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虐められていた最強高校生  作者: んれる
警察の腐敗

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内乱の予感

 それは古川 吉二郎と義昭達が遭遇する数時間前の事


「フルキチはどこだ!」


警視総監の田橋 俊二郎が怒鳴りながら、庁舎を歩き回っている。


その足のまま、ひとつの部屋に向けてどすどすと進む。


この光景は、この男が警視総監になって以降、毎回の光景になっており誰も気に留めない。


「貴様何をしている!」


目的の部屋に辿り着き、ノックもせず乱暴に開け放ち、仕事をしている吉二郎に向かって歩いていく。


仕事をしている吉二郎を積み上がっている書類を薙ぎ倒しながら、胸ぐらを掴み怒鳴りつける。


「仕事をしているって一目見て分からないのか?」


役職が上の人間でありながら敬いを全く感じない話し方で、俊二郎のヘイトを稼ぎ続けた。


周りを考えずに殴りつけたい衝動に駆られたが、俊二郎は冷静になり


腹目掛けて拳を振り上げた。


 少し痛みを感じながら、吉二郎は立ったまま俊二郎をただ見続けた。


「小細工なんぞしやがって。」


手の感触に不満を感じながら、殴った時に少し乱れた服装を正し


「貴様に仕事をくれてやる。光栄に思うがいい。」


「いや、だから俺は別の仕事を」


拒否の言葉を無視し、俊二郎の後ろに着いて来ていた女性がデスクに三枚の紙を叩きつけ、俊二郎の後ろに隠れた。


そこには、三人の女性の写真が貼り付けてあり、少女が二人と大人の女性が一人写っていた。


「これは?」


「今、日出 義昭という男が指名手配で張り出しているのは知っているな?」


全く本件に関わる事がない男性でも、その話は耳に入っていた。


静かに頷くと、荒い口調のまま話し続ける。


「この男の周りには、見て分かる通り可愛らしい女を三人侍らせている。」


話の最中だが、俊二郎が自分に何を命令しようとしているのか簡単に察する事ができた。


当然ながら、その命令には絶対に従いたくないし、嫌悪感が隠せないほど顔に出ていた。


その顔をほくそ笑みながら、より上から目線になり


「その顔は分かってるようだな。そうだ」


その三人の女を、俺の前に連れてこい。



 男性は、署内の廊下を険しい顔で歩いていた。


先程の、俊二郎からの命令は絶対に従いたくない。


だが、従わなければ()()()()を破られてしまう。


頭の中は、葛藤によって痛くなりそうなほど悩ませていた。


「あ、吉二郎(きちじろう)


後ろから聞こえてくるその声に振り返ると


「凪乃」


先日男性と話をしていた女性が心配そうな表情で、近付いていた。


「大丈夫?変な命令されたんでしょ?」


どうやら、彼女は命令されたという話は聞いたが内容は聞いていないようで不安な顔になって聞いてきた。


この子を不安にさせたくない。


それは吉二郎がなにより大事にしている事であり、命令に従う最大の理由にもなっている。


「あぁ、確かに面倒だが俺だけでどうにかなるから心配しなくていい。」


「そんな顔で言われても安心出来ないよ。」


隠しているつもりでも、彼女にはお見通しのようで、もっと顔を近付けて


「私を心配にさせないように言ってるのかもしれないけど、そんな顔だと丸分かりだよ!」


頬を膨らませて少し怒った顔で見つめた。


状況のせいで、あまりはっきりと言葉には出来ないが


「くっそ可愛いわ」


「言葉に出てるよ!」


つい突っ込まれてしまったが、事実なので男性は否定せずにぽかぽか叩かれるままにされていた。


そんな彼女の頭を撫でながら


「本当に心配する事はないから、君の仕事を全うしてくれ。」


そう言われると、さっきまで少し嬉しそうな顔をしていた彼女が、嫌悪に満ち溢れた顔に変わった。


可愛らしい声がトゲまみれの声に一変し


「私の仕事なんて知ってるくせに、意地悪なんだから。」


少し反省しながら、凪乃の頭から手を離し


「じゃあ行ってくるね。」


そう言いながら吉二郎は、庁舎を出て仕事をしに向かった。


 彼の後ろ姿を、見送った後


「頑張ってね吉二郎。私も頑張るから」


拳を強く握り、唇を噛み締め


「やっと、目処が立ったの。アイツを()()為の。」


その顔は先程までの、吉二郎に見せていたような柔らかい顔ではない。


ドス黒い憎悪を滲ませ、悍ましい表情を浮かべながら凪乃は背を向け庁舎の奥へと歩いて行った。


外に出た吉二郎は、刺さる市民の目に気まずくなりながら歩いていると


「あ、先輩!お疲れ様です。」


「お疲れ様。どう?」


「はい。目立った犯罪などもなく平和です。」


後輩らしい男性は、市民の目にビクつきながら吉二郎と会話を始める。


「僕が配属されて二年くらいですけどやっぱりこの視線には慣れませんね。」


「仕方ないよ。今警察は信用なんてされてないんだから。」


この国において、警察は生活を害する敵になっており、その場に存在しているだけで煙たがられていた。


睨まれているだけまだ優しい方で、酷いとゴミや石を投げられたり、パトカーの中に火をつけられたりとやられ放題だった。


「もう同期も僕を入れて二人しかいなくなってしまって、どうしてこうなったのか。」


「先代の警視総監だった時はこうじゃなかったんだけどな。」


先代の警視総監は、良く言えば公平で、悪く言えば見境ないと評価されていた。


ただ田橋 俊二郎と違って犯罪者に容赦せず、私用を含まない人だった。


「どうして、先輩が警視総監にならなかったんですか。先代の警視総監に認められてた貴方なら!」


そこまで言った後、吉二郎は後輩の口に指を置き、仕事の為にその場を去った。

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