と運転手が少し言い争いをしていた。


後ろには車から車に飛び乗りながら追いかけてくる吉二郎の姿。


ダウンしている林を席に寝かせて、残りのメンバーで迎え撃つ準備をしていた。


「あの人に関する情報は、警察ってだけなんだけど他に何かない?」


「あったらこの場で、共有してますよ楓羅さん。」


「とりあえず、僕の攻撃で牽制して様子見しようか。」


義昭はそう言って指を曲げようと吉二郎の方を見る。


 すると


「•••あれ?」


窓に張り付く勢いで楓羅が後ろを確認するが、あの一瞬で吉二郎の姿が消えてしまった。


どこに行ったのか三人はそれぞれ窓を覗くが、それらしい人影は見当たらない。


すると運転席から


「明るい所で見てるとこ悪いが、そろそろトンネルに入る。より一層用心しろよ。」


その言葉のすぐ後に、太陽の光は遮られオレンジ色のライトのみが辺りを照らし始めた。


少しだけ警戒を解いた氷菜が、バスに乗るまでの間に感じた事を栄子に質問した。


「そういえば、思いっきり表を歩きましたけど、皆さん私達を見ることはしても、誰も通報しなかったのはどうしてなんですか?」


バス停まで歩いていた時に、何十人と市民に見られていたにも関わらず、誰一人として携帯で通報する素振りすらなかった。


それに、少なからずの疑問を待っていた氷菜は気になって仕方なかった。


それを聞くと、栄子と運転手は少し言いにくそうにしたが、やがて運転手が


「お前さんたちを通報しなかったのは、警察が信用されてないのと、それと同じくらい期待しているのさ。」


と答えた。


会社勤めしていた楓羅は、なんとなく理解していたが、周りの情報を遮断していた義昭と親の期待に応えることだけに集中していた氷菜は知らなかった。


少し考えた後、また運転手が


「そこのお嬢さんが狙われたのは、多分だが今の警視総監の命令だろう。」


その発言に英語が繋げて話す。


「警視総監 田原 俊二郎は無類の女好きで、自分のモノにならない女は存在しないと本気で信じてる。」


そこまで言って氷菜の方を見ると、行動では示していないが顔で引いているのが分かった。


引くのは痛いほど分かる。


言葉にしないが、栄子は心の中でそう思った。


「あと、警察が信用されてない理由は」


と話そうとした。


その時、呻き声を上げながら林が起きあがろうとしていた。


まだ安静にしてもいいと楓羅が寝かせようとするが、バスの背もたれを掴んで上体だけ起こすと


「な、何か音がします。トンネルの壁から殴る音が。」


運転手以外が一斉にバスから近い壁を見るが、車の音で何も聞こえない。


どういう事か理解できない一同だったが、やがて栄子がある異変に気付いた。


「気のせいでしょうか。トンネルにヒビが入ってる気が」


「バカ言うなよ。トンネルの壁なんてどれだけ厚く出来てると思ってんだ。」


運転手とそんなやりとりをしている間も、栄子が見つけたそのヒビはどんどん酷くなっている。


それは、全く気付いていなかった義昭達も分かるほどに


すると運転手が


「おい嬢ちゃん。合図するまで俺の横にいろ。」


焦る事なく淡々と言い、栄子もそれに従って男性の横に立つ。


やがて、トンネルの一部が外の光を吸い込むように明るくなっていき、開き始めた穴はバスに近づいていき


運転席の近くの壁が大きな音を立てて崩れ去り、そこから人影がトンネル内に入ってきた。


それは、後ろから追いかけてきていたはずの吉二郎だった。


目の前にバスを捉えた吉二郎はドアを突き破り、ついに車内への侵入を許してしまった。


バスを止める為に、目と鼻の先にある運転席に近付く。


「そこをどけ。今お前に用はない史池 栄子。」


「お生憎様。これからの時代を作る若者をここで絶やす訳にはいかないんだな。」


運転手を守るように立ち塞がる栄子に、少しの苛立ちを覚えながら


「そうか。ならお前でも容赦はしない。」


戦う態勢に入った吉二郎に一抹の不安を感じた栄子だったが、運転手の指示を破るわけにもいかず攻撃を棒立ちで待っていた。


握り拳を作った右腕がゆっくりと後ろに引かれ、それに応じて吉二郎が体も捻る。


すると


「腕が来る直前にしゃがめ。」


まさに攻撃を受けるその一瞬に、運転手の声を聞いた栄子が全力で体を下に落とした。


勢いを殺す事なく、ぶつけられる拳を逃げ場のない運転手は何も出来ずにそれを受ける。


と思われたその時


「まだ、それに頼ってんだな。」


その言葉と共に運転手はいつの間にか火を点けていたタバコを吉二郎の突き出した拳に当てていた。


熱さによる痛みに耐えきれず、吉二郎は運転手から距離を取った。


「根性焼きはまだ慣れてなかったか。」


笑みを絶やさない運転手に義昭達は、人外を見るような目で見つめていた。


顔を顰めながら、運転手の顔を見た吉二郎は驚いた表情に変えていた。


その後、冷静になり


「貴方がいるなら日を改めます。」


そう言った吉二郎は破ったドアから飛び降り出ていった。

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